空から舞い降りた、仙人
タジー旅行でのこと。ローンセストンから、どうしても行きたいと思ってたワイナリー(これが結構遠かった)にたどり着いて待望のワインを買い、南半球最大(出たこのセリフ)の花真っ盛りのラベンダー畑にもいったあと、今日のシドニー帰りのフライトは夜8時半。まだまだ時間がある。行きたいところは大体網羅したが、残りの時間ど~しよう?で、ふらっともらったパンフレット、「フルーツワインにチーズのファーム」という文字が飛び込んできた。「よし、ここいこう~」運転は私、ナビはゆわちゃん。タスマニアの道路は大きく分けてA,B,Cと銘打ってあって、大きな通りは貫通しているのばかりだから、「どうやったって迷いようがありませんっ」と太鼓判押されたとおり難なく快適に進んできた。どこへ行くにも大抵A(最もメジャー)道路とB(その次にメジャーな道路、いづれも完全舗装)道路を通っていれば問題なし。C道路ってのは、マイナーだが、地図上にでてればまあ大丈夫。だが、このCを抜ける予定で私たちは地図にものってない道へ入り込んだのであった・・・・・。あれ、あれ?と思うまもなく舗装道路がオワリ、めちゃくちゃがたがたの細道へ。行けども行けども広がる風景は牧場か森。どんどんはまっていって、どっちに行ったらいいのやら、さっぱりわかんなくなっちゃった!もうまるで「・・・これってパリダカ?」みたいな砂埃をあげつつ、気分はブレアウィッチ(天気がよくって明るかったからまだよかったものの・・・・「も、森から出られない~、どっちにいったらいいの~?」的感覚)。前にも後にも一切車も人影さえもなし。ゆわは冷や汗がでてきたという。私の運転に、か自分のナビに、かは定かでない。ふとバックミラーをみると、はるか後にいつのまにやら一台の車が見える。さっきまでまったく車の影も形もなかったのに。だいぶ走ったがずっと後についてきていた。営業でならしたさすがの私の方向感覚もさっぱりになり、「だめだぁ、聞こう!」ききーっと車を止めて後続車を待つ。ものすごいおんぼろ車(ゴメン)にのったおじいちゃん。「あんたがた、迷ったね^^」こちとらハーツのでっかいステッカーがはってあらぁ。明らかにその通りです。「で、どこいきたいの?」「もうわかんないんで、とにかく大きい道路に出たいです!」「・・・・じゃとにかくついてきなされ。」先導してくれた。いやあ人の車の後ろになってみて改めてその砂埃のすごさ実感。前見えないが、必死でじいちゃんについていく。何度もくねくねと曲がる。「ほんとにちゃんとつれてってくれるんだろか・・・・」との不安も感じたころ、いきなり牧場らしき入り口へとはいりこむおじいちゃんの車。出てきて「じゃね、あとはこっちにまーっすぐ進んだら大きい通りにでるから」ああ、ありがとうございましたぁああああ!やっぱり私たちだけでは絶対出られなかった。他にはまったく車は通らない。なぜあのときだけこのじいちゃんの車が後に来たんだろう?・・・・とまるで天から降ってきた仙人に見えたおじいちゃんであった。