温故知新

目覚める時間は変わってはいないのに、

忙しい朝を迎えた。

朝から仔猫と接する時間が加わったせいだ。

嬉しい悲鳴ではあるのだが、

充分な睡眠をとった仔猫は、

朝から遊んでくれるように猫なで声を出し、寄ってくる。

邪険に扱うわけにもいかず・・・。





とりあえず、今日も映画の紹介を。

本日紹介する映画は、「星ガ丘ワンダーランド」。２０１６年公開。





星ガ丘駅の「落し物預かり所」に勤める瀬生温人（中村倫也）。

彼の日課は、落し物から持ち主の人物像を想像しスケッチをすること。

駅にはさまざまな物が届くのだ。

汚れた手袋。

片方だけのタップシューズ。

それぞれが誰かの思い出のモノだからこそ、

持ち主は「落し物預かり所」を訪れるのだ。



ある日、息子が描いた落書きつきのビニー傘をなくした母親が訪れるが、

期日を越えたためにその傘は廃棄所へ。

母親の気持ちを汲み、温人は廃棄所で一本のビニール傘を探すのだ。

そこで働く楠仁吾（市原隼人）とそれをきっかけに仲良くなり、

時々仕事後に廃棄所で２人で遊ぶようになっていく。



星ガ丘駅から見える遊園地「星ガ丘ワンダーランド」。

そこは温人と彼の家族の思い出の場所。

しかし今から２０年前、

両親が離婚し、温人の中では今でも忘れられない場所となっていたのだ。

その星ガ丘ワンダーランドの閉園のニュースとともに入った母（木村文乃）の訃報。



母は２０年前の静かな雪の降る日。

車から１人降りると

赤いコートを着た母の後を追いかける小さい温人を残し、

そのまま母は姿を消してしまったのだ。



母の死が自殺だと聞き、

納得のいかない温人は、

兄（新井浩文）、

義姉の七海（佐々木希）、義弟の雄也（菅田将輝）に会いに行くのだった。



彼らの語る母と自分の記憶の母。

母は３００万の大金を持って死んだという謎。

今の家族と何があったのか。

家族なのに母についてわからないことが多く、次第に温人の心は荒れていく。



そして温人は七海から、兄が母にお金をせがんでいたことを聞かされるのだった。



その夜、

閉園した星ガ丘ワンダーランドを温人が訪れると観覧車の操作室には兄の姿が。

お金について問いただす温人。

しかし、兄はお金は母が勝手に用意したのだと言い、

観覧車をライトアップさせるのだった。



それを見た温人は、父の母への本当の気持ち、愛の詰まった贈り物を目にした。

兄は死んでしまった父の代わりにやり遂げたのだ。



警察から呼び出された温人は、小さな２人の兄弟から

事件の日の母について知ることになった。

母は観覧車の近くで遊ぶ弟が段差から落ちるのを守り、

誤って死んでしまったというのだ。

そして、そのときその子を守ろうと咄嗟に「温人」と叫んだというのだ。



２０年前、

母のもとに駆け付けようと急いだ温人が段差から落ち、怪我をしたことがあった。

母は温人を救えなかったこと、

そして２０年が経った今も温人を忘れていなかったこと。

母の真実、自分の過去の記憶の真実を知り、

温人は流れる涙を抑えることができなかった。



母が出て行ったあの人と同じ雪の日。

母が自分の元を去っていったあの道路を温人は歩くのだった。

そして、見上げた先には星ガ丘ワンダーランドの観覧車が・・・。





静かな映画に、心を落ち着かせて、

いろいろと考えてみることも必要なのかもしれない。





さて、家から一歩外に出たなら、思いっきり仕事モードにならなくては！






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