日生劇場「連隊の娘」Day2
NISSAY OPERA オペラ『連隊の娘』作 曲:ガエターノ・ドニゼッティ台 本:ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュジャン=フランソワ=アルフレッド・バイヤール2024年11月10日 (日)14:00開演日生劇場 上演時間:約2時間35分(休憩を含む)上演時間:135分(約2時間15分)(休憩含まず)第1幕80分 休憩20分 第2幕55分指 揮:原田慶太楼(ジャパン・アーツ)演 出:粟國 淳(日生劇場芸術参与)読売日本交響楽団合唱:C.ヴィレッジシンガーズ11月10日(日)マリー 熊木夕茉(ジャパン・アーツ)トニオ 小堀勇介(AMATI)ベルケンフィールド侯爵夫人 鳥木弥生シュルピス 町 英和オルテンシウス 森 翔梧両日伍長 市川宥一郎農民 工藤翔陽クラッケントルプ公爵夫人:金子あい(俳優)公証人:阿瀬見貴光 従者:大木太郎カヴァー:川越未晴(マリー)、澤原行正(トニオ)美術:イタロ・グラッシ照明:稲葉直人(A.S.G)衣裳:武田久美子ヘアメイク:橘 房図振付:伊藤範子音響:山中洋一(サウンドわいわい)字幕:本谷麻子特殊衣裳・小物イラスト:山田博之対訳・台本作成協力:石川裕美演出助手:生田みゆき、橋本英志振付助手:宮城 文舞台監督:山田ゆか(ザ・スタッフ)合唱指揮:三澤洋史副指揮:根本卓也、湯川紘惠、平石章人コレペティトゥア:平塚洋子、三澤志保原語指導:大庭 パスカル、根本卓也宣伝美術:秋澤一彰宣伝イラスト:サイトウユウスケ***日生劇場 連隊の娘「トイ・ストーリー」だった。おもちゃの世界のお話粟國さんのメルヘン路線の方の演出です貴族の世界は「着せ替え人形」というのがツボファンタジーワールドを再現するため美術は手が込んでいるヨーロッパの歌劇場で上演されてても不思議ではないレヴェルに完成度高い美しい世界またフランス語のセリフをカットせずに歌手に喋らせているのが大層チャレンジングだった。猛稽古したというだけあって、フランス語皆さん大変上手かった。メイクがちょっと変だったのは人形を表現するためなのでしょうかヘアに関しては小堀さんがヒグタツのヘアスタイルになっていて不思議だった(笑歌手はやっぱり光り輝く小堀さんの美声が主役の声だった。リリカルで声が美しい響きでまろやかに飛んでくるリリコレッジェーロ テノール至福の時間だった彼が歌い出すと舞台が締まる今年のチェネレントラに個人的事情で行くことができなかったのでトニオの全幕Tokyo debutは見られてとても幸せであった。本公演がオペラデビューという熊木さん大健闘だった。彼女は素喋りはアニメ声で喋るスーブレット レッジェーロ でしょうか超高音は大得意でHi Esまで操ってたと思う。いきなりタイトルロールってすごいですよねシュルピスはドラマチックバリトンの町さんシュルピスはバスバリトンの役重い声がピッタリ声もすばらしいのだがフランス語も見事だったベルケンフィールド侯爵夫人は芝居も抜群な鳥木さん。アルトの雰囲気を出して歌っていた。クラッケントルプ公爵夫人がとんでもなく大声ですごかった。この方はオペラ歌手ではなく俳優のようです。オルタンシウスの森さん、コメディに徹していて面白かった伍長の市川さん、いい声だった。「マッド・マックス」の出演者にしか見えないぐらいはまってた農民の工藤さん、重めのリリックテノールで印象的な強い声だった。***Gaetano Donizetti:La Fille du régimentFACHMarie:Soprano Fach:Lyric Coloratura SopranoTonio:Tenor Fach:Lyric Tenor tenor leggieroSergeant Sulpice: Bass Fach:Spielbass (aka bass buffo, comic bass)La marquise de Berkenfield (mezzo-soprano/contralto Fach : lyric mezzoHortensius, intendant de la Marquise (basse)La duchesse de Crakentorp (mezzo-soprano)Un caporal (basse)Un paysan (ténor)Un notaireSoldats français, paysans tyroliens, seigneurs et dames bavarois, valets de la Marquise***上演時間:135分(約2時間15分)(休憩含まず)第1幕80分 休憩20分 第2幕55分通常の上演:107分序曲:約7分、第1幕:約1時間、第2幕約:40分スカラ、レンツェッティ、ゼッフィレリ、デヴィーア、プラティコ 121分ジェノヴァ、フリッツァ、チョーフィ、ウリヴィエリ、フローレス 1幕75分 2幕41分 計116分***今回の一番のポイントは長いフランス語の音楽のない素しゃべり部分だ。