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カテゴリ:玉昭令 全52話
玉昭令 No Boundary Season 2 第10話 江易(コウイ)の遺体を発見した展顔(ヂャンイェン)は今すぐ江文卿(コウブンケイ)の陰謀を阻もうと決めた。 しかしその前に意を決し、端木翠(ダンムーツェイ)に全てを明かすことにする。 「実は江文卿は私の義父、千年後から来たんだ…」 義父を殺した江文卿は江易の生まれ変わりだった。 展顔は千年の間に何が起きたのか伝えた。 觳閶(コクショウ)が戦死した後、端木翠が出陣した弔い合戦で人族はほぼ全滅するも勝利し、諸将は神仙に冊封されるという。 幽族は幽閉されたが千年後、温孤(オンコ)によって解放され、温孤が故気(コキ)を用いて作った幽毒が原因で三界は崩壊の危機に瀕していた。 江文卿はこれも神仙たちが役立たずなせいだと憤慨し、冊封をやり直すつもりだという。 「つまり己が神仙になり、三界を統べようと考えている」 摩訶不思議な展顔の話、しかし端木翠は展顔が決して自分を騙さないと確信していた。 端木翠はまず義兄・楊鑑(ヨウカン)に真相を伝えることにした。 そこで墓地へ案内したが、展顔に気づいた楊鑑が思わず剣を抜いてしまう。 すると展顔は潔白を証明するために来たと訴えた。 「大哥(ダーグァ)、あそこを見て」 端木翠は兵営にいる丞相が偽物で、あの遺体が義父だと教えた。 にわかに信じられない楊鑑、しかし遺体の肩や腕の傷を確かめ、義父の死が事実だと分かる。 実は楊鑑は子供の頃、戦の最中に崖から落ちたことがあった。 その時、楊鑑を救出した義父は肩を岩にぶつけて骨を折り、すぐ手当てしなかったせいで今も骨が出っ張っているという。 江易は楊鑑が負い目を感じないようずっと秘密にして来たのだ。 また遺体の左腕に残る傷跡は幽族の襲撃から楊鑑をかばって斬られた時のものだった。 楊鑑は義父を守れず泣き崩れたが、端木翠は義兄の責任ではないと慰める。 「今すぐ江文卿の罪を暴きましょう!」 3日後、江文卿は觳閶の棺を前に出陣式を行った。 「端木!ただちに觳閶の弔い合戦を行え!」 しかし端木翠は拝命せず、本当なら幽族と和睦し、觳閶や阿弥(アビ)たちが死ぬこともなかったと嘆く。 「お前のせいだ…故意に和議を潰し、戦を起こしたな?! お前が幽族にありもしない罪を着せて惨劇を招いた!」 端木翠は丞相を名指しで非難し、棺のふたを開け放った。 棺の中には觳閶ではなく江易の遺体が横たわっていた。 騒然となる兵士たち、しかし丞相は死体ごときで自分を陥れるつもりかと激高する。 すると展顔が本物の丞相だというなら長年の戦でできた無数の古傷を見せるよう迫った。 焦った江文卿は自分が殺したという証拠はないと反発する。 そこで展顔は一緒に埋められていた凶器の短剣を出した。 「これは柄(ツカ)の部分に縄を巻かないと自分の手まで傷つけてしまう」 展顔は試しにその短剣で棺を刺すと、握っていた場所が切れて血が流れる。 「あなたの手にも同じ傷があるのでは?」 端木翠は隙を突いて丞相の手を捻り上げると、確かに手のひらに傷があった。 楊鑑はその場で義父の敵を討とうとした。 しかし端木翠が止め、調べてからでも遅くないとなだめる。 「投獄しろ!」 こうして江文卿は拘束され、連行された。 すると去り際、江文卿が展顔に警告する。 「残された時間は長くない、考え直してはどうだ?…あとで会いに来い」 江文卿の処遇について将軍たちの意見が分かれた。 楊鑑はこの手で復讐を果たしたいが、士気が下がった兵士たちは幽族に引き渡すよう進言する。 そんな中、幽族に襲撃された兵士が血まみれになって戻って来た。 