新たに英国財務省に派遣される後輩I君の壮行会を行うことになった。英国財務省との人事交流は1999年から始まり、自分は3人目として、2003年から2006年にかけて出向した。今度行くI君で7人目になる。この制度がずっと続いているのは喜ばしいことだ。なお、各人の派遣期間は2年間だが、過去自分だけ、3年間の勤務を経験している。
同じく英国財務省での勤務経験のあるF君、英国留学経験のあるTさんと共に、汐留にある眺めのよい店で待っていたが、いつまでたっても肝心のI君が来ない。電話してみると、国会の質問が当たってしまい、出られないとのことだ。仕方ないので、店を出て、我々が彼の執務室に押し掛けることとした。行ってみると、部屋は閑散としていて、I君その他若干名が残っているだけだった。国会質問のためだけに待機している状態である。これはまさに、英国にはない、日本の官庁に独特の理不尽さだ。とにかく、職員の立場からすると、国会質問ほど暴力的なものはない。翌日の審議のための質問が突然当日の夜に降ってきて、つかまってしまったら終わるまで抜けられない。日付を越え、未明までかかることも珍しくない。いかなる予定があろうと、台無しにされてしまう。たまたま英国財務省への壮行会の日にこうしたことが起きたのは、I君にとっては災難だったが、日本と、これから彼が行く英国とのコントラストを際立たせるという意味では象徴的な経験であったかもしれない。是非、英国に行って、こうした理不尽をどうすれば改善できるのか、そのヒントをつかんできてもらいたいものだ。
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