2014/04/22(火)00:40
BMW VANOS(バノス)とは
BMW VANOS(バノス)とは
VVT/Variable Valve Timing(可変バルブタイミング)は
BMWでは
VANOS/Variable Nockenwellen Steuerung(バノス)
になります
VVTが誕生するまで、高回転型エンジンのバルブ開閉は
エンジンが高回転になるにつれ、混合気に流体としての慣性がつくため
急速に多量の混合気を入れようという狙いから
バルブの開き時間を長くし
オーバーラップ(排気バルブが閉じる前に吸気バルブが開く)を多くする
ようにしていました
オーバーラップは、トルクや燃費などに影響を与え
低・中回転域では、少ない方がトルクや燃費がよくなり
高回転域では、多くした方が出力を出しやすく
この両方に対応し最適なオーバーラップを得られるのがVANOSになります
BMW バルブトロニックについては
お時間があれば
t3109 BMW バルブトロニック
http://plaza.rakuten.co.jp/t3109/diary/200711230000/
を閲覧して下さい
BMW VANOSは
内部機構とオイル制御により、タイミングギアに対して
カムシャフトを「ねじる」動きをさせることで
エンジン回転数に合わせてバルブの開閉タイミングを変える機構で
大きく分けて
タイミングギアにヘリカルギア(ヘリカルスプライン)を内蔵する歯車型VANOSと
タイミングギアにベーンを組み込んだバルブトロニック用のベーン型VANOSがあり
92年
単純なオン/オフシステムの歯車型VANOSが
BMW M50TU(Technically Updated)エンジンの吸気側のみに採用されましたが
96年
吸排気ともタイミングを変える歯車型ダブルVANOSが
BMW S50B32エンジンに採用されたかと思います
ダブルVANOSの利点は
冷間始動時等に、吸気バルブが開く時期よりも
排気バルブの閉じる時期を進角側にすることで両バルブとも閉弁状態になり
ピストン上死点よりも進角側で排気バルブが閉じることで
排気行程中に圧縮された既燃ガス(内部EGR/Exhaust Gas Recirculation)が
吸気バルブが遅れて開いていくことで
急激にインテークポートに吹き返されるようになり
バルブオーバーラップを待たずに内部EGR量を調整でき
インテークポートの付着燃料の微粒化が促進され、始動性の改善が得られ
迅速な触媒のウォームアップと、排ガスの有害物質を低減できるかと思います
また
アイドリング時などの低負荷運転時には、バルブオーバーラップを減少させ
インテークポートへの内部EGRの吹き返し量を減少させることにより
不完全燃焼を少なくし燃費効率の向上を図るようにし
中負荷運転時には
バルブオーバーラップを増大させて内部EGR量を増やすことにより
燃焼温度を低下させてNOx(窒素酸化物)などを低減し
そして
高回転域のパワー損失なしに、1500~2000回転のトルク増加が可能かと思います
1980年、Alfa Romeo Spider(Series 2) 2.0 Lに初採用された歯車型は
BMWの場合
サプライヤーがRolls-RoyceやSachsだったと思いますが
上記図の歯車型ダブルVANOSの構成は
ヘリカルスプラインが内蔵されたカムシャフト、調整ギア付スプロケット
VANOSアクチュエータ、スリーウエイソレノイドバルブ
カムシャフトの位置を検出するためのシグナルローター(インパルスホイール)
カムシャフトセンサが吸排気用にそれぞれ各1つあり
エンジンの油圧をソレノイドバルブで調整し、VANOSアクチュエータを調整します
VANOSアクチュエータは
カムシャフトに位相を与えるためにヘリカルスプライン付きのカップが内臓され
ヘリカルスプラインの歯の傾斜は、カップの前後移動を回転運動に変換し
回転運動はカムシャフトを回転させ
バルブタイミングを機械的な移動限界内で無限に「進角・遅角」させます
ダブルVANOS操作は
DMEでシステムの動作を制御し
エンジンオフでのカムシャフトの位置は、吸気カムが遅角、排気カムが進角で
