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カテゴリ:長歌行 全49話
长歌行 The Long Ballad 第5話「北の要地」 阿詩勒隼(アシラシュン)は商隊の身代わりたちと別れ、幽州に向かおうとしていた。 すると川辺に流れ着いた人影を見つける。 亜羅(ヤールォ)は死体だと思ったが、隼が仰向けにすると例の東宮の少年だった。 驚いた隼はまだ息があると気づいて岸に運び、肩に刺さった矢を抜くことにする。 しかし思いがけず胸の膨らみに触れ、隼はこの少年が実は女だったと気づいた。 一方、皓都(コウト)と魏淑玉(ギシュクギョク)は川へ落ちた李長歌(リチャングァ)を探していた。 淑玉は皓都の強引なやり方を非難したが、皓都は魏家を守りたくばおとなしく義父・杜如晦(トジョカイ)に従えという。 隼は誰もいない猟師の休憩所へ長歌を運び込み、亜羅に酒・薬・衣を用意するよう命じた。 相手が少女だと分かり思わず頭を抱える隼、しかし早く矢を抜かねばならない。 仕方なく隼は布を裂いて目隠しし、手探りで手当てを始めた。 しかし長歌の意識が戻り、いきなり引っ叩かれてしまう。 バシッ!⊂彡☆))Д´) 「恥知らず!…見たんだな?」 長歌は青年が目隠しをしていることを訝しんだ。 すると隼は傷口を見たくなかっただけだとごまかし、ならば自分で矢を抜けという。 そこへちょうど亜羅が戻ってきた。 淑玉が屋敷に戻ると父・魏徴(ギチョウ)が朝服に着替え、書斎に座っていた。 実は先ほど李世民(リセイミン)を罵り追い出したことから、程なく死を賜るはずだという。 驚いた淑玉は故郷・曲陽(キョクヨウ)へ逃げるよう促したが、そこへ方義(ホウギ)が皇太子からの差し入れを持って来た。 魏徴は毒酒だと覚悟して蓋を開けるも、なぜか中には芹(セリ)の酢の物が入っている。 李世民の文には房玄齢(ボウゲンレイ)から好物だと聞いて皇太子妃・長孫(チョウソン)氏が自ら腕を振るったとあった。 …今日の失態を許していただきたい… 魏徴は自分の狭量さに気づかされ、誰に付くかではなく唐へ力を尽くそうと思い直した。 長歌は激痛に耐え自分で治療し、衣を着替えた。 中庭では青年の配下たちが暖を取っている。 「ありがとう…」 長歌は別棟にいた青年に感謝した。 「私が誤解していた、この恩はいつか必ず…」 「必要はない、貸し借りはないしな」 そこで隼と長歌は酒の肴に互いに質問し、答えられなければ酒を飲むと決める。 「その肩の矢は誰にやられた?」「朝廷の追手だ…私の番だ、貴殿の名前は?」 「姓は秦(シン)名は準(ジュン)、阿準(アジュン)でいい…お前は?」 「姓は李、14番目の子だ、十四郎でいい…なぜ私の短剣に執着を?」 「お前を困らせるためだ」「ふっ…腹黒いやつだ、出身は?」 「中原人だが塞外で生まれた…この後どこへ?」「…敵討ちに、貴殿はどこへ?」 「北だ、敵討ちとは?」 すると長歌は黙って酒を飲んだ。 「北では何を?」「大きな商いだ…どんな商売かは言えない」 隼は長歌の質問を見越して先に酒を飲んでしまう。 「最後の質問だ…本当に阿準というのか?」 「十四郎こそ、本当に十四郎というのか?」 2人は思わず失笑し、一緒に酒を飲んだ。 隼と長歌の笑い声は外まで漏れていた。 亜羅は特勤(テギン)が笑っていると驚いたが、蘇伊舎(スーイーシャー)は取り合ってくれない。 阿詩勒部の鷹(ヨウ)師を束ねる隼は可汗から警戒され、政敵には牽制されていた。 そんな状況で特勤が心から笑えるとは思えないという。 それにしても孤高の特勤がこれほど意気投合するとは、あの少年は何者だろうか。 翌朝、酔い潰れた隼が目を覚ますと、すでに十四郎の姿はなかった。 外へ出るとすでに準備を整えた配下たちが挨拶する。 「出立だ」 そこで蘇伊舎に鷹師への連絡と可汗への密書を任せ、先に行かせた。 一方、李世民は粛清の噂と李長歌が無関係だと報告を受けた。 しかし皇太子璽は朝廷の重器、李世民は杜如晦に何があっても誰の手にも渡すなと命じる。 