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カテゴリ:夢華録 全40話
梦华录 A Dream of Splendor 第25話「命の危機」 蕭欽言(ショウキンゲン)の船を襲ったのは顧千帆(コチェンファン)が信頼する叔父・斉牧(セイボク)の配下である崔(サイ)指揮だった。 船上で繰り広げられる激しい攻防。 顧千帆は孤軍奮闘して父を守ったが、最後の最後で崔指揮に胸を刺されてしまう。 しかし顧千帆は意識を失ったふりをして相手を油断させ、ちょうど手元にあった折れた木片をつかみ、崔指揮の首に突き刺した。 茶湯巷(チャユコウ)では民が火の気が上がった船を見て騒ぎになっていた。 その時、偶然、趙盼児(チョウパンアール)が通りかかり、船で蕭欽言が″千帆″と叫ぶ声に気づく。 パンRは咄嗟に桟橋に駆けつけ船に縄を投げると、民と協力して船を接岸させた。 すると船の中に血まみれで意識のない顧千帆の姿を見つける。 パンRは顧千帆が身につけている皇城司の照明弾を上げて助けを呼び、無我夢中で応急処置をした。 「やめるんだ!強く押したら死んでしまう!」 「血が黒いでしょう?毒よ」 照明弾を見た陳廉たちが駆けつけた。 陳廉は顧千帆をすぐ運び出させたが、なぜかパンRがいる。 「息はまだある、右肩に4寸もの深手が…毒はできるだけ絞り出しておいたわ」 「分かりました、この件は…」 「安心して、私は何も見ていない でも生死に関わらず、明日、状況を教えて欲しいの、茶坊で待ってる」 パンRは瀕死の状態で運ばれて行く顧千帆を桟橋で見送った。 皇城司に運び込まれた顧千帆は朦朧とした意識の中で陳廉を呼んだ。 「私は目が覚めたと斉中丞に伝えろ…それから…」 顧千帆は雷敬(ライケイ)に聞こえないよう陳廉の耳元で囁き、再び意識を失ってしまう。 パンRはやっとの思いで桂花巷(ケイカコウ)へ戻った。 帰りを待っていた宋引章(ソウインショウ)が声をかけたが、パンRは逃げるように母屋に入ってしまう。 すると何も知らない引章が部屋に入ってきた。 「寿宴で顧副使に助け船を出してもらったでしょう? お礼に宴席を設けたいけど訪ね先を知らないから…陳廉に聞いてくれない?」 パンRは事情を言えず、顧副使は忙しいので時間がないと答えた。 「なぜパンR姐が知っているの?」 「…知っているからよ!」 動揺していたパンRは思わず声を荒らげ、驚いた引章は泣きながら出て行ってしまう。 孫三娘(ソンサンニャン)はパンRに何かあったと気づいて様子を見に行った。 しかしパンRは泣き顔を見せまいと寝所に入ってしまう。 三娘はひとまずそのままそっとしておくことにした。 するとほとんど眠れなかったパンRが早朝から出かけて行くのを見つける。 三娘は憔悴したパンRを心配して店を休むよう勧めたが、パンRは顧千帆が心配で居ても立っても居られなかった。 そこへ葛招娣(カツショウテイ)がやって来る。 「引章姐が具合が悪いから休むって…」 「そう、ご勝手に…」 パンRは話もそこそこに慌てて出かけてしまう。 さすがに招娣もパンRの異変に気づいたが、三娘はとにかくすぐ後を追うよう頼んだ。 半遮面(ハンシャメン)には今日も引章の琵琶を目当てに満席だった。 しかし引章が店に来るかも分からず、その上、この蒸し暑さの中、氷が手に入らなくなってしまう。 パンRは製氷店に交渉に行ったが、実は池蟠(チハン)の嫌がらせだと分かった。 三娘と招娣は店をパンRに任せて氷を探しに出かけた。 三娘は顔が広い招娣に銭を託して氷の仕入れを頼み、引章の様子を見に行くことにする。 その時、偶然、学童たちにからかわれている杜長風(トチョウフウ)と遭遇した。 すると学童が杜長風めがけて放ったつぶてが運悪く三娘に命中してしまう。 杜長風は子供の遊びだと寛大だったが、三娘は額から血を流しながら激高した。 「懲らしめなきゃ気が済まない!」 三娘は書院に乗り込み、師である杜長風をからかう子供たちを厳しく叱りつけた。 