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风起陇西(ふうきろうせい) 第十六計「手に順(シタガ)いて羊を牽(ヒ)く」 驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)は燭龍(ショクリュウ)の件の報告で成都(セイト)へ戻ることになった。 馮膺(フウヨウ)は幕府に妓女が入り浸りでは外聞が悪いため、孫令(ソンレイ)に将軍が帰って来るまでに屋敷を見繕っておくよう頼む。 すると孫令は高堂秉(コウドウヘイ)の裏切りが姐夫にとって不利なのか聞いた。 馮膺は当然、危ういと認め、楊儀(ヨウギ)が庶民に落とされた今、自分以外に責任を負える者がいないという。 「役人は人情で動かぬ、利害関係が全てだ、上官の利害と一致して初めて安然が保証される 分かったか?」 丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)が再び北伐に向けて動き出した。 恐らく燭龍が捕まったことで懸念が払拭できたと思ったのだろう。 李厳は皇帝が支持するかどうか分からなかったが、丞相たちは馮膺の処分を考えているはずだ。 すると陳恭が挨拶に来たと知らせが届く。 李厳はすぐ通すよう命じ、弟子との再会を喜んだ。 李厳は陳恭の功績を称賛し、司聞曹に人材がなく困っていたと話した。 しかも軍謀司(グンボウシ)の司尉(シイ)が燭龍だったとなれば残党がいても不思議ではない。 そこで陳恭は自分が戻った以上は徹底的に調べると安心させた。 実は李厳はすでに馮膺に陳恭を李邈(リバク)の後任にするよう話をしたという。 一方、諸葛亮は朝議を前に北伐について諸公との会合を終えていた。 すると参軍の蒋琬(ショウエン)が楊儀を復職させるべきだと進言する。 「長年、丞相のために尽くし、働いてきた忠臣、曹魏との戦いを前に暇を出しておくのは惜しいかと」 李厳は諸葛亮が朝議を開くため臨時の招集で成都に出かけると話した。 恐らく2度目の北伐の話だろう。 そこで陳恭に丞相の北伐についての意見を聞いた。 陳恭は丞相が北伐にこだわるなら譲歩してはどうかと進言する。 「独断で突き進めば丞相は自滅します…先帝の遺言を?」 「もちろん忘れもせぬ」 先帝は諸葛亮の才を高く買い、″君には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、劉禅(リュウゼン)が補佐するに値するなら助け、不可なら国を奪え″と言った。 「″国を奪え″に殺意が見えますが…」 「(はっ)…しばらく会わないうちに成長したな」 荀詡がついに高堂秉の牢へやって来た。 ようやく高堂秉は自分が原因で荀詡が拷問を受け、しかも五仙道に密告した密偵の女が荀詡の表妹であり白帝の妻だと知る。 「…お前まで巻き込むつもりはなかった」 しかしこれが諜報であり、もし主が同じなら今も仲間だったはずだ。 荀詡は確かに翟悦(テキエツ)が惨殺され、自分の脚が動かないのも″仲間″である高堂秉のせいだと激高、思わず松葉杖に八つ当たりしてしまう。 もはや何も言い返せない高堂秉、すると荀詡は怒りと悲しみをこらえ、裴緒(ハイショ)に調書を取るよう合図した。 高堂秉は軍技司の夜回りが使う合言葉を黄預に教えたと認めた。 また暗号解読用の木版は間抜けな孫令を利用して手に入れたという。 当時、有事の際は孫令が木版を持ち出し、12人の白毦(ハクジ)兵が護送する決まりだった。 道中では手が出せないことから全く同じ箱を用意し、孫令が出かける前に偽物とすり替えたという。 高堂秉は急いで木版の型を取り、孫令が目的地に着いた後に本物を戻していた。 すると荀詡は曹魏との連絡方法を尋ねる。 「司聞曹の軍機の伝達経路を使った、赤帝(セキテイ)という密偵をでっちあげたんだ」 高堂秉はうっかり口を滑らせた。 