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2024.03.26
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花琉璃轶闻 Royal Rumours
第23話「あなたを守りたい」

祖父を失い、孤独感に苛まれる杜琇瑩(トシュウエイ)。
その夜、中庭で呼び笛を吹くと、約束通り雲寒(ユンハン)が現れた。
「祖父を嫌う人が多いのは知っています…
 それでも私にとっては最高の祖父だった、素晴らしい人でした」
雲寒は憔悴する琇瑩を慰め、家族を守れなかったことを謝罪した。



太平宴の当日、花(カ)家は朱(シュ)御史の暗殺事件を理由に未だ軟禁されていた。
しかし琉璃(リィウリ)はじっとしていられず、皇太子を助けに行くと決める。
花応庭(カオウテイ)は止めたが、衛明月(エイメイゲツ)は最愛の人を守りたいという娘の決断を尊重した。
「行かせてあげて」

金珀(キンハク)国の第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)は宴席で久しぶりに絳紗(コウサ)と再会した。
「書院には慣れたか?」
「お陰様で…二殿下、どうかこのまま縉(シン)国で学ばせてください」
絳紗は縉国では女子でも官吏になれる道があると知り、努力次第で様々な可能性があると分かった。
「尊厳を捨てなくてもいい、男に頼る人生から抜け出せます」
賀遠亭は了承し、絳紗を同行したのは自分にしては珍しく正しい判断だったと喜んだ。

太平宴に花家の姿はなかった。
重臣たちが花家は完全に失脚したと噂する中、楽陽(ラクヨウ)長公主は娘の謝瑶(シャヨウ)にこの機に乗じるよう発破をかける。
駙馬の謝臨州(シャリンシュウ)も皇太子が花家を切り捨てたと思い込み、ここで決着をつけるしかないと考えていた。

一方、後宮では三皇子・姫元弘(キゲンコウ)が昏睡していた。
母の林(リン)妃は息子を心配し、太平宴を欠席すると決める。
その頃、招待客が揃った未央(ビオウ)殿に皇太子・姫元溯(キゲンソ)が到着した。
皇帝は体調を崩して欠席したが、万国朝拝会が各国使臣の協力により滞りなく開催できたことを喜んでいるという。
ちょうどその頃、琉璃と鳶尾(エンビ)は城門で衛兵に足止めされていた。

実は裴済懐(ハイセイカイ)は念のため花郡主には皇太子の計画を明かしていた。
太平宴の日、皇太子が自らおとりとなり、奇襲を迎え撃つという。
『私は関所に兵を配し、敵を捕らえます』
『だめよ、あの不完全な文では襲撃されること以外、何も分からないのに…』
琉璃は太平宴が始まる前に城外にいる花家軍を宮中に送り込もうと決めた。
しかし今夜は城門の警護が固く、簡単に突破することも難しい。
一方、太平宴では皇太子が万国朝拝会の成功を祝し、乾杯していた。
…杯が割れるのを合図に敵は襲撃してくるはずだ、ならば機先を制するのみ…
姫元溯は2杯目を亡き杜(ト)太師に捧げると、空になった杯をいきなり投げ捨て割ってしまう。
…計画が漏れたのか?…
謝臨州は皇太子の行動に動揺したが、もはや止められなかった。
合図と同時に賊軍が殿内に雪崩れ込み、待機していた黒甲軍の精鋭と激しい攻防戦となる。
…太平宴で襲撃するとは勝負に出たな…
賀遠亭は絳紗を連れて物陰に避難しながら、謝臨州の動向をうかがった。
すると賊兵が駆けつけ、謝臨州に準備ができたと声をかける。
「かかれ」

賊兵は応戦する皇太子に向かって爆弾を投げた。
しかし雲寒が現れ、爆弾を切りつけ阻止してくれる。
「なぜ戻った?!」
「理由などない、私の意思です」

姫元溯は敵の標的が自分だと気づき、雲寒に皆を守るよう頼んで外へ飛び出した。
「皇太子が逃げたぞ!」
すると賊軍たちが慌てて皇太子を追いかけて行く。
…太子さえ殺せばまずは成功だな…
謝臨州は今さらながら杯を投げ捨てると、楽陽長公主と謝瑶を連れて引き上げた。

琉璃が城門で手をこまねいていると、鳶尾が裴済懐を連れて戻ってきた。
裴済懐の話では皇太子が太平宴の客人を守るため、敵を引き付けて裏山へ向かったまま行方知れずだという。
そこで琉璃は裴済懐と鳶尾に花家軍の精鋭を引き入れ制圧するよう頼み、馬を借りて裏山へ急いだ。

