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2001年11月04日
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ハイテク選果機

河内地区での研修の目的はハイテク選果機の使用方法についてだった。ここは日本で一番最初にハイテク選果機を導入した産地である。現在、ミカン産地の3分の1は、このハイテク選果機を使っている。おそらく数年中に国内の全部の産地で使われることになるだろう。そこで、かなり専門的な話になるのだが、なぜそれが必要で、どのようなハイテクを駆使した選果機なのかを説明することにしよう。

 ミカンとは、同じ一本の樹に成った果実でも、果実の付いている場所によって味が違う。樹の上部から真中までは糖度が高く、下の方は低い。樹の外側は糖度が高く、内側は低い。日光のよく当たる南側の糖度は高く、北側は低い。その差は少なくとも2度ある。さらに、同じ園地でも水はけの良い場所の樹は糖度が高く、水はけの悪い場所の樹は低い。さらにさらに、日光の良く当たる南向きの園地とあまり当たらない北向きの園地では当然違うし、標高が低いところと高いところでも違う。つまり、生産者から考えれば、色々な味のみかんが個性的に出来るのが当たり前なのだ。

しかし消費者からすれば、たとえば10個買ってきたミカンが、美味しいのからマズイのまで、いろいろ混ざっていたのでは安心して買うことが出来ないだろう。そこで生産者は、園地の方角が同じミカンを一緒に出荷したり、ミカンの色を揃えたり、サンプルのミカンの糖度や酸度を計って区分けをすることによって1箱の中のミカンの味が同じになるように努力をする。しかしこれでは所詮、ミカンの外側から見た判断しか出来ないために、その努力も完璧ではなかったのだ。

そんな時、生産者の期待を一身に担って登場したのが「ハイテク選果機」である。正式には「光センサー方式非破壊およびカラーグレーダー選果機」という。この選果機は一個一個のミカンの「糖度」「酸度」「大きさ」「色」「形」「傷」「浮き皮」を全て調べて選別するという、超スグレモノの選果機なのだ。この選果機を使うことによって、1箱の中のミカンの味を完全に揃えることが可能になった。消費者の皆さんに安心してミカンを買っていただけるのである。

ではどうやって味を調べるのかという説明をしよう。ミカンはベルトコンベアに乗って運ばれていく。最初の部屋では、ミカンに強い光を当てる。反対側でミカンの中を通過した光を受け取る。そのとき、ある波長の光は糖度によって受け取る光の量が変化する。その変化量でミカンの「糖度」を測定する。ミカンが甘いと光の透過量が少なくなるのだ。ミカンの「酸度」や「浮き皮」も同じ要領で測定できる。これを「光センサー方式非破壊選果機」という。

次にそのミカンはカメラで囲まれた部屋の中を通る。ここで上下、前後、左右から写真を撮られ、「大きさ」「色」「形」「傷」を調べられる。これを「カラーグレーダー選果機」という。この2つの部屋を通ったミカンは、それぞれのデータを総合的に判断するコンピュータによって一個一個入るべき箱を決められてしまう。ベルトコンベアに乗って運ばれて行きながら、ちょうどそのミカンが入るべき箱の位置に来た時、コンベアから落とされて箱の中へ、という仕組みになっている。

選果機の処理能力は1つのベルトコンベアで、1秒間に6個。8時間稼動で約10トンである。面白いことに、これはコンピュータの処理能力に左右されるのではなく、ミカンを一個一個確実に測定するために開ける間隔に左右される。今のところ15cmが最低間隔であり、そのようにミカンを並べるためにはベルトコンベアの速度は秒速1m以下でなくてはならない。この1本のラインを造るコストは約1億円である。河内地区の場合ラインは24本あり、一日300トンのミカンを選果する。ただし、毎日夜10時までの残業だそうだ。選果場全体の総工費は30億円で、半分が国の補助金。残り15億円を農家が負担する。(つづく)






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最終更新日  2003年01月11日 18時52分01秒
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