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カテゴリ:今宵、若様は恋におちる 全38話
春闺梦里人 Romance of a Twin Flower 第26話「悪夢の原因」 寧鈺軒(ネイギョクケン)は新しくなった非晩霜(ヒバンソウ)を温婉(オンエン)に試すよう迫った。 温婉は肌の調子が悪いとごまかしたが、激怒した寧鈺軒が非晩霜を投げ捨て割ってしまう。 「毒が入っていると知っているからか!」 そこへ鬼白(キハク)が拷問で全てを白状した檀香(ダンコウ)を連行した。 「何も知らぬふりはここまでだ」 実は寧鈺軒は温婉の陵辱が狂言だったと知っていた。 以前、聶桑楡(ニェサンユー)を鞭で打たせたのも、婚礼で自ら腹を刺して聶桑楡に罪をなすり付けたのも、全て温婉の企みだと分かっているという。 「確かな証拠もある、証人もいる、これから都へ送り、大理寺に引き渡す」 言い逃れできなくなった温婉はハサミを自分の首に突きつけ、死んで無実を証明すると叫んだが、寧鈺軒はこれも狂言に過ぎないと分かっていた。 「そこまでだ、連れて行け」 寧鈺軒は季曼(キマン)を呼んだ。 かつて寧家と温家は交流があったが、父の死後は行き来が途絶えていたという。 しかし1年前、温父が急に現れ、家出した娘を探して欲しいと懇願された。 すると山賊の家であられもない姿の温婉とすでに息絶えた賊を発見する。 温婉は泣きながら辱めを受けたと訴え、思わず護身用の短剣で男を殺してしまったと説明した。 『どうか誰にも言わないで…』 『分かった、約束しよう』 『でももう汚れた身です、行き場がありません、どうか助けてください』 『ひとまず寧府に来ると良い、ほとぼりが冷めるまで待て』 温婉の名節に関わるため寧鈺軒は側室を迎えた理由をこれまで伏せていた。 腹黒さに気づいたのは聶桑楡を鞭打たせた日からだったという。 その時は旧情から見逃したが、火事が温婉の企みだと知って再び調査を始めたところ、恥辱は偽りで、死んでいたのは罪のない杣人(ソマビト)だと分かった。 「安心してくれ、もう何も起こらない」 季曼は劉家村が自活できるよう草薬の植え付けを教えた。 今後は皓雪堂(コウセツドウ)が薬材を全て買い取るという。 一方、水亦清(スイイーチン)は水宴居(スイエンキョ)を離れ、新居に越した。 そしてその夜、鬼白を招待し、愛する人だけのために舞を披露するという夢を叶える。 しかし鬼白は決して一線を越えることはなかった。 …私では君を幸せにできない… 「君の舞や琴に感心しただけ、私に気持ちはない」 劉家村から戻った季曼は今日が寧鈺軒の父の命日だと知った。 驚いた季曼は急いで脇殿に駆けつけたが、寧鈺軒がまた悪夢にうなされている。 「寧鈺軒?起きて!」 寧鈺軒はふと目を覚まし、ばつが悪そうに背中を向けた。 仕方なく季曼は出て行くことにしたが、寧鈺軒が急に添い寝して欲しいという。 「何ですって?」 すると寧鈺軒は季曼の手をつかんで寝台にひきずり倒した。 寧鈺軒の悪夢の原因は幼い頃の悲惨な体験だった。 「あれは茶幇(チャホウ)が帰順を決めた日だ しかし幇主の蔡聞正(サイブンセイ)が裏切り、私の目の前で爹爹を斬った」 当時、まだ5歳だった寧鈺軒は炎に巻かれながら必死に父を引きずり出し、屋敷へ帰ったという。 「あの夜から深く眠れたことがない」 「ごめんなさい、辛いことを思い出させて、だから火が苦手だったのね …でもこれからは私がそばにいるわ」 やがて2人は仲良く並んで眠りについた。 寧鈺軒は改めて季曼と婚礼を挙げようと決めた。 そこで衣装選びに出かけたが、種類が多すぎて好みが分からない。 すると店主が通常、婚礼衣装を選ぶのは新郎ではなく友人だと笑った。 「鬼白、水姑娘の助けが必要なんだ、頼む!」 鬼白は昨日の今日で水亦清と顔を合わせ辛かった。 しかし侯爺の頼みを断ることもできず、仕方なく店に書き置きを残しておく。 水亦清は鬼白の初めての誘いに胸を躍らせ海坊製衣舖に出かけたが、待っていたのは寧鈺軒だった。 「私がことづてを頼んだ」 「はあ?」 水亦清は寧鈺軒が季曼の婚礼衣装を選んでいると知り、喜んで協力した。 するとちょうど水亦清が試着したところで鬼白が戻ってくる。 鬼白は美しい水亦清の姿に見とれていたが何も言えず、虚しくなった水亦清は急いで着替えて帰ってしまう。 「相手がお前でないと分かり、水姑娘はがっかりしていたぞ?何を気にしている?」 「私は侍衛ゆえ常に命の危険があります、平穏な幸せを望む相手の伴侶にはなれません 私の腹は決まっています、私は不器用で両立はできぬゆえ護衛を全うします!」 「いやそうじゃなくて…はぁ~堅物め」 その頃、都では檀(タン)王が凌剣星(リョウケンセイ)に次の任務を与えていた。 寧鈺軒を抑えるにはうってつけだという役職・転運使(テンウンシ)、実は今回の皇商大会で勝ち抜いた店の主の中から海上貿易組合の次の会長を選ぶという。 そこで凌剣星は自分の手の者を会長にすると約束した。 一方、海坊でも秦奕閑(シンエキカン)が聶桑楡たちに皇商大会が海坊で行われると知らせていた。 大会で優勝すると皇室御用達に選ばれると聞いた季曼は俄然、やる気を出す。 「でも寧鈺軒は何も教えてくれなかったわ…そう言えば最近、様子がおかしいの」 水亦清は婚礼の件だと知っていたが、ただ忙しいだけだろうとごまかした。 季曼は寧鈺軒が皇商大会のことで何か隠していると疑った。 そこで寧鈺軒の留守の間に脇殿を調べることにしたが、思いがけず棚の中に隠した真紅の衣を発見する。 「なんてことなの、寧鈺軒!私に隠れて女子を囲っているなんて!」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)いーにゃん!さようなら~! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.07 21:44:15
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