未央殿では雲寒の奮闘のおかげで敵を殲滅した。
英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)は今のうち母や田嘉敏(デンカビン)たちを連れて避難しようとしたが、安心したのも束の間、新たな賊軍が現れる。
「逃がさないわ」
賊軍を率いてきたのは林妃だった。
「あの傍若無人な太子があなたたちを救うため、おとりになるとはねえ…」

賢(ケン)妃と淑(シュク)妃は林妃が病弱を装いながら暗躍していたと気づき、呆然となった。
「なぜこんな不義理な真似を?!」
「愛する人と結ばれるはずだったのに引き離されたからよ!」
その時、皇帝が元気な姿で現れた。
実は皇帝は真の黒幕をあぶり出すため、皇太子に自分が病気だと噂を流させたという。
すると花家軍が到着、あっという間に賊軍を制圧した。

一方、姫元溯は裏山の展望台で刺客に囲まれていた。
その時、思いかげず琉璃が現れ加勢する。


しかし多勢に無勢、琉璃はなかなか元溯のもとへたどり着けず、深手を追った元溯に危機が迫った。
そこへ宋光(ソウコウ)が兵を率いて駆けつけ、琉璃を逃がしてくれる。
琉璃は咄嗟に剣を投げて逆賊を刺殺、元溯は危機一髪のところで難を逃れた。
「琉璃…そなたを玉京に呼んだことを後悔している…」
「玉京に来なければ殿下と会えなかったわ…さあ、行きましょう」
琉璃は皇太子に手を貸して立ち上がったが、突然、賀遠亭が放った暗器が飛んできた。
驚いた元溯は咄嗟に琉璃をかばって背中に暗器が命中、2人は抱き合ったまま展望台から落下してしまう。
すると賀遠亭は崖下に消えた琉璃に別れを告げた。
…来世があるなら願わくば敵同士になりたくない、琉璃、さらばだ…

皇帝は林妃に誰の指示なのか聞いたが、林妃は口を割らなかった。
「民を顧みない姫元溯がなぜ太子なのです?!元弘も太子になれるはずです!」
「いいえ!」
すると薬で眠らせたはずの姫元弘が駆けつけた。(←なぜかは不明w)
「母上の勝手な理想を押しつけないでください、太子哥哥は立派な方です」
元弘は叩頭し、母と共に罪を償うと嘆願した。

林妃の謀反は失敗、宮中に平穏が戻った。
皇帝はひとまず皇太子の帰りを待つと決め、英王は自ら弟を探しに行くと申し出る。
すると姫元灝は田嘉敏に帰りを待っていてくれと伝えた。
英王の広い背中を愛おしそうに見送る嘉敏。
そんな娘と英王の関係に気づいた田尚書(デンショウショ)と順安(ジュンアン)長公主は困惑していた。

深手を負った雲寒は中庭の庭石の陰で倒れていた。
するとどこからともなく自分の名を呼ぶ杜琇瑩の声が聞こえる。
…ただの幻聴だろう、天涯孤独の私を探す者などいるはずない…
雲寒は皇太子に忠誠を誓った時のことを思い出した。
『皇后の謀反は大勢を巻き添えにした、多くの名家が一瞬にして潰れた
 お前たち逆臣の子に機会を与えたが、余の前に現れたのはお前だけだ
 余に服従し、己の力を示す気はあるか?出自は秘密にしよう』
『殿下にお仕えします』
こうして雲寒は金玲苑(キンレイエン)の楽師となった。
雲寒は当時、誰にも看取られず死ぬ覚悟だと伝えたが、皇太子は必ず自分が骸を見つけると約束する。
『それにいつかお前を案ずる者が現れよう』
…太子殿下、杜小姐、あなた方を裏切った私に生きる価値はない…
その時、確かに杜琇瑩に渡した呼び笛が聞こえた。

杜琇瑩は雲寒を見つけられず、途方に暮れた。
そこで呼び笛を吹いてみたが、やはり雲寒は現れない。
失望してしゃがみこんだ杜琇瑩、その時、血まみれになった雲寒が重い体を引きずりながらやって来た。
2人は固く抱き合ったが、雲寒はもはや手遅れだと言って杜琇瑩に罪状を託す。
「太子殿下に渡してくれ…我が人生において唯一の心残りは…」
すると雲寒はそこで意識を失ってしまう。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)リーフェイ、良かったわ〜!





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最終更新日  2024.03.26 21:15:05
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