|
风起陇西(ふうきろうせい) 第七計「天を瞞(アザム)きて海を過(ワタ)る」 西曹掾(ソウエン)・李邈(リバク)が突然、陰輯(インシュウ)の居所にやって来た。 司聞曹(シブンソウ)に入りひと月あまり、李邈は未だ驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)に報告できる成果が得られず焦っている。 曹掾同士の争いに巻き込まれたくない陰輯はのらりくらりかわそうとしたが、李邈は陰輯の弱みを握っていた。 「そなたは指令を捏造して情報を呉(ゴ)と魏(ギ)に流し、私利をむさぼった 街亭(ガイテイ)の事案も、ある者が谷正(コクセイ)を利用して軍の秘密を曹魏に与えていた これも偶然かな?」 証拠を突きつけられた陰輯は短刀を抜いて自害しようとするも、どうしても死ねなかった。 「活路を与えてやろうか?」 一方、荀詡(ジュンク)は曹掾・馮膺(フウヨウ)が訴える街亭の捜査打ち切りに反対していた。 北伐の敗因は白帝の裏切りではなく、燭龍(ショクリュウ)が祁(キ)山で情報をすり替えたせいだという。 燭龍は軍の内情に詳しく、暗号文と解毒用の木版を扱える人物だ。 しかし馮膺が内通者ならとうに白帝の正体を暴露していたはず、荀詡は馮膺の義弟・孫令(ソンレイ)を疑っていた。 馮膺は荒唐無稽だと一笑に伏し、どちらにしても白帝が死んだのなら街亭の事案は早期に片づけるという。 「もし孫令を調べたら最後は私に矛先が向かう、お前を権力闘争の泥沼に引き込みたくない 司聞曹は国の利器だ、政争の道具にしてはならない、李邈には他に目的がある…」 その頃、陳恭(チンキョウ)は間軍司(カングンシ)の司馬・糜冲(ビチュウ)に成り済まし、秦沢(シンタク)の案内で五仙道の根城に到着していた。 割符で使者の糜冲だと証明した陳恭は早速、五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)を平南(ヘイナン)将軍・漢中先鋒使(カンチュウセンポウシ)に任じると皇帝の詔を伝える。 黄預は勅旨を受け取り、続いて神に生贄を捧げる儀式を行うことにした。 すると聖女が現れ、神に捧げる舞を披露する。 しかしその聖女は間諜として五仙道に潜入している妻・翟悦(テキエツ)だった。 陳恭は翟悦の無事な姿を見て内心、安堵した。 互いの安全のためにも決して触れ合うことはできない2人、翟悦もひとしきり剣舞で気を紛らせながら、陳恭への思いを募らせる。 するとその夜、歓迎の宴を終えた黄預が酔った勢いで聖女の居所に押しかけた。 翟悦は婚礼がまだだとあしらいながら、黄預が不世出の英雄ゆえ身を寄せたが、思いがけず位を賜って曹魏の下についたと落胆する。 しかし黄預は位を受けたのは一時しのぎの策に過ぎないと教えた。 「今後、必ず五仙道を復活させ、魏蜀呉を全てこの手中に収める(๑•̀ㅂ•́)و✧」 黄預にとって聖女は唯一の理解者であり、天が与えし贈り物だった。 陰輯は遅れて紫煙閣へ到着した。 高堂秉(コウドウヘイ)は曹掾の招待に遅刻かと呆れたが、馮膺はこんな状態でも来てくれた2人を気の置けぬ仲間だと言ってくれる。 あと数日で李厳の弾劾の結果が分かるだろう。 馮膺はこの肝心な時、李邈に司聞曹を中傷させる隙を与えてはならないと釘を刺した。 すると陰輯が荀詡は身内に不利な真似をしたと非難する。 高堂秉は荀詡が務めを果たしただけだとかばい、馮膺もその通りだと同意した。 ともかく丞相を守るため街亭の事案をここで打ち切らねばならないという。 丞相長史・楊儀(ヨウギ)からも近々、燭龍の捜査が始まると警告されていた。 「2人とも、下心を持つ者には用心しろ」 そこで馮膺は高堂秉に荀詡が利用されないよう見張るよう頼む。 