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风起陇西(ふうきろうせい) 第十五計「東に声して西を撃つ」 高堂秉(コウドウヘイ)は古澗(コカン)渓へ到着、約束通り樟(クスノキ)で連弩(レンド)の設計図を見つけた。 しかし筒の中は空っぽ、その時、突然、男が現れ、右胸を刺されてしまう。 「設計図は私の手にある…やっと会えたな」 「ゥ…あなたは?」 「白帝(ハクテイ)だ…お前には生き地獄を味わってもらう」 陳恭(チンキョウ)は手始めに傷口に指をねじ込むと、高堂秉は激痛のあまり悲鳴を上げた。 馮膺(フウヨウ)はようやく司聞曹(シブンソウ)へ戻った。 すると門の前で待っていた陰輯(インシュウ)が連弩の設計図が奪われたと報告する。 しかも荀詡(ジュンク)が自分の官印がある通行証を手に軍技司(グンギシ)に忍び込み、譙峻(ショウシュン)校尉に捕まっていた。 驚いた馮膺は荀詡の引き渡しを頼むため急ぎ照会状を書くことにしたが、役所で予想外の人物と再会する。 「白帝?!」 「曹掾(ソウエン)…設計図は私が」 一方、定軍(テイグン)山では荀詡が拷問を受けていた。 孫令(ソンレイ)は直ちに荀詡を司聞曹へ戻すよう掛け合ったが、自分の命が掛かっている譙峻が認めない。 そこへ馮膺たちが到着したと報告が来た。 譙峻は馮膺の頼みでも荀詡を解放するつもりはなかった。 しかし思いがけず設計図が戻って来る。 馮膺の話では曹魏(ソウギ)の間諜・燭龍が軍の指揮系統に潜入、荀詡たちのおかげで捕まえたという。 こうして荀詡は解放されることになったが、なぜかなかなか牢から現れなかった。 痺れを切らした陳恭は強引に中へ入ると、血まみれになった荀詡が倒れている。 「おい!起きろ!燭龍を捕まえたぞ!」 「…良かった…お前が戻るまで耐えられないかと…」 すると荀詡は再び意識を失った。 陳恭と荀詡は街亭(ガイテイ)の真相を明らかにするため一計を案じていた。 そこで陳恭は青萍(セイヒョウ)計画の実行役として五仙道に潜入、設計図を受け取りに来た燭龍を捕らえたという。 すると高堂秉の屋敷から複製した白帝専用の木版が見つかった。 馮膺は入手経路を聞いたが高堂秉は依然、口を割らず、何でも荀詡でなければ証言しないという。 しかし荀詡は動くこともままならなかった。 胸を痛めた馮膺は孫令から荀詡の偽造した通行証の扱いを聞かれたが、自分が渡したことにする。 「燃やしてくれ」 陳恭は荀詡の家を訪ねた。 するとちょうど裴緒(ハイショ)が華佗(カダ)唯一の後継者である華医者を見送りに出て来る。 裴緒は荀詡の意識が戻ったと報告したが、医者は全快するかは運次第だと言って帰った。 実は荀詡は拷問で経路が傷つくほど足を打たれており、ゆっくり歩けるまでには戻れるという。 陳恭の顔を見た荀詡は笑顔になった。 それにしても陳恭の次に親しかった高堂秉が燭龍だったとは、人間とは分からないものだと嘆く。 「お前が尋問に来るまでしゃべらないと言っている」 「混乱している、考えを整理しないと…ところで曹掾から官職の褒美は?」 「何も…祝宴を開く話も断った」 陳恭はそれより気がかりを片付けたいと言ったが、これ以上、荀詡に打撃を与えるわけにいかない。 しかし荀詡は陳恭にとってもっとの気がかりなのは翟悦(テキエツ)だと分かった。 「まさか…悦児の身に何か?」 「…ああ」 「なぜ露見した?!」 「お前と会っているのを高堂秉が見ていた、あいつが五仙道に警告したんだ」 荀詡はたった1人の親族を、しかも自分のせいで失ったと聞いて全身を震わせながら泣いた。 「お前は悪くない…迎えに行って来る、必ず会わせてやるから、まず身体を治せ」 。゚(∩ω∩`)゚。 狐忠(コチュウ)は李厳(リゲン)に白帝が街亭の事案の真相を暴いたと報告していた。 幼い頃に両親を失った陳恭を引き取り、親代わりでもあった李厳は内弟子の功績に鼻が高い。 