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2022.12.11
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风起陇西(ふうきろうせい)
第二十二計「樹上に花を開(サ)かす」

激しい雨が降り続く天水(テンスイ)にようやく黄預(コウヨ)から報告が届いた。
郭淮(カクワイ)は陳恭(チンキョウ)が期待に応えていると分かって喜び、郝昭(カクショウ)に陳倉(チンソウ)を1ヶ月死守するよう命じておく。
一方、馮膺(フウヨウ)が陳恭の父の敵だと知った荀詡(ジュンク)は改めて陳恭について考え直し、疑わしいことばかりだと気づいた。
そんな中、西郷(セイキョウ)の関所が五仙道の残党に襲われたと急報が舞い込む。
陳恭がすでに西郷へ向かったと聞いた荀詡は急いで後を追うことにしたが…。

陳恭は黄預と合流、山道を登ってくる荀詡たちの一行を狙った。
しかし車に乗った荀詡と裴緒(ハイショ)の話から自分を疑い始めたことに気づき、動揺を隠せない。
「ここまで来たら余計なことは考えるな、決断しろ」
陳恭は黄預に急かされ、ついに毒矢を放った。
毒矢は荀詡の胸に命中、と同時に黄預の号令で五仙道が部隊に襲いかかる。
驚いた裴緒はひとまず荀詡を連れて逃げ出し、物陰に荀詡を隠してから助太刀に戻った。



裴緒は重傷を負ったが一命を取り留めた。
しかし裴緒から聞いた場所をどんなに探しても荀詡の姿は見つからない。
陰輯(インシュウ)は陳曹掾(ソウエン)に報告し、あの荀詡のこと、西郷へ急いだのには何か理由があるはずだと言った。
普段は荀詡のやり方に賛同できないことも多いが、才能と知謀は確かだという。
「それから裴緒は何か隠しているような気がしました」

狐忠(コチュウ)は諸葛亮(ショカツリョウ)が陳倉を落とせず、行き詰まっていると報告した。
しかし李厳(リゲン)は諸葛亮の容易に諦めない性格を良く知っている。
恐らく諸葛亮は長安を取る気などなく、狙いは上邽(ジョウケイ)か天水のいずれかを取り戻すことだろう。
それだけで軍の士気は上がり、勝報が成都(セイト)に届けば皇帝の心も揺れるはずだ。
「そうなれば今までのように私を信じてくれるかどうか…」
李厳は不確かな要素に希望を託さぬよう諭し、機会を奪われてはならないと釘を刺した。

陳恭がようやく李厳を訪ねてきた。
陳恭は馮膺の失態を謝罪、靖安司の内密の調査に気づかなかったと釈明する。
実は李厳は荀詡の襲撃が陳恭の手配だと踏んでいた。
陳恭は燭龍の件に固執する荀詡が高堂秉(コウドウヘイ)の死で警戒を深め、いずれ恩師に累が及ぶことを恐れたという。
「そなたと荀詡は兄弟も同然だったはず、私のために即断したとは…辛かったであろう
 しかし非常な功を成すなら非常な手段を取らねばな」
すると李厳は狐忠を急いぎ定軍(テイグン)山へ戻したと教えた。
散(サン)関の準備が整うのは10日後、李厳が第1の兵糧を送っても丞相の元に届くことはない。
「東呉が侵攻したとなれば丞相は両方の戦線に対応できません
 すかさず恩師が魏と呉を阻んで収拾すれば、丞相一派が束になっても恩師の功績は隠せません」
「あとはその計画をいかに実行するかだな」
「この命をかけて全力を尽くします」←違った意味でw

その頃、荀詡は小さな灯りを頼りに自分がどこにいるのか調べていた。
すると急に明かりが差し込み、誰かが小窓から食事を差し入れ、すぐ閉めてしまう。
「誰だ?!なぜ私を閉じ込める?!」
荀詡はともかく薬湯を飲み干し、器を割って地道に壁を削り始めた。