「師範をあがめないなんて、一体ここで何を学んでいるの?! どれだけ自分が恵まれているか分かっている?!」 三娘は銭塘(セントウ)に残してきた息子を思い出し、当時は半年も働いてようやく都落ちの知識人を師に招くことができたという。 すると三娘は杜長風が無官だとしても実力で及第した堂々たる進士だと訴えた。 「あんなたちに寛容なのはなぜか分かる?誰よりも度量が大きいからよ! 愛してくれる人を大切にしないで、反対に…ぁぁ〜もういいわ」 一方、港で買い物をしていた招娣は運悪く母親に見つかった。 「捕まえた!離さないよ!」 母親は招娣の足にしがみついて大泣き、周囲の目を気にした招娣は咄嗟に銭をばらまき、母が拾っている間に逃げ出した。 杜長風は三娘が書院に起き忘れた籠を持って追いかけた。 三娘は悪童に何も言えない杜長風を意気地なしだと蔑んだが、不思議と間抜けなところが憎めない。 すると三娘は陳廉から聞いた杜長風の目の話を思い出し、それは病のせいだと教えた。 「これちょうだい…」 三娘は豚の肝を買って杜長風に渡すと、30日間1切れずつ食べるよう勧めて帰ってしまう。 顧千帆は翌朝になっても目覚めなかった。 すると蕭欽言が手配した鍼の第一人者が駆けつけ、治療を始める。 陳廉は顧千帆に付き添い、悲しみに暮れた。 「パンR姐が今も知らせを待っています…助かったのはパンR姐のおかげなんですよ? 素早い対処がなければ今頃は…ゥッ…パンR姐の思いに応えて早く起きてください」 「…応えるとも」 その時、顧千帆がついに意識を取り戻した。 「託したことはやり遂げてくれたか?」 「はい」 「中丞は何と?」 「最初の言葉はこうだったそうです…″崔指揮はいつ死んだ?蕭欽言は生きているか?″」 「私のことは?」 「36言目に…」 顧千帆は叔父に深く失望し、皆が止めるのも聞かず起き上がった。 三娘は店を休んだ引章に食事を差し入れた。 しかし引章は食べたくないと器を払い落としてしまう。 三娘はこれまで我慢していた不満が爆発、確かに蕭府で面目を施したが、だからと言って家族に威張り散らすなと叱った。 「″風骨″の揮毫(キゴウ)だけで公主にでもなったつもり?! 不機嫌になるたびパンRがなだめてる、なのにあんたは茶坊で琵琶を弾こうともしない 3人で開いた店でしょう?」 「ごめんなさい、でも本当に具合が悪くて…」 「パンRは歩くのもおぼつかないのに茶坊に出てる、暑さに弱いあんたに薄味の料理をって… あんたはパンRを気遣ったことがある?…パンRはあんたに借りはないし、母親でもないのよ?」 半遮面の裏庭に陳廉に付き添われて顧千帆が現れた。 するとパンRは思わず抱きつき、泣いてしまう。 「助かると信じていたわ…」 「会えて安心した、私なしでは君は喧嘩できないし、散歩や商いもできないだろう?」 しかし運悪く店にやって来た引章が2人の抱き合う姿を見てしまう。 引章はようやく気づいた。 これまで2人が一緒にいたのは偶然ではなく、恋仲だったからだと…。 引章は店から飛び出し、桟橋にたどり着いた。 すると姿が見えない引章を探していた三娘が現れる。 「さっきは言い過ぎたわ…」 「平気よ、譜面を探しに好好(コウコウ)姐のところへ行くだけ でも本当に紛失して顧副使の怒りを買ったらパンR姐はとりなしてくれる?」 「もちろんよ、婚約の日も近いし、譜面なんて大したことないわ」 三娘は引章に鎌をかけられ、うっかり口を滑らせた。 引章は自分だけ蚊帳の外だったと知り、深く傷ついた。 そこで沈如琢を訪ね、気持ちに変わりはないか確認する。 「もちろん…真珠のような君に市井(シセイ)の泥は合わない 今後は私が君の面倒を見て守ってやりたい」 つづく |ω・`)、今回ばかりは引章が可哀想だわ~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.18 14:58:41
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