高堂秉は親友を見張るのはばつが悪いと辞退したが、陰輯が自分の本業だと名乗りをあげた。 同じ頃、馮膺から孫令の捜査を反対された荀詡は李邈を訪ねていた。 実は孫令の関与を疑っているが、証拠となる木版が厳重に管理されているため、権限がないと持ち出せないという。 李邈は手立てを考えると約束したが、何とか馮膺に罪を着せようとした。 「こうは考えられないか?当時、情報を至急、送らねばならなかった 燭龍が偽りの情報を作ったところで間に合わぬ 馮曹掾にしか元々、暗号文は読めぬ、すなわち解読する時に悪事を企んだと…」 「それはあり得ないことです、暗号文の内容を変えることはできません」 馮膺が屋敷に戻ると孫令が待っていた。 「姐夫!大変です!荀詡が李邈のもとへ…燭龍を捜査するふりをして姐夫を陥れる気ですよ!」 しかし馮膺は荀詡の監視をやめろと叱って居所へ戻ってしまう。 一方、荀詡は出かけたついでに柳莹(リュウエイ)がいる紫煙閣をのぞいてみることにした。 すると偶然、平北(ヘイボク)将軍・馬岱(バタイ)の副官たちの座敷で接待している柳瑩の姿を見かける。 2人は一瞬、目が合ったが、その時、座敷の戸が閉まってしまう。 その夜、荀詡は柳瑩との出会いを思い出してなかなか寝付けなかった。 美しい柳瑩の姿、そこで竹簡に隠してある柳瑩からもらった竹笛を出し、しばし物思いにふける。 同じ頃、柳瑩は燭龍と接触、情報を聞いていた。 「白帝は天水郡主簿・陳恭だ」 実は谷生(コクセイ)が死んで司聞曹が捜査に動き、蜀軍の指揮系統を使うのは危険だった。 そこで都督・郭淮(カクワイ)は間諜・柳瑩を新しい連絡係として南鄭(ナンテイ)に送り込んだという。 「今後は私に情報を…」 するとその情報は妙風使(ミョウフウシ)を介して直ちに五仙道へ届いた。 秦沢は大祭酒に急報を伝えた。 燭龍によれば西蜀の間諜・白帝は天水郡主簿・陳恭だという。 陽平閣で蜀軍が白帝を殺していなければ危うく五仙道の内部に入っているところだった。 しかし警戒心が強い黄預は支部に峡谷から離れるよう通達を命じ、念のため糜冲の身元を調べることにする。 その話を翟悦が物陰で立ち聞きしていた。 李邈は木版を持ち出すため、陰輯を頼った。 陰輯の話では木版の穴の所に情報を書き、他の所には関係のない文字を書いて内容を知られないようにするという。 中でも白帝は別格で、木版にも仕掛けがあった。 これまで木版と言えば機密扱いだったが、実は今回の案件ですでに解禁され、手続きも簡単になったという。 李邈はちょうど馮膺が外出中だと知り、早速、書庫へ行くことにした。 白帝専用の木版では暗号が取り決めた干支に基づいており、3枚の木版の順序を変えていた。 つまり穴の位置もその都度、変わる仕組みだという。 「干支はその時々に決めるのか?」 「はい、それを秘密の鍵と呼んでいます 文の封じ目に方位や″天地人″の字をしるし、意味するところは外部の者には分からない 秘密の鍵と暗号が一致して初めて情報を読めるのです」 すると陰輯が試しに情報の読み方を実践してみせた。 「この情報の秘密の鍵は…天人北…」 李邈はこれが街亭の情報なのか聞いた。 しかし街亭の情報は書左台(ショサダイ)に保管されているという。 「ご覧になるには孫令を通さないと…」 そこで李邈はひとまず燭龍の捜査班の名前を使い、木版を持ち出すことにした。 つづく ( ゚д゚)燭龍は髭面…ってみんな髭が生えてたw でもどうみてもあの人?…かあの人だよね? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.13 16:12:54
コメント(0) | コメントを書く
[風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話] カテゴリの最新記事
|