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カテゴリ:斛珠夫人~真珠の涙~全48話
斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse 第35話「二人だけの婚礼」 方鑑明(ホウカンメイ)は海市(ハイシー)に愛を告白、その夜、2人だけの婚礼を挙げた。 「まるで夢を見ているみたい…」 海市はそばにいられるだけで満足だと諦めていたが、まさかこんな日が来るとは信じられないと感激する。 そして夫婦の杯を交わし、2人は初夜を迎えた。 「怖いか?」 鑑明は戸惑う海市に優しく口づけをしようとしたが、その時、身体に異変が起こる。 皇帝の身に何か起こったのだ。 「どうかしたの?」 海市が心配そうに起き上がると、鑑明は思わず点穴して海市を眠らせてしまう。 「…すまない」 すると鑑明は寝衣のまま寝所を飛び出し、中庭で激しく血を吐いた。 その頃、愈安(ユアン)宮では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が緹蘭(テイラン)に勧められ汁物を飲んでいた。 すると突然、扉が開き、方鑑明が飛び込んで来る。 「…毒だ!」 鑑明は耐えきれず膝をつくと、褚仲旭が駆け寄った。 「鑑明!」 方鑑明は注輦(チュウレン)の未生花(ビセイカ)の毒に当たっていた。 実はこの毒には解く術がない。 しかし李(リ)侍医の応急処置と鑑明の人並み以上の忍耐力で持ちこたえていた。 褚仲旭は激しく取り乱し、何としてでも鑑明を助けると騒ぎ出してしまう。 すると鑑明は外へ漏らさぬよう諌言した。 「朝廷に異変が起こります…陛下、淑容妃にも当たらぬように、何か事情があるのでしょう …李侍医、あと何日生きられる?」 「普通の人なら3日以内に命を落としますが、武術に長けた清海公ならひと月もつやも…」 「…ありがとう」 鑑明が昭明宮に戻ると、海市は何も知らず穏やかに眠っていた。 …私への失望と恨みを抱き、幾千里も卓英(タクエイ)を追ったのだな …そして病の身で独り赤山(セキサン)城に長く留まり、また不眠不休で走り続け帰京した …今度こそ穏やかな日々を送らせてやりたかった …だが結局、それも叶わぬ 鑑明は海市の頬に触れながら、そっと涙を流した。 緹蘭は決して毒を盛っていないと否定した。 確かに弟の命と引き換えに脅されたが、要求に応えなければ自分に会いに来ると考え、敵を知ってから策を練ろうと思ったという。 褚仲旭は到底、納得できなかったが、その時、侍女・碧紅(ヘキコウ)が独断で毒を盛ったことを認めた。 何も知らなかった緹蘭は呆然、実は王子は碧紅の恩人で、どうしても王子を守りたかったという。 すると碧紅は淑容妃と碧紫(ヘキシ)を巻き添えにしないよう、いきなり柱に頭を打ちつけ、絶命した。 一方、皇弟・褚季昶(チョキチョウ)は方海市が一夜で昭明宮に戻ったと知った。 海市がなぜそんなに急いで帰ってきたのか分からなかったが、とりあえず誕生日の招待状を送るよう指示する。 「方家の小娘が帰って来たのだ、明日の誕生日にかこつけ陛下に請う 方海市を我が王府へ派遣するようにな」 褚季昶は海市を見張らせるよう命じたが、卓英が残した密偵が全て聞いていた。 緹蘭は碧紅の死を目の当たりにし、衝撃のあまり気分が悪くなった。 心配した穆徳慶(ボクトクケイ)は皇帝の許可をもらって急いで侍医を呼んだが、懐妊だと分かる。 褚仲旭は混乱し素直に喜べず、緹蘭に即刻、禁足を命じて足早に出て行った。 御所に戻った褚仲旭は紫簪(シサン)の護身府を握りしめ、肖像画の箱を開けた。 「紫簪…私は鑑明も失ってしまう、どうすればいい?せめて緹蘭は守ってやりたい」 そこへ穆徳慶がやって来る。 褚仲旭は手で顔を覆い、しばし涙が止まるのを待ってから顔を上げた。 すると穆徳慶は愈安宮と金城宮の護衛を全て確認し、これでわずかな情報も漏れないと報告する。 