その言葉を聞いた杜如晦は皇太子もようやく踏ん切りがついたと安堵し、書斎を後にした。 杜如晦が下がると入れ違いで永安(エイアン)郡主・李楽嫣(リラクエン)現れた。 楽嫣は長歌を罰しないよう嘆願したが、李世民は長歌の存在を忘れろという。 しかしそこへ思いがけず皇帝から聖旨が届いた。 皇帝は阿詩勒部との和親を決め、楽嫣を公主に封じて嫁がせるという。 杜如晦は皓都に魏淑玉を見張るよう命じた。 淑玉は長歌を慕っており、長歌が生きていれば必ず淑玉と接触を持つと確信している。 「太子璽を奪い返し禍根を除け」 如晦は皓都にくれぐれも情にほだされ躊躇してはならないと釘を刺した。 一方、長歌はついに長安の国境へ到着した。 …ここが長安との別れの地ね… その時、突然、阿竇(アトウ)が現れる。 阿竇は約束通り十里亭で待っていたが長歌が現れず、北へ行くなら必ず″長安″の石碑を通ると考え、待ち伏せしていた。 しかし長歌は改めて阿竇には未来があると言い聞かせる。 すると阿竇は長歌こそ自分の未来であり、生死を共にしたいと訴えた。 「俺の目に狂いはない、師父は英雄だ! 英雄には補佐が必要だろう?俺が大将軍になる!(๑•̀ㅂ•́)و✧」 長歌は阿竇の熱意にほだされ、照れ臭そうに弟子入りの儀式をするよう言った。 喜んだ阿竇は師匠に拝礼し、今度こそ正式に弟子入りが叶う。 「師父!で、これからどこへ?」 「幽州だ、父の旧兵がいる」 長歌は復讐を果たすため、父と昵懇(ジッコン)だった幽州都督・李瑗(リエン)に出兵を頼もうと考えた。 李世民は娘を守るため、魏徴の知恵を借りることにした。 すでに魏徴も永安公主の縁談話を聞き及び、ひとつ考えがあるという。 李世民は弘義宮へ帰ると、早速、楽嫣を呼んだ。 実は楽嫣が奇病を患ったと偽り、洛陽(ラクヨウ)で静養させることにしたという。 すると楽嫣は心細くなり思わず泣き出した。 李世民はうっかり長歌のように強い心を持てと叱り、慌てて言葉を飲み込む。 「楽嫣、これでしばらくは嫁がずに済む…いいな? 魏の郎君と親しいのだろう?洛陽までの護送を命じた、安心せよ」 その頃、商人になりすました亜羅は幽州の城門で王将軍に止められていた。 すると積荷に隠していた石の山が見つかってしまう。 「連行しろ!」 王将軍は亜羅たちを引っ立て、部下たちには石を見なかったことにするよう命じておく。 その様子を物陰から眺めながら、隼は計画が上手くいったとほくそ笑んだ。 ちょうど同じ頃、長歌と阿竇も幽州へ入った。 長歌と隼は偶然にも同じ宿舎に決めたが、隼は上階の豪華な部屋、片や長歌たちは雨がしのげる物置小屋を借りる。 一方、長安を発った楽嫣は最後の宿となる南安(ナンアン)駅館に到着した。 明日には洛陽の行宮に着く。 楽嫣にとって想い人の淑玉との旅路は束の間の幸せだった。 今や皆が大人になって離れ離れとなり、各自の道を行かねばならない。 「淑玉哥哥、文を送ってくれる?…長歌の行方が分かったら知らせて?」 「必ず長歌を見つけるよ」 淑玉は部屋へ向かった楽嫣を見送った。 すると後を追って来た皓都が到着する。 皓都は皇太子の命により淑玉が長安特使に任じられ、長安へは戻らず自分と一緒に幽州へ行って盧江(ロコウ)王・李瑗を入京させるよう伝えた。 淑玉は長歌の行方が分かったと気づいたが、皓都はどちらにしても使者として命令以外のことに干渉しないよう警告する。 実は幽州への官道で長歌と少年らしき二人連れが目撃されていた。 皓都は配下に淑玉をしっかり見張るよう命じ、幽州で長歌と接触した時は問答無用で長歌を殺せと指示する。 「淑玉が阻んできたら…奴も始末を」 その話をちょうど部屋にいた楽嫣が聞いていた…|ω・`) つづく ( ๑≧ꇴ≦)イールン! ←言いたいだけw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.11 11:35:27
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