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ドラマ「北の国から」で知られる倉本聡さんの講演会に行って来ました。
倉本さんは、北海道の大自然の中で自給自足の生活をしながら演劇を学ぶ「富良野塾」を主宰してきた体験から、現代文明にどっぷり浸かる今の私達の「あたり前の日常」の異常性を、鋭く指摘しました。 自然との共生や現代文明の矛盾についてなど、とても難しいテーマでしたが、倉本さんのお話は、楽しくて分かりやすいものでした。 倉本さんの主宰していた富良野塾の若者達に、「生きるうえで欠かせないものは何だ?」と問うと、彼らはこう答えたそうです。 それは水と火です・・・・ そして、渋谷にたむろする若者たちに同じことを問うと、彼らはこう答えるそうです。 お金、ケータイ、テレビ、クルマ・・・・ 私達が「あたり前」と思って生きている日常・・・、それが実はおかしい事ではないか? というのが、倉本さんのお話でした。 「あたり前」の基準は時代と共に変わっていく。 私達はクルマやエアコン、パソコンなどをはじめ、便利な生活機器に囲まれて暮らしていて、それがあたり前だと思っているわけですが、それは本当にあたり前なのだろうか・・・? と、倉本さんは問いかけました。 富良野塾を始めてから北海道に移住して作家生活をおくっていた倉本さんは、当初は原稿を航空便で郵送していたといいます。 田舎のことですから、航空便で送るために、わざわざ往復数時間かけて車で空港まで原稿を持って行かなければならなかった。 ところがある時、FAXというモノが登場して、家に居ながらにして原稿を送れるようになった。 わざわざ車で遠い空港まで原稿を運ぶ必要がなくなったわけですが、そういう状況に何かが欠落してしまったと感じたそうです。 車で空港に向かう途中で出会うさまざまな風景・・・ 季節の移り変わりを感じながら、空港までの数時間の小さな旅。 それがどれだけ、自分の心にいろんなものを与えてくれていたかに気付いたといいます。 世の中便利になればなるほど、このように大切な何かが欠落していくのではないだろうか?と、倉本さんは語りました。 そしてもう一つ、印象に残ったお話。 人は森の価値を測るとき、お金で売れる木の幹しか見ていない。 でも、森の本当の価値は、木の幹ではなく、木の葉なんです。 木の葉は光合成をして空気をきれいにしてくれる。 また、森は水を吸収して蓄えてダムの役割も果たす。 でも、愚かな人間は森の本当の価値には眼もくれず、ただ売ってお金になる部分しか見ていない。 森がいくらCO2を吸収して、地球温暖化を防ぐ役割をしても、誰もそれに対してお金を払わない。森の所有者は収入を得るためには木を切って売るしかない。 だから、どんどん木が切られ、森が消えていく・・・・・ しかも、木の値段は驚くほど安いのだという。 50年生きた木がわずか数百円だとか・・・・ それが日本の林業の衰退を招いたのだ。 木をいくら手入れしてもたいしたお金にならないから、山は放置され荒れていく・・・ という倉本さんのお話でした。 本当に世の中どこかおかしいですね。 でも、多くの人はおかしいとは思っていない。 この日常を、あたり前と思って生きている。 人間が地球を壊している・・・・ 気付いていながらも、誰も何もできない。。。。 そう言えば今年は4月半ばだというのに、まるで冬のような寒さが続いています。 私は、倉本さんの最新作の冬将軍のお話と同じことが起こっているのではないか?と思いました。 そのストーリーはこうです。 「冬将軍」は北海道に毎年やってくる一羽の丹頂鶴です。 人間が自然を破壊したため、「冬将軍」は北の国に帰る力を失ってしまいました。 その冬将軍は北海道に留まり、人間に姿を変えてある町に現れました。 冬将軍が長く北海道に留まっているので、春になっても雪が解けず、いつまでも寒い冬が続く・・・・ そんなお話です。 まるで、今の私達の前に起こっている現実そのものではないでしょうか? 倉本さんのその作品はテレビで少し紹介されていたのを見ただけなので、最後はどういうふうに展開していくのか分りません。 自然が壊れていく・・・・ 最近、世界中のあちこちで頻繁に自然災害が起こっていますが、これが地球滅亡の前奏曲ではないことを祈りたい気持ちです・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.04.17 12:09:29
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