明日はいよいよ昶王の誕生日、褚仲旭は何事もなかったかのように予定通りだと指示した。 方鑑明は海市の手を握りしめたまま朝を迎えた。 すると回廊から陳哨子(チンショウシ)の声が聞こえる。 「清海公…」 鑑明は海市の布団を直すと、報告を聞くため外へ出た。 陳哨子は清海公に昶王府から届いた海市宛の招待状を渡した。 密偵からの情報では小公子を王府に置きたいと皇帝に嘆願する計画があるという。 「何でも小公子のことを″方家の小娘″と言ったとか…」 しかし褚季昶は皇帝の唯一の弟で恩人、証拠もなく二心があるとは伝えられなかった。 鑑明は軽率に動けばかえって警戒されると考え、ついにある決断を下す。 指示を聞いた陳哨子は動揺を隠せなかったが、これも海市の命を守るための苦肉の策だった。 海市が目を覚ますと方鑑明の姿はなかった。 すると身体は自然と卓英の部屋へ向かう。 卓英の部屋はそのまま残されていたが、机に剣と令牌が置いてあった。 海市は改めて卓英がいないことを実感し、霽風(セイフウ)館で兄弟として初めて顔を合わせた日のことを思い出す。 そこへ鑑明がやって来た。 鑑明は薄着の海市に外套を着せてやると、卓英を追わせたことを恨んでるかと聞く。 確かにこんな形で卓英と別れるのは不本意だが、海市は今回の帰郷で鵠庫と大徴の長年の紛争を平定できるのだと納得していた。 「卓英の願いが叶うのね…」 方鑑明は海市のため朝餉を準備していた。 「お前の粥には及ばぬが…食べてみろ」 海市は鑑明に粥を食べさせてもらいながら、昨夜の失態を思い出した。 「昨夜は…その~疲れ過ぎていて先に寝てしまったわ… 今日は大丈夫、必ずあなたに尽くすから」 しかし鑑明は何も言えず、今日は皇帝が馬場へ昶王の鷹を見に行くと教えた。 「共に行くか?」 「行くわ!…じゃあ着替えないと」 海市は鑑明の計画など何も知らぬまま幸せを噛みしめていた。 海市が着替えて出てきた。 すると方鑑明は今日が最後の男装だという。 「流觴(リュウショウ)方氏の主は代々、天寿を全うできぬ 添い遂げられぬ時が来たら今日のことを後悔するか?」 「しない、今も今後もずっと後悔などしないわ そんな日が来たら最後の一瞬まであなたと共に戦う、夫だもの」 鑑明は思わず海市を抱きしめ、紐を通した玉板指を首からかけた。 褚季昶は慣例に従い24羽の鷹を用意した。 そこで鷹を一斉に放ち、褚仲旭が白翎青背鷂(ハクレイセイハイヨウ)を狙って見事に射止める。 大臣たちはこれで天候に恵まれる年になると喜んだが、その時、警護していた陳哨子めがけて鷹が急降下してきた。 海市は真っ先に気づいて陳哨子の元へ駆け出すと、方鑑明はちょうど海市の冠と鷹が重なったところで矢を放つ。 すると弓矢が海市の冠を外し、鷹を射抜いた。 海市は長い髪がほどけ女の姿を晒し、動揺してその場から動けなくなる。 実は陳哨子は後ろ手に雛鳥を隠し持ち、鷹に襲われるよう仕組んでいた。 褚仲旭は海市の姿を間近で確認することにした。 すると海市の首から方鑑明の玉板指がぶら下がっている。 それは鑑明が父からもらった唯一の贈り物で、どんなに譲って欲しいと頼んでも断られた品だった。 褚仲旭は鑑明の意図に気づき、いきなり海市の肩を抱いて連れ帰る。 驚いた大臣たちは男装して皇帝を欺いた海市を厳罰に処すよう嘆願したが、褚仲旭は自分が海市を霽風館に置いたと嘘をつき、引き上げて行った。 褚仲旭は海市を連れて金城宮に戻った。 すると海市はひざまずき、方鑑明を守るため皇帝を欺いた罪を認めて罰を請う。 「私1人の過ちです」 「…方海市、方鑑明を巻き添えにせず生き長らえたいなら、今から目が見えず口が利けぬ者になれ 誰か!方海市を偏殿へ連れて行け!」 つづく ( ;∀;)長かった…ここまで長かったわ~w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.12.04 22:02:43
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