森の変化、砂漠化。
小さなことの、なんでもないことの積み重ねが招いていたとしたら?
(これは想像ですが、声なきものの声だとも思っています)
森に珍しい花が一輪だけ咲いていました。
あまりに珍しいので、摘んで帰り飾りました。
次の年、またあの珍しい花が咲いていないかと、森に行き、また一輪だけ見つけたので、摘んで帰りました。
その次の年、あの珍しい花は、森のどこを探しても見つかりませんでした。
それから、何年か経つと、あの花だけでなく、虫たちの姿が少なくなりました。
それから、また何年か経つと、明るくて光に満ちていたはずの森が、暗く寂しい感じになりました。
それから何年も経った頃、森から鳥の声も動物の姿も、森にあった命が消えてしまったことに気づきました。
森の青々としていた木々が、暗く、朽ちていて、森はもうあの珍しい花が咲いていた頃の明るさはありませんでした。
森から生きているものの気配が消えて、森の木々が枯れ、風の吹く度に、土が乾いてカサカサになり、ひび割れて、固くなりました。
土までも死んでしまったのです。
命のない土は、風に吹かれ乾いて舞い、周りの土までも覆って、命を奪うものに変わりました。
やがて、命の光の消えた大地は砂と化し、砂漠と呼ばれ広がって行きました。
豊かな緑の木々も、鳥の声も動き回っていた動物たちも、みな幻となってしまったのです。
私達の心の中だけにある幻となってしまいました。
あの珍しい花があったら?
森はまだあったでしょうか?
あったかも、なかったかも、それは未来になってみないと分からないのです。
小さなことが、未来にどのような変化を及ぼすのかは、分からないのです。
ただの偶然、でも、無くしてしまった必然があるのです。
私達は、このくらいで自然が壊れたり、地球が無くなったりしないと信じて生活しています。
でも、僅か50年、この大きな変化は、長生きしてきた人の目からは、明らかな変化なのです。
見て生きてきて知っているから、無くなって幻となったものを知っている。
でも、見たこともないものは、あったことすら知らない。
小さなことの繰り返しが、大きな変化を呼んでしまっているのなら、小さな変化へと変える何かを知りたいのです。
自然界にあったら、小さなことで、消えない未来の森がそこに存在するのなら、知りたいのです。
どうしたら、小さなことの繰り返しで、自然界に生まれる命を増やしていけるでしょうか?
柔かな土、花や木々、虫や鳥や動物たち、そして私達を生かしてくれる森。
私達は何ひとつ欠けても生きて行かれない。
少しの間は気づかないくらい、生きていけても、遠い未来に、森のなくなったこの地球に生きて行かれない。
小さなことの繰り返しが未来の世界を消してしまう。
(可能性の問題で、今の現実じゃない?)
(だから、何もしてくれませんか?)
(消えて行く未来を考えてはくれないのですか?)
(私達のいる、この未来のことを考えてくれないのですか?)
(私達はまだ生きています。)
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