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カテゴリ:読書
私は、最近、塩野七生著の地中海世界を舞台にした歴史小説3部作を順次読み直しています。それらは、1453年の「コンスタンティノープルの陥落」と、1522年の「ロードス島攻防記」、そして1571年の「レパントの海戦」です。そのうち「レパントの海戦」については、既に1月23日のブログで書きましたが、今回は「コンスタンティノープルの陥落」を読み終えましたので、このブログを書きました。 西暦330年誕生の時から、地中海世界の首都となったコンスタンティノープル。ヨーロッパとアジアの要に位置するこの壮麗なビザンチン帝国の首都はしかし、1000年余にわたる栄華の幕を閉じなければならなかった......。 21歳の若きスルタン・メフメット2世の度外れた野望の前に、堅固な要塞に囲まれながらもついには、身を横たえざるをえなかった街と、歴史の運命を甘受する心優しき壮年のビザンチン帝国最後の皇帝・コンスタンティヌス11世。 この書は、オスマン帝国の征服により、コンスタンティノープルからイスタンプールと名を変えた街に繰り広げられたドラマを甘美に、スリリングに描いた歴史絵巻です。 アジアとヨーロッパを分かつボスフォラス海峡をのぞむイスタンブールは、世界で最も魅惑に満ちた都市の一つです。そこでは、オリエンタルなものとヨーロッパ風なものが、渾然とまじり合い、独特の雰囲気をかもし出しています。そして、ローマ時代(ビザンティウム)、ビザンチン時代(コンスタンティノープル)、オスマン時代(イスタンブール)の三つの大帝国の首都として1600年近くにわたる栄華の舞台となり数知れぬ史跡を擁する歴史的都市です。 しかし、バザールの雑踏はむせかえるような活気に満ち、今も生き生きとしたエネルギーに満ちた街でもあるのです。 歴史や旅を愛好する私にとって、最も関心をそそられる街の一つであり、また最も行ってみたい街の一つです。いつの日かイスタンブールを訪れ、ボスフォラス海峡に沈む夕陽を眺めながら、この街の過ぎし日の栄光に想いをはせたいと願っています。 ●コンスタンティノープルの攻防戦 ビザンチン帝国の防衛軍8000人は、コンスタンティノープルの堅固な城壁を盾に、オスマン軍15万人の猛攻を50日以上もちこたえました。しかし、ついに1453年5月29日の夜明け、街の北端の城門がオスマン軍に破られました。なだれ込んだオスマン軍とビザンチン軍との市街戦が続き、ビザンチン皇帝コンスタンティヌス11世もその中で戦死しました。 まもなく勝敗が決し、城の塔に「月と星」のオスマンの旗があがりました。1000年をこえるキリスト教徒の都・コンスタンティノープルの歴史は、皇帝と共に最後の幕をとじたのです。メフメット2世が入城し、聖ソフィア大聖堂でアッラーへの祈りがささげられました。 メフメット2世はただちにオスマン帝国の新しい首都づくりにかかったのです。首都の名はイスタンブールとあらためられ、聖ソフィア大聖堂は、数多くの聖像画がしっくいでぬりつぶされモスクとなったのです。 ●オスマン帝国のその後 のちに「征服王」と呼ばれたメフメット2世は、1481年5月3日、49歳の時、大軍をひきいてアジア側に渡った直後に死にます。しかし、オスマン帝国はその後もイスタンブールを首都として、16世紀半ばのスレイマン大帝の時代に最盛期を迎え、1922年まで続くのです。そして翌年の1923年にトルコ共和国が成立し、アンカラへ遷都します。 かっては三つの大陸に君臨したオスマン帝国も、ボスフォラス海峡に沈む夕陽のごとく華やかに優雅に滅んでいったのです。 ◎関連リンク<<イスタンブール(トルコ人はイスタンブルと呼ぶ)>>は、こちらから。 (上の画像の説明: 新潮社・塩野七生著「コンスタンティノープルの陥落」のカバー装画をスキャニングしました。コンスタンティノープルの前にあるオスマン軍の陣地を描いています。パリ国立図書館蔵、ベルトランドン・ド・ラ・ブロキエールの「海外の旅」写本より) (下の画像の説明: その1 新潮社・塩野七生著「コンスタンティノープルの陥落」に挿まれていた参考資料・東地中海世界をスキャニングしました。) (下の画像の説明: その2 新潮社・塩野七生著「コンスタンティノープルの陥落」に挿まれていた参考資料・1453年4・5月のコンスタンティノープルをスキャニングしました。) (下の画像の説明: その3 フリー百科事典・ウィキペディアのアヤソフィアの項目に掲載されていた写真をコピーしました。このモスクは、日本名では、聖ソフィア大聖堂と呼ばれています。) (下の画像の説明: その4 河出書房新社、ふくろうの本・鈴木董著「イスタンブル歴史散歩」の123頁~124頁に掲載の写真・イスタンブルの夕映えをスキャニングしました。)
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Last updated
2009.01.27 08:40:02
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