上記の上演時間比較を見ても明らかにかなり長い。フランス語の素しゃべり部分が非常に長く、音楽の方が短いのでどうしても客はフランス語教室にいる気分になってしまい、すごく聞き取り作業に疲れた。またフランス語の会話の間が空くし会話のスピードが言葉が聴きとれるぐらい極めてゆっくりなので全体的にたるいイメージを与える。ただしそれでもオール日本人歌手でそれをやりたかった粟國さんの本格派への強いこだわりが感じられる。読響の演奏はすばらしいの一言である。原田氏がbisもかかってないのに無理やりアンコールをやったのはちょっとやり過ぎ感。フローレスの伝説のbisの真似をしたかったのだと思うが、指揮者主導でやるべきではない。後半に最高音Hi Cisを擁するアリアがあり、歌手の負担を考えれば簡単にはできないことだ。演出的変更など:貴族などやんごとなきセレブリティの人々が入場するシーンは名前の読み上げではなく、着せ替え人形のダンスに変更されていた。カットされていたシーンの復活?:マリーへの求婚アリアを拒絶されたトニオが「ベルケンフィールド侯爵夫人には妹はおらず、したがってマリーはあなたの姪ではない」と断言し去っていくのだがこのシーンは今まで見たことがない気がする。それが呼び水となって侯爵夫人はシュルピスに「実は自分の娘」という秘密を話してしまうのでこの流れの台本はとてもわかりやすかった。ピアノ教師が自動人形に読み替えられているのだが、この人がフィナーレのシーンで後ろから入ってくるのだが、ここで入ってくると、もしかしてクラッケントルプの御曹司が来たのか?と考えてしまい煩わしかった。ここで入る必要ある?以上気になった点ファンタジーに読み替えているのは(戦争及び戦後の悲惨を描くことから回避できて)まーまーいいアイディアではあると思うのだが、帰着点が見えない。みんなおもちゃだけどマリーやトニオは生身の人間なのか?だとすると彼らは人形で遊んでいただけなのか?しかし肝心のそこが最後で明らかにされずもやもやする。また演出が子供向けに特化しすぎているきらいもある。おもちゃたちが何のおもちゃかが気になって落ち着いて見れない(笑)。シュルピスは今回衣裳デザインはほぼイメージ「パイレーツオブカリビアン」のジョニデっぽい。色はドピンクだけど。町さんの本来のイメージを打ち毀すPOPなカラーですごく良かった!マリーのつなぎも可愛いし、トニオだけ衣装が3回変化するのはやっぱり人形なんだからでしょうね?トニオの衣裳変化:茶色のチロル風のケープをかぶったださいイメージ→おもちゃのスーパーサイヤ人っぽい人形→花婿の白い衣装マリーの衣裳変化:白のつなぎ、オレンジ色の髪のおさげ→花嫁衣裳【おもちゃとしての読み替え】マリー(人間?→最後に花嫁人形)トニオ(スーパーサイヤ人風ヒーローフィギュア→最後に花婿人形)ベルケンフィールド侯爵夫人→19世紀前半貴族風着せ替え紙人形シュルピス→「パイレーツオブカリビアン」のジョニデっぽいポップないかれた18世紀のフランス軍軍曹人形オルテンシウス→19世紀前半貴族の執事風着せ替え紙人形伍長→ドラゴンボールのむきむきマン風フィギュア、「マッド・マックス」?農民→ ブラウンのケープ、ジンジャーブレッドクッキー?クラッケントルプ公爵夫人→操り人形(爆笑)公証人→ピエロ(阿瀬見貴光さんはテノール 黙役のはずだが合唱で歌ってた)ピアノ教師→ねじまきの自動人形兵隊人形(多数)猿のシンバルの人形自分で動けない人形(爆笑)下半身ロボット人形ほか全部異なっていて個性あり【ステージ上のセット】子供部屋の机の上?しもてに兵隊人形たちがいっぱい入っている箱が二つ縦にして置いてある巨大な鉛筆もある背景はチロルの雄大な風景、アルプスだが全部ジクソーパズルで一部取れている そこから覗けるラブラブ場面ではなぜか巨大テディベアが鎮座 なんか怖い貴族の家場面では上空に巨大な気球貴族の家場面はおもちゃの人形の家 小学生までは人形で遊んでいたのでなんか懐かしいです 兵隊の人形で戦争ごっこしていた男の子のような女の子が女の子らしい着せ替え人形遊びを強要されて…という今流行りのジェンダー問題提起の意味もあったのかな? 原田慶太楼氏はカーテンコールで読響のソロを演奏した人をステージに上げた。クラリネットの女性、ホルン3人、そしてチェロ。 チェロは序曲ですごい響きを聴かせておりWagnerのLohengrinのあの間奏曲にすごく似てると思ったほどだった。高いチェロなんだろうな。 原田慶太楼氏はソリストの歌手の高音の前にテンポゆっくりにして間をとらせてあげるのは歌手への親切のつもりなのかもしれないが少々間延びし過ぎで音楽的にはよろしくない気がした。