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カテゴリ:行政
【第二部機構論】(「」P56~87より引用)
日本の自治体では、首長と議員が共に選挙で選ばれる二元代表制がとられており、 大統領制に近い制度であると考えられている。 「条例の制定・改廃や予算に関する議会の議決に異議がある場合、首長は議会に対して再議に付することができる(地自法176条)」 これは、アメリカの大統領の拒否権に関する規定を参考にしたとされる。 一方、相違点としては、 「アメリカの大統領には、法案や予算案の提出権が与えられていない」が、 「日本の首長は、条例案や予算案等を提出する権限をもっている(ちなみに、議会には、予算案提出権はないが、条例案は議員定数の12分の1以上の賛成で提出可能。)」 また「アメリカの大統領には、連邦議会の解散権が与えられていない」が、 「日本の首長には、議会が首長の不信任決議をしたとき、首長は10日以内に議会を解散することができる。」 それから、「首長の当選回数には制限ない」ことも特徴の一つである。 自治体の統治機構について、二元代表制と共に留意が必要なのは、執行機関多元主義である。 これは、「首長と並んで複数の委員会・委員を執行機関として設置すること」である。 「教育や選挙管理、人事行政等、政治的中立性の確保が求められる領域に対して、首長が過度に介入したり干渉したりするのを防ぐ」役割がある。 ただ、「執行機関多元主義は、憲法レベルで採用された二元代表制と異なり、個別に委員会が設置されていった結果を追認するために地方自治法レベルで規定された原理でることに留意が必要である。」 本書の第二部では、さまざまな国の自治体統治機構が紹介されているが、 一つ、アメリカのシティマネージャー制度を紹介する。 正確には、『議会-支配人型(council-manager form)』と呼ばれ、 全米の50%弱の自治体が採用している。 シティマネージャー制は、「政策の決定と執行を分離し、双方の責任を明確にすることによって、能率的な行政運営を目指す統治形態」とされおり、 議会が行政運営の専門家であるシティマネージャーを任命する。 「議会は、条例制定権や調査権をもち、シティマネージャーの活動を監視する一方、シティマネージャーは、予算編成や組織の編成等を自由に行いながら行政運営を行い、任期終了までに成果を出すことを目指す」 「連邦制度を採用しているアメリカでは、自治体が統治機構を自由に選択できる仕組みを採用しているため、多様な(統治)形態がみられる」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年05月20日 16時10分20秒
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