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テーマ:環境問題(2)
カテゴリ:政治・社会
もし、あなたの家の近所に、危ない化学物質を撒き散らす工場が、知らないうちに建てられたとしたらどうしますか?
これは今、現実に多摩ニュータウンの一角で起こっている問題です。 八王子市南大沢に住む友人からメールが入ったのは2週間ほど前でした。その内容は、彼女の住むマンションのすぐ近くに、町田市の廃プラスチック中間処理施設建設の計画がある、という事でした。 町田市は当初、市民に内緒で業者との間で話を進めてきました。そして施設建設のための用地買収が済み、最後に近隣住民への説明会を済ませて、いよいよ着工という段取りになっていました。 近隣住民と言っても、用地のある一帯は準工業地帯で、周辺に郊外型量販店や工場がぽつぽつと建つ開発途上地域で、説明会に招かれたのは近隣の地権者十数名でした。わずか十数名だけに説明して、ゴミ処理施設の建設を目論んでいた町田市でした。 しかし、この用地は町田市と八王子市との境界線近くにあり、境界線の向こう側の八王子市は第1種低層住宅地域になっており、多摩ニュータウンの閑静な住宅街が広がる地区でした。 つまり、問題の廃プラ施設は、住宅街からわずか100mしか離れていない場所に建てられるのです。 町田市はそれを知ってか知らずか、当初は「行政区域の違う八王子市の住民に説明する義務はない」という姿勢だったそうです。ところが、八王子市が町田市に遺憾の意を示し、八王子市側の近隣住民への説明を要請したことで、12月3日にようやく説明会を行ないました。 なぜ、町田市は近隣住民に知られないようにこの施設を作ろうとしたのか? それは過去2回、他地区での建設計画が周辺住民の反対で頓挫していたからです。そこで住民の反対にあいにくい場所を探して、ようやく見つけたのが町田市の住宅街から離れているこの土地だったのでしょう。 「八王子市は行政区域も違うし、知らん顔しておけば気付かれないだろう」と思っていたのかどうかは知りませんが、何も知らないうちに家の近所に危ない施設ができるということを知らされた住民達は、当然のごとく怒り狂いました。 昨日、開かれた説明会会場には、南大沢の住民達の怒りと悲痛な叫び声が響き渡り、ついには意識を失って倒れてしまった人も出て、救急車が駆けつける騒ぎとなりました。 住民の要求は「計画の白紙撤回」ですが、町田市側は「住民の方々の理解を得て推進」との姿勢を崩さず、双方の主張は平行線のまま終始しました。 この廃プラ施設の問題点はどこにあるのか? 住民達はなぜ反対するのか? その問題点を挙げてみますと・・・・・ この施設はプラスチックごみの資源化のための中間施設です。家庭から分別収集で集められたプラスチックごみを圧縮・梱包し、再処理施設へ搬送する施設、つまりリサイクルのための施設です。 リサイクルというと何だか環境に優しいイメージですが、実態は全然違います。 専門家による実験の結果、プラスチックの圧縮過程で有害な、もしくは安全性の不明瞭な化学物質が発生する事が実証された、とのことです。 町田市では、「活性炭による除去処理によって、有害物質の周辺環境への放出は90%抑えられる」と説明しています。 しかし、ものによってはまったく除去されない化学物質もあるそうです。 また、化学物質のほとんどは環境ホルモン作用のある物質であり、「環境ホルモンはほんの微量であっても胎児への影響は不可逆的な損傷の恐れがある」と、専門家は指摘しています。 ですから、こと化学物質に関しては安全値は存在しないと考えてよいと思います。 住民が不安に駆られているのは、実際に杉並区で杉並病といわれる化学物質過敏症が、不燃ごみ処理施設周辺住民に大量発症したという事実があるからです。 今回計画されている施設では、杉並区の施設以上に多くの化学物質が撒き散らされる危険性があるという指摘があります。 こんな危ない施設を、住民に黙ってこっそり作るつもりだったのか??町田市は!!! しかも、被害に遭うのは町田市の住民じゃないからカンケーないだろ、、、みたいな感覚か??? だとしたら、あまりにも無責任極まりないふざけた姿勢だ。 町田市のイメージ、ものすご~~~く悪くなったよ。 そんなもん、町田市長のご自宅の隣にでも作ったらどうなの。 だって、あんたらの説明では、安全な施設なんでしょ。 そんなに安全だと思うなら自分の家の隣に作って安全性の証明をしなさいよ。 10年経ってもあんた(市長)や家族が健康だったら信用するからさ(笑) 他人をモルモット代わりに使うなよ! さて、冗談はさておき・・・・ このようなごみ問題は、対岸の火事ではなく、私達自身の問題でもあります。 私達が日々、出しているごみが原因で、このような施設を作らなくてはならないからです。 自分の家の近所には作ってほしくはないけど、どこか他の場所なら構わない、というのでは、「住民エゴ」と言われても仕方ないかもしれません。 実際、かつて杉並区の不燃ごみ施設に反対した近隣住民達にそのような言葉が浴びせかけられたという話も聞きます。 しかし、「住民エゴ」という前に、誰かの犠牲の上に立った豊かさを享受している私達の生活のあり方を見直すべきではないでしょうか? 私達は毎日大量のごみを出しています。 その量は1人毎月約30キロ以上。さて、あなたの体重の何割になるでしょうか? そしてプラスチックごみは年々増え続けています。 プラスチックごみの処理は、これまでは焼却されるか埋め立てられるかのどちらかでしたが、焼却すればダイオキシン問題が起こるし、埋立用地はもう限界に達しており、今後はリサイクルするしか方法がないといわれています。 しかし、リサイクルするためには環境汚染の不安がある処理施設が必要になってくる、というわけです。 問題の一因に、容器リサイクル法があります。 現行法では、自治体に負担が偏り、実際にプラスチックを生産し、社会に排出している企業の責任が軽すぎるという問題があります。 政府は、企業の圧力に負けて、現在の不完全な容リ法を作ったのです。 現行法では、企業のリスク分担が少ないため、プラスチックごみが減ることはありません。 もっと企業の負担を重くし、プラスチック生産量に応じて多額の負担を負う事になれば、おのずから生産量は減り、私達の環境に放出されるプラスチックも減るはずです。 プラスチック生産量が減ることで、私達は生活の少々の不便を感じることになるかもしれません。 しかし、多少の不便をガマンすれば安全な環境を得られるとしたら、そのくらいは何でもないでしょう。 そもそも、私達は便利な生活に慣れすぎているのではないでしょうか? その便利で快適な生活が、実は地球環境を脅かし、私達の子孫の住むべき場所を奪うことにもなりかねないことを、気付いている人はどれくらいいるのでしょうか? 今回の問題は南大沢の住民だけの問題ではありません。 ごみを出し続ける私達の問題でもあります。 安全に処理できそうもないと思われるモノを買わない、使わない、捨てない、ということを心がけて暮らしていきたいものです。 町田市廃プラ施設問題の詳細を知りたい方は、町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会の公式サイトへどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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