カテゴリ:読書
「「昔はよかった」と言うけれど」はいつの時代にもモラルハザードがあったということを紹介していた。昨今、日本人のあらゆるモラルが低下しており、若者だけに関わらず、元気のある高齢者も各所で問題を引きおこし政府は道徳教育の再導入を検討しているそうな。この本では大正~昭和初期の新聞から虐待・中絶・暴力・電車内でのモラルなど今と変わらぬ事案を数々紹介していた。戦前は継母が義理の子に虐待する事案がとても多く近所の人もほとんど見てみぬふりで放置状態で、「昔は地域コミュニティーがしっかり機能していた」といわれるが実際はそんなに機能しておらず、虐待以外のグレネイド(育児放棄)もむちゃくちゃ多く今より酷かったそうな。電車内でも中学生(今の高校生)までは積極的に席を譲るが、それ以上になると寝たふり・新聞や本で顔を隠すなどここでも見てみぬふりが普通で、老人側から声かけし嫌々席を譲るのが日常茶飯事だったそうな。正直言うと今より治安も良くなく、傷害・暴力事件も多くバイオレンス・シティーのようだったのがよくわかった。戦前の若者は軍隊経験もあり、銃の取り扱いも慣れており許可さえあれば銃器の所持も簡単で銃砲を使った殺人事件も多く、多くの方亡くなっている。で、モラルか良くなる時期が「戦争突入によるため」というのが皮肉だが、皇民化教育(学校で道徳教育の徹底)・五人組制度(相互監視制度)や戦意高揚のスローガンの発令により当時の人はモラルが向上したそうな。わかりやすく言うと「今の中国」だそうな。マッカーサーも「日本は12歳の少年」と発言しており、全然成熟していなかったことだろうが、70年近く経過したが本質はそんなに変わっていないと思う。なかなか興味深くおもしろかった。「江戸幕府を動かした70人の通知表」は江戸幕府の歴代将軍15人の相対評価を表し、紹介していた。15人なので薄いムックだったがそんなに真新しいネタもなく、よくあるエピソードが羅列してあった。まぁ、高評価なのは家光・綱吉・吉宗・慶喜(幕府を終わらせた張本人だが…)ダメな将軍は…まぁ、ここはいいとしよう。まあ、260年もクーデターもなく長期政権は世界でもなく、ある意味平和だったそうな。当初武家政権だったのが将軍の正室は貴族・皇族から選ばれ貴族化し武士も戦争のない平和を謳歌し、文化面では文芸や絵画も花開き今のような時代だったそうな。(時々、文化の規制があったが表向きだけの規制で、庶民はこっそり楽しんでいたそうな。)薄いムックなので読むところ少なくサクサク読了したがなかなかおもしろかった。
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Last updated
December 2, 2013 12:06:24 AM
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