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今回はいま発売中の創刊号に書いたナポリ特集の補足など。
右の写真は、一緒に取材したカメラの高橋在さんが撮ったナポリ湾の風景。向こうに見えるのが、紀元79年にポンペイの町を火山灰の下に埋めたという、かの有名なヴェスヴィオ火山ですね。最近は煙を吹いていませんが、いつ爆発するかわからないちゃきちゃきの活火山です。 観光ガイドブックなんかに必ず書いてある「ナポリを見て死ね」というフレーズは、18-19世紀にヨーロッパ(英仏独)でグランドツアー、つまり貴族の子弟が見聞を広め教養を磨くために、自らの文化的オリジンたるイタリアやギリシャを訪れるという大旅行が流行った当時に広まったもの。フランス・ブルボン家の統治下で南イタリア最大の都市として、ヨーロッパでも指折りの芸術・文化の中心地だったと、ものの本には書いてあります。 では、現在のナポリは、というと、当時の残滓こそ感じられるものの、正直言って、見なきゃ死ねないほど素晴らしい都市ではありません。観光資源の保存状態は決して良くないし、治安もイタリアの都市の中では最低ランク。困ったことに、スリやひったくりは日常茶飯事で、ヨーロッパの観光都市の中でもかなりやばい部類に入るといっていいでしょう。イタリア人の間でも、ナポリに行く時は貴重品を一切持たず身に付けず、盗まれても諦めのつくものだけ持って、なるべく地味で目立たない格好をして行くように、と言われるほどで、海外旅行の初級者にはちょっとお勧めできないです。 でも、イタリアが初めてじゃなくて、大体勝手がわかっている人なら、そしてイタリアとカルチョが好きなら、やっぱり一度は行く価値がある街です。ピッツァは美味いしスタジアムは熱い。ただしその場合も、街のディープなところまで入って行こうとは思わず、おいしいところだけつまみ食いするのが賢いアプローチかもしれません。観光化されたゾーンなら、スリや引ったくりだって、気を抜かなければ大丈夫(としか言えないところが辛いけど)。 観光客として訪れる場合、ナポリの玄関口はどうしたって鉄道のナポリ中央駅になるのですが、ここがちょっとした難関です。公共交通機関はまったく信用できないし、旅行の大きな荷物を引きずって街を歩くのは、鴨がネギだけでなく鍋まで背負って歩くのと変わらないので、列車から下りたらタクシー乗り場に直行し、ホテルに向かうのが吉。タクシーに乗ったらまずメーターが動いているかどうかを確認して、動いてなかったらスイッチを入れさせる。それでも、下りる時になったらふっかけられるから、交渉が面倒だったら割り切って10ユーロ(中央駅から海沿いのホテルに行く場合)渡しちゃうのが、双方がハッピーになれる一番いい方法かもしれません。 ナポリで大事なのはホテル選び。数だけなら中央駅周辺が多いのですが、治安が良くないので避けた方が無難。ちょっと割高でも、サンタ・ルチア地区の海沿いのホテルに泊まった方が、安全だし動きやすいです。観光スポットはほとんどその周辺に集まってるし。 記事の中で取り上げたマラドーナの祠は、旧市街で数少ない観光化された通り「スパッカナポリ」の一角にあるので、ぜひ訪れていただきたいところです。一方、扉の写真にもなっている壁画の方は、市内でも一番やばいスペイン人地区の奥深くにあるので、見に行こうなどとは思わない方が身のため。ぼくたちがたどり着けたのも、運良くその近所で生まれ育ったタクシーの運ちゃんと出会うという幸運に恵まれたからでしかありません。ちなみに、まだディエゴの顔に窓が穿たれていない当時の写真がこれです。その辺に落ちてたのをみつけたのでご参考までに。 以上、話が全然見えないよ、という方は、すぐに書店に走ってSTARsoccerをご購入くださいますよう。□ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.06 21:47:26
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