かつて皇帝に陳恭を推挙しようとしたが、陳恭は退屈な役人が嫌で書き置きを残し、姿を消していた。 まさかよりによって司聞曹に入って曹魏に潜入していたとは思いもよらず、何年も連絡がなかったのも頷ける。 一方、庶民に降格となった楊儀(ヨウギ)は丞相の言い付け通り読書に明け暮れていた。 しかし何とも落ち着かず、身が入らない。 すると諸葛亮(ショカツリョウ)が現れ、燭龍の件が解決したと教えた。 「白帝は裏切っていなかった、荀詡と協力して燭龍を捕らえたそうだ 捕まったのは高堂秉、白帝の情報をすり替えていた、証拠もある」 「そんな簡単に解決する事案でしょうか?」 楊儀は長年、競ってきた曹魏の諜報は慎重かつ智謀に富むため、まだ何か裏があると疑った。 荀詡は翟悦が命を懸けて手に入れた情報を解読した。 五仙道と燭龍が交わしていた暗号文は軍技司が夜回りで使う合言葉の番号だったという。 曹掾の決める変更順を通達するのは軍謀司、裴緒はやはり高堂秉に間違いないと言った。 「高堂秉に…会いたい…」 李厳は陳恭の生還を知り感慨深かった。 実は陳恭の父・陳黻(チンフツ)は資中(シチュウ)県での謀反で李厳の影武者となって李厳を成都に逃し、戦死している。 「あれから10年、今でも悔やまれてならない」 しかし陳恭は父が国に殉じたということ以外、詳しいことは知らないはずだった。 その日、南鄭は激しい雨になった。 陳恭は翟悦の亡骸と一緒に城門に到着、すると松葉杖をついた荀詡が表妹を出迎える。 その様子を密かに柳瑩(リュウエイ)が見ていた。 陳恭と荀詡は見晴らしの良い山に翟悦を埋葬し、屋敷に戻って位牌を置いた。 すると陳恭は翟悦がくれた宝剣を見せ、いきなり自分の左手の小指を切り落としてしまう。 驚いた荀詡と裴緒は慌てて陳恭の指を止血した。 「この剣で黄預(コウヨ)を殺し、この指を一緒に埋葬する…」 間諜が迎える最期などろくでもないと割り切っていたが、まさか己の手で愛する妻を送ることになるとは思いもよらなかった。 荀詡はまだ高堂秉に会っていなかった。 頭が切れる高堂秉から証言を引き出すには準備がいるという。 すると荀詡は陳恭に黒幕がいると言い出した。 「谷正(コクセイ)を覚えているか?燭龍が陰輯だったなら納得がいく、しかし高堂秉とは…」 谷正と接点があるのは司聞司、軍謀司の高堂秉が谷正を知るはずもなく、谷正も軍謀司の司令を受けるはずがない。 「陰輯も仲間だと?」 「いいや…馮曹掾だ」 しかし陳恭は馮膺が曹魏の間諜なら自分と翟悦の正体はとうに暴かれていたはずだと否定した。 荀詡も当初は疑っていなかったが、疑念が湧いたのは李厳に近づいてからだという。 「燭龍の正体を知っていた上で謀略のために泳がせたのかも…」 「つまり曹掾は間諜ではないが、間諜を使って曹魏と取り引きしたと?」 「そうだ、証拠はある」 五仙道からの押収品を見た荀詡は黄預を平南将軍に封じる書状を書いたのは誰か聞いた。 陳恭は郭淮(カクワイ)が起草し、曹叡(ソウエイ)自ら署名したと教える。 「やはりな、去年、郭淮の字を曹掾の机の上で見た」 荀詡は以前、馮膺に陽平閣からの検問依頼書を届けた時、床に落ちていた文を拾って机に戻したことがあった。 「白帝の木版を高堂秉が持っていた、分かりやすい証拠が出ればそちらに目が向く これで馮曹掾の思うままだ」 野心のある馮膺が権力を得るため曹魏と結託したと疑う荀詡、一方、陳恭は指が痛むのか落ち着きがなく苛立っていた。 「確かな証拠が見つかるまで、今の話は誰にもするな」 つづく (  ̄꒳ ̄)おう?まだ折り返し地点で燭龍の敗北宣言ですか これはやはり・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.10 23:37:48
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