すると江文卿を幽族に渡して和議を求めるべきだとの声が大きくなる。 端木翠も両族の和平を願っていた義父のため、江文卿を引き渡して戦を終結させたいと願った。 しかし楊鑑は温孤(オンコ)が再び和議を受け入れてくれるとは思えないという。 「大哥、とにかくやってみましょう」 楊鑑はしばし考えたが、結局、江文卿を崇城へ送ると決めた。 展顔は義父に面会した。 すると江文卿は沈淵が端木翠の開いた虚構の世界に過ぎないと思い出させる。 「千年後の啓封(ケイホウ)こそが現実の世界なのだ、啓封を守るため沈淵の者を傷つけても問題あるまい」 「啓封であれ沈淵であれ、どこにおいても正義は変わりません 沈淵にいる者も血が通い、感情を持っています」 そこで江文卿は自分が引き取った時、展顔は実の父と思って接すると言ったはずだと情に訴えた。 展顔も不本意ではあったが、義父はあまりに執着が強く頑迷過ぎるという。 「頑迷なのはお前だ!端木翠はいまだに目覚めぬ、このままでは我らが苦しみ続けるだけだぞ? このままどんどん弱って完全に身体が消えたら、我らは現実の世界からいなくなる!」 その時、展顔と江文卿の身体に異変が起こった。 それでも展顔は大勢を犠牲にしてまで生きたくないという。 江文卿は仕方なく崇城を攻めなくても別の方法があると教えた。 「端木翠の記憶を取り戻し、神位を譲るよう説得しろ、さすればお前たちを連れて沈淵を出る」 「…義父、お元気で」 展顔はまさか2人の話を端木翠が立ち聞きしていたとも知らず、牢獄をあとにした。 崇城に人族の使者がやって来た。 温夫人殺害の黒幕を捕らえたため、和睦したいという。 そこで使者は江文卿を引き渡すことにしたが、いざ幕を外してみると檻はもぬけの殻だった。 実は江文卿は檻の中で一瞬、全身が消え、これを利用し脱出に成功する。 …この機会を断じて逃さぬ… 一方、再び人族に騙された温孤は激怒、使者の遺体を送り返し、和議を望むなら統領の首を差し出せと迫った。 いよいよ避けられなくなった人族と幽族の戦い、楊鑑は温孤の宣戦布告を受け、明日、決戦を行うと決める。 「端木、我らは戦うしかないのだ、他に道はない、戦わねば死ぬ」 しかし展顔はまだあきらめていなかった。 …端木、何としても戦を阻み、君を無事に啓封へ連れて帰る、そして故気を消して皆を救おう… その夜、展顔は落胆する端木翠を慰めた。 「まだ間に合う」 「…そうね、道がなければ切り開けばいい」 展顔は思わず端木翠を抱きしめたが、この時、端木翠は密かに決心していた。 …展顔、決めたわ、ここが私の開いた沈淵なら私が終わらせるべきよ …もし両族が恨みを捨て矛を収めれば、端木上仙が目覚め、あなたも幸せになれる …そのためなら死んでもいい 端木翠は全てを失う前に親しい人に別れを告げた。 阿弥の墓には母の形見のかんざしを残し、これがあれば来世で阿弥を探せるという。 …阿弥、さようなら… また義兄の幕舎を訪ね、その凛々しい姿を目に焼き付けた。 …大哥、ごめんなさい、しっかり生きてね… その頃、展顔は独り崇城に向かっていた。 展顔は密かに楊鑑へ温孤を説得に行きたいと申し出ていた。 『端木のためです、一方が家族で一方は友、端木は誰よりも双方が傷つくことを望んでいません』 楊鑑は義妹が勝気に見えて実は誰より優しいと知っていた。 『自分が犠牲になっても他人を守るところがある…』 『ですから…』 つづく ( ๑≧ꇴ≦)あと少しで目覚めるぅぅぅぅ〜?! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.26 21:06:48
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