荀詡の面倒を見ているのは陳恭に頼まれた林良(リンリョウ)だった。
「順調に回復している」
「決して誰にも漏らさぬように」
陳恭は荀詡の身を隠して別名を用意し、林良に託した。
しかし林良は荀詡の性格上、解放すれば必ずこの件を追及すると危惧する。
もし荀詡に真相を暴かれれば誰も逃れられず、両全の策などない。
「心を決め、安らかに逝かせたほうが…」
「林良…私が疲れ果てているのは翟悦(テキエツ)のことだけではない
 今になって誰が正しいのか分からなくなった」
陳恭は混乱し、精根も尽き果てていたが、ただ1つ分かっているのは荀詡は生きるべきだということだった。
「奴を生かさねばならない…あいつは皆と違う、あんな男は他にいない」

陳倉道、蜀軍は連敗を装って敵軍を誘き出した。
虎威将軍・王双(オウソウ)は余力がない蜀軍をここで一気に追い詰めようとしたが、副将から諸葛亮の罠かもしれないと止められてしまう。
しかし時すでに遅し、引き返すと決断した時には逃げ場がなく、蜀軍に包囲されていた。

諸葛亮は王双を討ち、首級を成都へ送った。
これから蜀軍は祁(キ)山に進み郭淮率いる曹魏の主力と対決、ひと月以内に天水と上邽を奪還するという。
屋敷で報告を聞いた李厳は動揺し、直ちに江州へ使いを送るよう命じた。
「次の動きに出る」
すると李厳は急ぎ皇帝に上奏する。
…呉主・孫権(ソンケン)は表面上、丞相と盟約を結びましたが、実は秭帰(シキ)に入りました
…魏を攻める名目で西川(セイセン)を奪えと陸遜(リクソン)に命じ、2隊に別れて江夏(コウカ)と宜都(ギト)へ
…我が軍の北伐に乗じて川沿いに攻めて行くつもりです
…我が軍の精鋭は陳倉と祁山の一線におり、王双を斬るも効果はなく、陳倉は未だ落とせません
…勝利もなく2国から攻められ、先帝の得た地が危険にさらされています

激しい雨の中、沔水(ベンスイ)上流では黄預が指揮をとり水をせき止めていた。
あとは陳恭の合図で放水させ、蜀軍の兵糧が通るのを邪魔すれば良い。
一方、荀詡は必死に壁を掘り進めていた。
その時、誰かの足音に気づき、開いた小窓から食事を差し入れた腕を咄嗟につかむ。
「林良か?!」
荀詡は自分を監禁したのが陳恭だと気づいて愕然となった。
腕がもげそうになった林良は必死に陳恭が荀詡を救おうとしていると訴える。
荀詡は仕方なく林良の腕を放し、ともかく陳恭を呼ぶよう頼んだ。
しかし陳恭は李厳に命じられ、兵糧の調整で定軍山に出かけて留守だという。
「戻るのは数日後だ…いつも水に混ぜている薬は矢傷に効く、忘れずに飲んでくれ」
すると林良は小窓を開けたまま帰ってしまう。
「自ら会いに来いと伝えろよ!」

柳瑩(リュウエイ)は未だ皇帝の密詔を処分できずにいた。
そこで密かに動くべく黒衣に着替えたが、運悪く侍女・影(エイ)児が入って来る。
「小姐、温かい汁物をお持ち…(はっ)」
「…どう?私の変装?」
すると柳瑩はいきなり隠し持っていた短刀で影児の胸をひと突き、始末した。



諸葛亮は李厳の後方支援に一抹の不安が残り、念のため参軍の鄧芝(トウシ)を散関に派遣した。
予定通り狐忠から兵糧を引き継いだ魏延(ギエン)、しかし馬岱(バタイ)の報告で橋が壊れて近道の西側が通れず、回り道の東側の道へ行くことになる。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)ショーシャンク荀詡、あっさり小窓から出られそうなのにwww





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最終更新日  2022.12.11 14:53:04
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