「…いつ谷正(コクセイ)の存在を知ったんだ?」 それまで流暢だった高堂秉は表情が硬くなり、質問を変えろという。 「時間をやる、良く考えるんだな」 荀詡はひとまず帰ることにしたが、高堂秉が呼び止めた。 「2つ条件がある、陛下に免罪の割り札を賜り、私を赦免すること…そして2度と追って来るな」 しかし荀詡は何も言わず行ってしまう。 一方、司聞曹に戻った陳恭は馮膺を訪ねた。 馮膺は高堂秉の件で責を負う覚悟だと話し、心血を注いで育ててきた司聞曹を陳恭に任せたいという。 そこで陳恭にまず西曹掾の令牌を渡し、先を見据えて曹魏に反撃したいと言った。 「その前に目標を明確にしよう、諜報の対象は2つ、1つは曹魏でもう1つは国内だ」 実は第二次北伐について丞相が朝議を開くため、街亭の時のような失敗は2度と犯せないという。 しかし外勤だった陳恭なら対外諜報を熟知しているため、司聞司を率いるよう命じた。 馮膺は孫令に陳恭から要望があれば聞くよう助言した。 孫令は姐夫が育てた陳恭なら身内も同然だと了承したが、実は陳恭は李厳の内弟子、後ろ盾が大きいからだという。 「あ?…じゃあ、私たちの仲間ではないと?」 「とにかく私の言う通りにやれ」 馮膺は自分がいなくなったあとの孫令を心配したが、何よりこれは自分の命を守るためでもあった。 紫煙閣(シエンカク)の柳瑩(リュウエイ)は新しい客をもてなすことになった。 「どのような遊びがお好みですか?…琴や簫はどうです?」 「高尚な趣味がなくてな」 「紫煙閣の掟をご存じないのでしょう、他の遊び方もありますが、急いてはいけません」 すると陳恭は懐から笛頭部を出して渡した。 柳瑩は笛頭部を確認、自分の竹笛の本体にはめてみるとぴったり合う。 「″神亀は命流し時期を待つな″」 「″騰蛇(トウダ)は飛翔し天地のごとく輝く″」 「…お待ちしておりました」 一方、雍(ヨウ)州の叔父に呼び戻された郭剛(カクゴウ)は意気消沈していた。 (´・_・`)<叔父…私は陳恭が生きていることも何も知りませんでした すると郭淮(カクワイ)は郭剛の軽率な行動なら読み通りだったと話し、失敗から学べば良いと励ました。 「荷をまとめよ、天水に戻るぞ」 しかし郭剛は罪を償うまで復職はできないと令牌を返してしまう。 「青萍(セイヒョウ)計画が仕上げに入った」 実は青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、曹魏の手の者を敵の上層部に送り込むことだった。 燭龍が司聞曹の曹掾になれば軍事機密をもれなく入手できる。 「良く分かりません…高堂秉は捕まったのでは?」 「″燭龍″は秘匿名だ、捕まった瞬間から高堂秉は燭龍ではない」 郭淮は高堂秉が真の燭龍を育てる踏み台に過ぎないと教えた。 「では新しい燭龍とは一体…」 いよいよ諸葛亮の朝議が始まった。 皇帝は北伐を続ける必要性を感じていなかったが、諸葛亮は先帝の意志を継いで打って出るべきだと上奏、蜀漢と東呉を相手に曹魏が疲弊している今こそ好機だという。 しかし李厳は反対、ならば東呉の戦で亡くなった先帝の敵を討つため、東呉を討つべきだと訴えた。 諸葛亮は東呉と決裂すれば曹魏に侵攻の隙を与えてしまうと指摘し、そうなれば漢中を明け渡すことになるという。 「陛下、漢中に入り多くの臣下を失いました… また数年経ち、3分の2の兵力を失えばもう戦えません!蜀漢は曹魏を討つ機を失います!」 すると皇帝はもっともだと納得した。 つづく (  ̄꒳ ̄)なるほど~で最後にもう1回どんでん返しが来るか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.10 23:38:19
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