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2015年02月22日
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カテゴリ:読書


★★★★☆

シンプルな思考を突き詰めた末に、新政府まで樹立してしまった坂口恭平さんの著書。現状に批判を持ち、行動することの大切さを教えてくれる。

私たちはなぜ働くのか?働かないと生活ができないから。ほんとうだろうか?金がないと本当に生活ができないのか?
0円で生活している人がいるじゃないか。坂口さんは我々の「常識」に疑問を投げかける。

なぜ家賃を払わなければいけないのか?空き家がこんなに問題となっているのに、新しい家を売るのはおかしくないだろうか?そもそも、土地はだれのものか?国ではなくなぜ大家に家賃を払うのか?家賃を払うために働くなんておかしいじゃないか。世の中に「所有されていない土地」はあるだろうか?

私たちが「常識とする一つの思考(本書でいうレイヤー」)だけで、本書を読めば、筆者は相当頭のイカレタ人に思えるかもしれない。でも、自分のその思考を批判し、筆者の言うことを理解しようとするとき、どちらがまともかという感覚が少し変わってくるかもしれない。

筆者は世の中にはたくさんのレイヤー(層)があることを強調している。

我々が普段無意識に受け入れているのは、政府や社会がつくり上げた単一のレイヤーに過ぎない。無限にあるレイヤーの一つにすぎないのに、それがすべてだと誤解されている。そのレイヤーは、個人が匿名化された世界であって、社会をうまく、効率的に機能させるには優れているかもしれないが、個人にとってフレンドリーに作られたレイヤーでは決してない。そのレイヤーに適合できないがために、精神的に追い込まれてしまう人も現実に多くいるのである。

筆者はこのレイヤーのあり方を「学校社会」と「放課後社会」というたとえを使って説明している。「学校社会」は決められた「常識的」なレイヤーであり、すべての人が勉強(テストの点)という評価基準で採点される。一方の「放課後社会」にはそのような評価基準はない。演奏が得な人がいれば、面白い話をする人、だれも思いつかないような遊びを考える人がいる。それぞれの能力が独自の価値を持ち、認められる社会である。放課後社会は無数にある。

かと言って、筆者は学校社会のレイヤーを批判し、その転覆を煽るわけではない。筆者も学校社会のレイヤーの必要性とその盤石さを理解している。我々に求めるのは、学校社会のレイヤーを認識、区別し、それは無数にあるレイヤーに一つであると知ることである。そして、自分の生きやすいレイヤーを見つけ、他者のレイヤーと「交易」をすることで、独自のレイヤーを拡げていくことである。その意味に気が付けば、学校社会のレイヤーで気を悩ませ自殺するなんてことはなくなるはずである。

筆者は、独自のレイヤーを「交易」によって拡げるには、「態度経済」が有効だと言う。態度経済は我々の依存する貨幣経済とは異なる。貨幣経済は貨幣を媒介とするために、個人は匿名性を帯びる。それが、交換を活発にしている。態度経済は貨幣という道具を使用しない交流である。だから、効率性は貨幣経済のようにはない。

自分が何をしようとしているのか、何を大切にしているのかを表明し、それ基に交流する。必ずしも貨幣を排除するわけではないが、貨幣の匿名性は重視しない。たとえば、自分で書いた絵を、特定の誰かに売る。これは貨幣を使ってはいるが、世界に一つしかない絵と「それが欲しい」人の交流という匿名性を排除した関係から生まれる経済であるから、態度経済と解釈できる。

態度経済の下りは少し難しいので、本書を読んで欲しい。

この態度経済について筆者がこだわるのは、人に応じてその態度を変えないということである。ただ、その態度を効果的に発揮するための工夫はしているようである。

筆者は大学時代に作った卒業論文を出版社に持ち込んだ。ホームレスの家を題材にした論文で、写真もたくさん使われている。写真が入るとコストがかさむため、印税が少なくなる(およそ6%)。筆者はそれを回避するため、初版は印税ゼロでいい、でも2版目からは10%の印税にしてくれと交渉した。

さらに、日本だけでは売れないと察知し、英語での出版も交渉した。当初、翻訳コストなどを気にして、出版社首をたてに振らなかったが、5万円なら出せるとの話で、筆者自身が5万円で翻訳者を探し、出版にこぎつけたのである。まだ終わらない。ただ出版しただけでは売れないので、自ら海外に営業へ行き、関連する書店や美術館に売り込みをしたのである。その結果、作品への評価を直接感じながら、個展など発展的な仕事まで手に入れるのである。

つまり、自分が「これだ」と思ったことにはとことんこだわる。「おかしい」と思ったことは、とことん調べてそのおかしさを主張する。そのような態度が一つのレイヤーに自分を閉じ込めるのではなく、独自のレイヤーを確立するために有効なのである。








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最終更新日  2015年02月22日 12時05分42秒
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