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テーマ:ワイン大好き!(30395)
カテゴリ:建築・都市・建築家
今から20年近く前、 パリで実施設計をしていたころのこと、 夏がやってくると、 7月14日のフランス革命記念日におこなわれる パリ祭があった。 パリの都市的な大動脈である幅70mのシャンゼリゼ (エリゼ妃の散歩道とでもいおうか)を使って 繰り広げられるお祭りのデモンストレーションに、 シャンゼリゼの歩道は黒山の人だかりとなる。 革命記念日なので、 シャンゼリゼには、陸軍などの大パレード が披露される他、 何と、その上空を、 空軍の戦闘機が低空飛行してゆく。 三軍の長である大統領もオープンカーで パレードする。 当時の大統領は、2期目にはいったばかりの 社会党系のミッテラン大統領であった。 当時の大統領は、1期が7年間であったが、 ミッテランは14年間君臨した。 ミッテランは、所謂大統領のプロジェクトである、 パリのグランプロジェ10件の建設を実現させた。 そのころ、私たち丹下健三のスタッフは、 ミッテランの対立候補である、 保守連合のシラク パリ市長のプロジェクトで、 パリに滞在し、実施設計をしていたのであった。 シラク プロジェクトの特徴は、 競争に参加するデベロッパーに開発権上の メリットを与えることで、 市民の税金を一銭も使わないで、 公共的プロジェクトを実現するというものであった。 今で言う、PFIに先行するプロジェクトであった。 そのシラク氏の政策に引き続いて、 イギリスのサッチャー首相による PFIが行われる様になったと理解している。 シラク氏が大統領になるのは、 その数年後のことであるが、 丹下先生は、ずっと前から、シラク氏を応援していた。 そもそもが、フランス芸術院の外国人正会員のポストを、 ミッテランが推す、アメリカ在住の中国人建築家、 ヨー=ミン=ペイ氏と、 シラク氏が推す、丹下健三氏が 争い合ったことによる。 この勝負はペイ氏が勝利し、先に正会員となった。 しかし、まもなく空席が生じて、丹下氏も正会員となる。 しかし、ペイ氏はミッテランのグランプロジェの一つ、 ルーブル美術館の改造の大仕事を獲得したのに対し、 丹下氏は、シラク パリ市長の小さな経済的プロジェクト、 グランテクラン(パリ市第七芸術(映像芸術)センター) を獲得するにとどまった。 PFIによる民間活力導入のプロジェクトであったため、 民間のデベロッパーが限られた予算の中で、 ぎりぎり以下に切り詰めていたため、 単位面積あたりの単価で、 グランプロジェに比べ3分の1以下に 抑えられていたのであった。 はたして、世界のケンゾー=タンゲに 相応しいプロジェクトといえたかどうかわからないが、 今も、パリの場末の東部地区の中心であるイタリア広場に、 その建物は建っている。 パリ祭のミッテラン大統領のパレード お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 25, 2007 01:01:02 AM
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