ワーグナー『ニーベルングの指環』~第1夜『ワルキューレ』Part3
Wagner:'Walkure' Ring der Nibelungen 1
シュトゥットガルト州立歌劇場
第3幕
http://plaza.rakuten.co.jp/syeva/diary/200505150000/
の続き。
「長居しすぎた。」
上着を着るヴォータン。
「私をどうするの?」
「深い眠りに閉じ込める。お前を目覚めさせたものがお前を娶るのだ。」
「ひとつだけお願い。眠れる女を何か恐ろしいもので守って。」
「僭越な願いだ。」
「お願い聞き入れて。さもなければあなたの娘を踏みしだいて粉々にして!」
「冷酷な人、むごい恥辱だけは与えないで。お父様の力で灼熱の炎で岩山を包んで。恥知らずにも近付く臆病者を遠ざけるため。」
ヴォータンは娘と抱擁しようとするが、やめて去っていく。
「お前は私の自慢の娘だ、さらば。」
「もう私と騎行できないのか。私の娘を永遠に失うのか。お前のために永遠の炎を燃やそう。炎よ、岩山を囲め! 臆病者はブリュンヒルデから遠ざかれ。」
「お前は神である私より自由だ。」
ろうそくとライターをブリュンヒルデに渡すヴォータン。
またテレビをつけるヴォータン。テレビには舞台の映像が映っている。
ブリュンヒルデはろうそくに火をつけて、テーブルに置く。
ヴォータンはテレビに映るブリュンヒルデの姿を愛しそうに撫でる。
「私は娘に口づけた」
「別れの口付けよ。最後にもう一度喜ばせてくれ。私より幸せな男のためにこの瞳が輝くように。」
テーブルにうつぶせになり、眠り始めるブリュンヒルデ。
「瞳は閉じられねばならない、神はこれでお前とお別れ。口付けでお前から神性を奪う。」
テレビモニターに口づけするヴォータン。
テレビをリモコンで再度消すヴォータン。
またつけるヴォータン。何度も繰り返す。
父の悲しみ。娘を失った悲しみ。胸を打たれる。
テレビは、ブリュンヒルデをUPにする。
涙をぬぐうヴォータン。
父子。
立ち上がるヴォータン。
「ローゲ、聞け! 耳を傾けろ。お前は最初に会った時灼熱の炎だった。私の元を去った時はさまよう炎だった。またお前を呪縛する。ローゲ来い! この岩山に炎を燃え上がらせろ。」
なぜか、照明が舞台の上にあり、スポットライトを当てる。
照明を操るヴォータン。
「私の槍先を恐れるものは決して炎を越えるな!」
ブリュンヒルデに照明を当てる。彼女はまぶしそうにする。
ヴォータンは涙を拭く。
そして去るヴォータン。
照明の輪の中で眠り続けるブリュンヒルデ。
「ワルキューレ」了。
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最終更新日
2005年05月22日 00時57分59秒
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