***元々の時代設定:1815年頃(ナポレオン戦争1803年 - 1815年)ナポレオンの百日天下が終わり、ウィーン会議の頃。元々の場所設定:チロル地方とパリ ※チロルはスイスではない! チロルは、ヨーロッパ中部にある、オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈東部の地域。大部分の住民はドイツ系(バイエルン人・アレマン人の一部) 疑問点>>ベルケンフィールド侯爵夫人はバイエルン公国の人?オーストリアハプスブルクの人?2幕の舞台がパリなのだが、なぜパリに別荘があるのか。保守反動体制の頃だから? ウィーン体制:ウィーン会議で絶対王政を復活させたヨーロッパ19世紀前半の反動的国際体制。フランス革命・ナポレオン以前のヨーロッパ国際秩序を復活させ、各国の絶対君主が同盟を結び、自由主義とナショナリズムの運動を抑えた。1848年の各地で起こった革命で崩壊した。保守反動体制。時期は1815年から1848年の二月革命・三月革命までのほぼ19世紀前半にあたる。メッテルニヒ体制初演:1840年2月11日、パリのオペラ=コミック座***序曲(幕は開かず)アルプスの山々(ジクソーパズル)聖母マリアの像(積み木?)に祈りを捧げるProtège-nous!村人たちベルケンフィールド侯爵夫人(着せ替え人形)No. 1, Couplets with ChorusPour une femme de mon nomMarquise de BirkenfeldRange : A#/Bb4 to D5ここはベルケンフィールド侯爵夫人の見せ場低くてパンチのある声。フランス軍は去っていったというニュースがもたらされるフランスの兵士ならぬおもちゃの戦士たちがやってくるマリー登場連隊が私の家族なのよN'est-ce pas?たりめえよ!二重唱Au bruit de le guerre♪私は戦火の中で生まれたRataplanおまえ最近、誰かと会ってるそうじゃないかこのシーンがめっちゃ長い感あったわその時、連隊が戻ってくる男を捕まえている。その男こそチロルの男性、トニオでマリーの命の恩人だった。トニオが声を発した瞬間空気が変わった。なんという声だ!兵士たちはトニオがマリーの恩人と聞き、急態度を変える。No. 3Chacun le saitRole : MarieRange : F4 to C6CoupletChacun le sait, chacun le ditIl est là, il est là, il est là, morbleu!可憐な歌唱に男声合唱のすばらしいこと!連隊が点呼のために出て行くトニオも連れて行かれる。しかしトニオは舞い戻ってくる二人きり。トニオは理解する、連隊の兵士全員がマリーの父親代わりだということを。二重唱第1幕5場De cet aveu si tendre♪こんな優しい告白にトニオの愛の告白にマリーはとりあえず聞いてから考えるわ!Écoutons et jugeons!と答える。トニオDepuis l'instant ou, dans mes bras陶酔の時間の始まりだ。同じ言葉でお返しするトニオÉcoutons et jugeons!マリーLongtemps coquette, heureuse et vive***ベルケンフィールド侯爵夫人はマリーを「姪」だと言い、引き取ることにする。マリーのお行儀の悪さに侯爵夫人は驚愕する***隊が戻ってくるトニオはマリーとの仲を認めてもらうため入隊した。○〇に変わっている。いよいよこのオペラでもっとも注目されているシーンを迎えようとしているNo. 6, Cavatina and CabalettaトニオのアリアAh! mes amis, quel jour de fête!No. 6, CavatinaRange : G3 to A#/Bb5♪ああ友よ、なんて楽しい日いきなりテッシトゥーラが高い常に高い音程で歌っている。Ah~~~~!兵士たちとのコミカルな演技を繰り広げながらお父様!聞いてください!ダメダメ!でもマリーは僕を愛してるんですElle m'aimeなんだって!じゃしょうがないな!Pour mon âmeCabaletta for Ah! mes amis, quel jour de fête!Range : G3 to C5Pour mon âme,Quel destin! J'ai sa flamme,Et j'ai sa main! Jour prospère! Me voiciMilitaire et mari!Pour mon âme,Quel destin! J'ai sa flamme,Et j'ai sa main!Militaire !!!9回のHigh C (高いド)すべてが完璧最後のHigh C 圧倒的に長く伸ばすすばらしい!