|
テーマ:中国旅行(113)
カテゴリ:カテゴリ未分類
湖の畔まで歩いていくと、昨夜コンクリートの岸壁だと思ったところは船着場だった。一緒に付いてきてくれた宿の主人が、一隻の船に乗り込んで船頭さんを起こしてくれる。船頭さんは船で生活しているのだ。
しばらくすると船から姿を現した船頭さんが、我々を別の船に案内してくれる。我々5人が乗り込むと、船頭さんは船尾に剥き出しで備え付けられているエンジンを始動させ始める。このエンジンは、ヤンマーの7馬力農業用ジーゼルエンジンにそっくりだった。左手でデコンプ・レバーを押さえ、右手でクランクのハンドルを3~4回廻す。弾みがついたところでデコンプを戻すと、パン、パン、パン・・・・とエンジンが始動し始めた。 エンジンとスクリューの間にはギアがあるのだろう、最初船はバックして岸壁を離れ、次に前進して目の前に浮かんでいる小島へと向かい始めた。船頭さんはジーゼルエンジンの横に座っている。速度調節はエンジンのスロットルの開閉で行うのだし、エンジン自体を廻して進行方向を変えるからなのだ。 島は緑の樹木で覆われている。そして、その木々より高く聳えているのは昨夜写真で見た真っ白な建物だった。島の中央には、これも真っ白な観音像が聳えている。それ以外に目立ったものは見えなかった。 ![]() 【さんずいに耳】海に浮かぶ島 何度も書いているように、今回の旅行は「ミステリーツアー」なのだ。この先どこへ行くのかtetywestは知らない。船から島を眺めながらtetywestが予想したのは、 「あの白い建物はたぶんホテルだろう。観音像もホテルのオーナーが造らせたものだろう。どちらもまだ出来て3年そこそこしか経っていない。・・・ということは島には見るほどのものは何もないだろう」 ということだった。 「従って、我々は見るべきものがない島へはおそらく上陸しないだろう。船はぐるっと島を回って戻ってくるだろう」 と思っていた。 実はtetywestは、喩えそれがどれほど大きくて立派でも、観光地にある新しい建物にはあまり興味がない。・・・と言うより、それが美しい自然を押しのけるように存在している場合は嫌悪感を覚えることさえある。目の前に見える白いホテルと観音像はまさしくそういう存在だった。 目前の島から話題が逸れるのだが、「観光」を地方振興の柱にしようと目論んでいる自治体は日本にも多くある。特に次第に過疎化が進む田舎では、 「オラの町を活性化させるには都会から観光客を呼ばねばなるめえ」 と考える。そして何故か温泉を掘る。tetywestの住んでいる香川県は日本で一番小さな面積の県なのだが、今や10を超える温泉があるのだ。 これだけ多くの温泉があれば、過当競争になって客の取り合いが起こるのは当たり前だろう。「讃岐うどん」がフィーバーしているとは言え、香川県に来る観光客の数はそれほど増えてはいないのだ。おまけに、隣の愛媛県には日本最古の温泉といわれる「道後温泉」がある。高速道路でたった2時間の距離なのだから、普通の人なら香川県で「讃岐うどん」を食べて「道後温泉」で泊まるコースを選ぶだろう。そうすると、やがて香川県にある温泉はみんな赤字経営に陥ってしまうことになるのだ。 tetywestは、「さあ、これもありますよ、あれもありますよ」と与えられなければ満足できない日本人の「観光」はまだまだ「発展途上」だと思っている。京都や奈良のように、町中に文化遺産が溢れているような恵まれた町はともかく、何もないからと言って「温泉」を掘ろうなどと考える必要はないのだ。何も造らなくても田舎には田舎の素晴らしさがある。何も造らなければ大勢の観光客に訪れてもらう必要もない。その素晴らしさを味わいたい人にだけ満足してもらえれば、それが一番いいことだと思う。何もない田舎が何もないことを誇れる時代が来たとき、本当の「地方の時代」が来るのだろう。ただ、tetywestが生きている間には無理かもしれないのだが・・・(汗) tetywestが島に聳える白い建物に嫌悪感を覚えた背景説明が少々くどくなってしまったようだ。日本の「観光」でさえこんな状況なのに、中国の観光開発についてとやかく言える立場ではないのだが、tetywestは中国にも出来る限り美しい自然を大切に残して欲しいと願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年10月09日 12時31分03秒
コメント(0) | コメントを書く |
|