故障時のフェイルセーフ位置にもなり
「初期」のタイミングは、ギア位置合わせをチェーンテンショナーで行い
エンジンが始動されると、約50回転又は約4秒程度で
カムシャフトセンサからカムシャフトの位置をDMEが検出し
カム位置が認識されると
エンジン回転数およびスロットル開度に基づいてタイミング調整を行い
吸気と冷却水の温度で補正してるハズで
調整速度は、油温、油圧、エンジン回転数に頼っていると思います
次に
96年にトヨタが初採用したベーン型は
BMWの場合、バルブトロニックシステムのダブルVANOSで採用され
サプライヤーがアイシン精機だった思いますが
歯車型と同じような構成と制御だったと思います
1: エキゾースト側VANOSユニット付スプロケット
2: インテーク側VANOSユニット付スプロケット
3: インテーク側カムシャフトセンサ
4: エキゾースト側カムシャフトセンサ
5: インテーク側ソレノイドバルブ
6: エキゾースト側ソレノイドバルブ
7: シグナルローター
8: カラースクリュー(つば付きボルト)
1: スプロケット付ハウジング
2: フロントプレート
3: トーションスプリング
4: ロックスプリング
5: ロックスプリングのためのリテイニングプレート
6: ロックピン
7: ローター
8: バックプレート
9: ベーン
10: スプリング
11: プレッシャーチャンバーA
12: プレッシャーチャンバーB
1・2: プレッシャーチャンバーA用オイルポート
3・4: プレッシャーチャンバーB用オイルポート
5: VANOSユニット側プレッシャーチャンバーB用オイルポート
6: VANOSユニット側プレッシャーチャンバーA用オイルポート
VANOSユニット付スプロケットは
ローター(7)を介してカムシャフトにカラースクリューによって固定され
ロックピン(6)は
ローター(7)の凹部にスプリング(10)によって係合しているハズです
ソレノイドバルブから供給されるオイルは、VANOS調整方向に応じて
カムシャフトに対して左右などに配置されている
オイルポート(1・2・6)とオイルポート(3・4・5)のいずれかを介して
VANOSユニットに油圧を供給し
油圧が供給されると、ロックピンが圧縮されローターが解放され
ベーン(9)は
プレッシャーチャンバー(11・12)の間を
スプリング(10)で押されながら仕切っていて
プレッシャーチャンバーのオイルを出し入れし、ローターを回転さす事で
カムシャフトを回転させ
バルブタイミングを機械的な移動限界内で無限に「進角・遅角」させます
例えば
排気カム用は、初期位相が進角となるように
スプロケット付ハウジング(1)に対して
供回りするフロントプレート(2)と可動するローター(7)との間に
進角する側の方向に常時付勢するトルクを与えるように
捻り変形させながらトーションスプリング(3)を挿入し
トーションスプリングが反力に打ち勝って、初期位相を可能にしているハズで
プレッシャーチャンバーAにオイルが供給されると
プレッシャーチャンバーBから
カムシャフトのオイルポートとソレノイドバルブを介して
シリンダーヘッドにオイルが排出され
ソレノイドバルブが切替わると、プレッシャーチャンバーBにオイルが供給され
プレッシャーチャンバーAからオイルが排出されたハズで
アイシン精機製の場合、最大で出力は8~10%、燃費は3~6%向上し
排ガス(NOx)は40%低減されたハズです
最近のバルブトロニック用のダブルVANOSは
個人的にはベーン型と思いますが
オシレーティングローター型とBMWは呼んでいるようで
ベーン型ダブルVANOSと同じような構成と制御だと思います
サプライヤーは、不明です
1: フロントプレート
2: ロックピン
3: オイルポート
4: スプロケット付ハウジング
5: プレッシャーチャンバー
6: オシレーティングローター(ベーン付ローター)
7: プレッシャーチャンバー
8: オイルポート
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