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テーマ:暮らしを楽しむ(388346)
カテゴリ:薬の話
承認年 2014年 開発の経緯 1998 年に櫻井 武ら、及びde Lecea L らによりほぼ同時に同定されたオレキシン1)2)は覚醒/睡眠を調整する重要な神経伝達物質である。3)オレキシン産生ニューロンの細胞体は視床下部に局在し、その軸索を脳内の覚醒系神経核に密に投射し、活性化させることで覚醒を維持している。3)また、動物実験では、摂食行動、報酬系、情動及び自律神経系の制御等、様々な機能への関与も示唆されている。3) Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.では、High Throughput Screening(HTS)により、2 種のオレキシン受容体(OX1R 及びOX2R)に拮抗作用を持つジアゼパン誘導体を2005 年に見出した。この誘導体をリード化合物として、代謝安定性 に優れ、オレキシン受容体に対し高い選択性及び結合親和性を持つスボレキサントを合成した。 従来の睡眠薬はGABAA 受容体又はメラトニン受容体に作用するのに対し、本剤は、OX1R 及びOX2R の選択的拮抗薬として作用し、オレキシンニューロンの神経支配を受けている覚醒神経核を抑制することで睡眠を誘導する。 その後、国内外でランダム化比較試験を含む臨床試験が実施された。本剤は2014 年9 月に不眠症に対する有用性が認められわが国で承認を取得した、世界初のオレキシン受容体拮抗薬である。 本邦においては、スボレキサントの臨床用量を成人には1 日1 回20 mg、高齢者には1 日1 回15mg として2014 年9 月にベルソムラ®錠15 mg 及びベルソムラ®錠20 mg の不眠症に対する適応を取得した。一方で、本剤と中等度のCYP3A 阻害剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用時には本剤の減量が必要な場合が想定されることを踏まえ、10 mg 錠の開発を行い、ベルソムラ®錠10 mg が2016 年9 月に承認された。 (1) 治療学的特性 1.覚醒を促進するオレキシンの受容体への結合を阻害する、世界初のオレキシン受容体拮抗薬である(in vitro)。 2.脳を覚醒から睡眠へ移行させ、生理的なプロセスによる睡眠をもたらす(ラット、イヌ、サル)。 3.投与1 週時、1 ヵ月時、3 ヵ月時の時点において、入眠障害、中途覚醒に対して効果が認められている。 4.主な副作用は、傾眠、頭痛、疲労であった。 (2) 製剤学的特性 楕円形(15 mg)、円形(10 mg 及び20 mg)のフィルムコーティング錠である。 販売名 和 名 ベルソムラ®錠10 mg、ベルソムラ®錠15 mg、ベルソムラ®錠20 mg 洋 名 Belsomra® Tablets 10 mg、Belsomra® Tablets 15 mg、Belsomra® Tablets 20 mg 名称の由来 一般名 和 名(命名法) スボレキサント(JAN) 洋 名(命名法) Suvorexant(JAN)、suvorexant(INN) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.09.14 05:01:08
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