怒涛のような拍手がわきおこり止らない。拍手とブラボーが飛び交いえんえんと続いた。完全にショーが止まったこの現象はもちろんファン・ディエゴ・フローレスがこのアリアを歌った時にも同じことが起こった「もう1回やりましょう!」指揮者がbisお嬢さんを僕にください!しかし…シュルピス「それは誰にも無理なんだ」マリーがトニオに別れを告げる。No. 7, RomanceIl faut partir mes bons compagnons d'armesRange : F4 to A6Adieu, adieu! il faut partir!トニオとマリーの嘆きコンチェルタンテ第1幕了第2幕舞台は変わって、ベルケンフィールド侯爵夫人のパリの屋敷。マリーはいやいやレッスンをしているシュルピス。今度は歌のレッスンこれがまた爆笑。おもちゃのピアノを弾く自動人形いつのまにか連隊の歌になっているマリーここのコロラトゥーラがすごいですマリーは苦しんでいるこの環境になじめない連隊が懐かしい心に染まぬ結婚をしなくてはいけない運命。マリーのアリアPar le rang et par l'opulence♪高い身分と豪華な暮らしにRange: C4 - A#/Bb5C'en est donc fait兵士たちがやってくるマリーの喜びAh! salut à la France!ここで超高音。おもちゃたちが登場。トニオが颯爽とやってくる三重唱Tous les trois réunis愛らしくコミカルな三重唱。マリーは公爵の息子と結婚することになっているトニオに冷たく言う侯爵夫人あなたは誰なの?No. 11, RomancePour me rapprocher de MarieRange : E3 to B5すばらしい~!感情がほとばしる。ファン・ディエゴも当時語っていた。メザミよりもこちらのアリアの方が大事なのだと。S'il me fallait cesser d'aimerこのfallaitで High Cis (High D Flat)大拍手しかしトニオの訴えも虚しく断られトニオは爆弾発言!帰って!侯爵夫人はシュルピスだけに真実を明かすマリーは実の娘だったのだ。そこに到着するクラーケントルプ夫人(操り人形)公証人も(ピエロ)あなたの姪御さんはいったいどこにいらっしゃるの?ようやくマリーが白い花嫁衣裳で現れるそこにおもちゃたちが突入してくるトニオは白い花婿衣裳トニオ助けにきたんだMarie était vivandièreマリーは飲み屋の女主人(隊の食糧調達係)だ!素性を明かす。客たちは驚くマリー:Oui! Quand le destin, au milieu de la guerre, enfant,Quand j'existe par leurs bienfaits!しかしマリーの歌に客たちは心から感動し彼女を支持する。マリーは結婚証明書にサインしようとするが、夫人が止めるもうあの子を犠牲にしないわ好きな人と結婚して。大団円***Related links1996年6月、7月 ミラノ・スカラ座 レンツェッティ指揮、マリー:マリエッラ・デヴィーア ベルケンフィールド侯爵夫人:エヴァ・ポドレシ スュルピス:ブルーノ・プラティコ トニオ:ポール・オースティン・ケリー演出:フィリッポ・クリヴェッリ 舞台装置、衣装:フランコ・ゼッフィレッリ2005年2月 カルロ・フェリーチェ劇場(ジェノヴァ) パトリツィア・チョーフィ(マリー)フアン・ディエゴ・フローレス(トニオ)ニコラ・ウリヴィエリ(シュルピス軍曹)フランチェスカ・フランチ(ベルケンフィールド侯爵夫人)[演出]エミリオ・サージ[指揮]リッカルド・フリッツァ2006年06月09日 ボローニャ歌劇場来日公演 ドニゼッティ「連隊の娘」3日目東京最終公演 指揮 ブルーノ・カンパネッラ 演出 エミリオ・サージ ファン・ディエゴ・フローレス ステファニア・ボンファデッリ ブルーノ・プラティコ エレーナ・オブラスツォワ2008年4月 メトLa Fille du Régiment at the Met Gaetano Donizetti: La Fille du RégimentMetropolitan Opera performance of Saturday, April 26, 2008 Marie: Natalie Dessay Tonio: Juan Diego Florez Marquise: Dame Felicity Palmer Sulpice: Alessandro Corbelli Conducted by Marco Armiliato 演出ロラン・ペリ2017年02月12日 びわ湖ホール 連隊の娘 Day 2 指揮:園田隆一郎 演出:中村敬一 大阪交響楽団 飯嶋幸子 小堀勇介トニオの小堀勇介さん 撮影は2024年6月