Daiske Ohyama as Ben in Menotti ”The Telephone” by MIYAKOUJI Art Garden
Photo:©Shevaibra, Courtesy of Mr. Ohyama
M I Y A K O U J I アートガーデン
メノッティ「電話」
4月29日(祝日)14:30開演 昼公演
大田区民ホールアプリコ小ホール
a la carte!! Vol.6 (小ホールコンサートシリーズ)
ガラコンサート&オペラ「電話」メノッティ(日本語上演)
川越塔子(ソプラノ)ルーシー
大山大輔(バリトン)ベン
金山京介(テノール)青年
吉田貴至(ピアノ)
演出:太田麻衣子
訳詞:大山大輔
照明:渡邉雄太(ASG)
主催・企画制作:MIYAKOUJIアートガーデン
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(楽しい舞台写真満載です!)
Photo link
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Maiko Ota, the director
Photo:©Shevaibra, Courtesy of Ms. Ota
メノッティの電話が短いので第1部にガラコンサートを構成した今回の公演、 しかし太田麻衣子ただ者ではなかった。第1部はガラコンではなく立派に独創的なオリジナルオペラになっていた。もちろんそれを可能にしたのは才能溢れる芝居のできる歌手と芝居のできるピアニストである。
客はまさか第一部も演出がついてるとは思っていないからまさにいきなり太田麻衣子ワールドに放り込まれる。こんなに愉快なことがあるだろうか。このアプリコシリーズ、
昨年はこうもりで大沼徹さん 土崎譲さん 坂井田真実子さんが出演していたのですがピアノの吉田さんと川越塔子さん 今年も連続出演。演出の太田さんも連続登板。昨年もガラ部分も軽く芝居がついていたが今年ほどの演出はついていなかった。段々スケールアップしてきたようだ。
シチュエーションはメノッティ電話を上演する前のオペラ歌手たちの本音の関係性を描いたもの。太田演出は昨年の独創的なドンジョヴァンニもそうだったが、楽屋の風景が最初に描かれる。
まず自分が一番!の新人テノール歌手が登場する。
帰れソレントヘ
金山さんは初めてお聴きするかと思うのですが、すばらしいリリックテノールです。
ピアニストとの丁々発止が面白すぎる。
そしてわがままな女王様ソプラノ。
トスカより歌に生き恋に生き
いきなり泣きながら歌っているように見えるぐらい演技力抜群の川越さん
テノールは女王様に仕える
女王様にミニーマウスのかっこをさせようとする
テノールは女王様をお着替えに行かせ、ピアニストに懇願しオーディションの曲を練習する
リゴレットより「女心の歌」
うまい~
華がある。テノールの魅力がある
そこにまたKYなバリトンが登場し大混乱となる。
カルメンから闘牛士の歌
フランス語完ぺき!あふれだすフェロモン。超かっこういいです
ルドヴィク・テジエみたいです。
最後のフラスキータとメルセデスの役をさせられるテノール
締めのカルメンはそででソプラノが歌う(笑)
アーモールではなく、
ミャ~オ~ウ!
このようにオペラパロディがすごく気が効いていておもしろいです。
ミニーマウスのかっこうで出てくるソプラノ
バリトンはドン引き。何そのかっこ!?
次の塔子さんのクネゴンデ、キャンディードの「華やかに着飾って」これ最高でした。高いコロラチューラも完ぺきで圧倒的パワーに表現力。
バリトンはなんと!「オペラ座の怪人」の歌を歌い出す。
ああもっと聴きたい!
なんなら全編聴きたかった。
すばらしい歌唱
それを至近距離で聴けるなんて!
そしてすぐに切り替えてフィガロの結婚からコンテとスザンナの二重唱。
ここは大好きな部分
ついにスザンナを落とすことに成功したコンテが逢引きに来てくれるんだな?と何度も確認するシーン。
相手にしてもらえないテノールが Si と返事するもんだから バリトンが迷惑そうに Chi? 誰?と返す爆笑のシーン
そしてバリトン カタリ・カタリ
エンターテイメント!
テノールは歌わせてもらえずついに癇癪を爆発させる。
えあれ、ゆとり?
つぶやくバリトン歌手役の大山さんおもしろすぎる。
ゆとり世代の駄々っ子表出表現を揶揄してるのである
僕待ちぼうけ!
と叫んで
待ちぼうけの歌を歌い出す(日本語)
それウサギじゃない!ネズミ!
ますます荒れるテノール。
機嫌をとろうと三人で歌おう!ととりなし三重唱
チャルダーシュの女王より「人に二度と同じ人生はないさ」
そろそろスタンバイしてください!とスタッフに促され皆そでに消える
ここで休憩
あ~笑った笑った
第2部は いよいよメノッティの電話です
今回のシチュエーションはとにかく電話ばかりしている女と気が弱くて気持ちを告白できない男
歌うのは2人だけだがさきほどの金山氏が宅配人やルーシーの友人役など何役も演じる。
こちらも演技も歌もピアノもすばらしくてあっという間に思える。
特に大山さんの演技は「俳優」なのですばらしい。さきほどのバリトン歌手役とはまったくキャラが違い、小心者で神経質でいつも髪をなでつけている男に変身。
おしゃべりで激情型のルーシーに振り回されてばかりのベンを達者に演じた。
とにかくこの作品は短いのであっという間に終わってしまい、続きはないのかと期待してしまった。
1部と2部が別々ではなく大きな一つのオペラとして入れ子構造になっているのがとてもおもしろかった。
オペラの新しい試みとしていろいろ企画しているこの団体も毎年すばらしい!と思わせてくれる。お疲れさまでした。