テーマ:好きなクラシック(2324)
カテゴリ:CD紹介
カンポーリ / 美しきロスマリン~クライスラーを讃えて(1999年発売) 1906年生まれのイタリア人ヴァイオリニスト,アルフレード・カンポーリによるクライスラー作品集+アンコール集。《デッカ偉大なる演奏家たち》シリーズ。1954,56年モノラル録音。世界初CD化。1,500 円。 オーディオ店で聴かせてもらい,カンポーリの名は知らなかったのだがすぐに気に入り購入。帯には「1960年には来日,そのイタリア人らしいベルカント風な演奏が大変うけました。」とある。そこから私はイタリア・オペラ風の大仰だが表面的な感情表現をイメージしたのだが,実際の演奏はそれとはかなり異なる印象を受けた。もっとも,私のイメージがおそらく書き手の意図と違ったのだろう。「ベルカント」という語にはかなり幅があるようだ。 類まれな技巧を駆使して豊かな情感が表現されるが,その情感にはあくまで上品で繊細な響きがある。#2「愛の悲しみ」などもゆったりとした速度で歌われるが,その甘さもくどすぎることはない。#12「カルティエによる狩り」のようなリズミカルで技巧的な曲でもその優雅なテンポのとりかたに彼らしい個性がある。 アンコール集は懐かしい雰囲気に満ちており,#17「思い出(ドルドラ)」などの美しさは限りないが,あくまで上品な響きは失われていない。しかし#23「故郷の人々(フォスター)」のクライマックスではその礼節が一瞬壊れ,感情のほとばしりを垣間見たかのような感動を覚える。その#23で終わる曲順も良い。 録音はモノラルだが大変クリア。こう書くと,AMラジオとFMラジオの音質の差を実感したことのある方などは「モノラルとしてはましなほうだが並みのステレオ音質には及ばない」といった意味だと思われるかもしれないが,決してそうではない。確かにステレオのような音の広がりはないが,それをほとんど感じないほどこの録音ではモノラルの音の厚みや躍動感が魅力的だ。この年代のモノラル録音は,もともとモノラルでの再生向けに録られているためか,モノラル音源を後で無理やりステレオに分離したものよりも良く聴こえるものが多いように思う。いずれにしても,こういった良質なモノラル録音を聴くと,モノラルで聴いたほうが気持ちの良い音というものは確かにあるように感じる。そういった意味で,まったく同じ曲をモノ・ミックス盤とステレオ・ミックス盤の2枚組みで発売したクラムボンのてん ,(2005年発表)などはおもしろい試み。 01 序奏とアレグロ(プニャーニ/クライスラー編) 02 愛の悲しみ(クライスラー) 03 愛の喜び(クライスラー) 04 道化師のセレナード(クライスラー) 05 美しきロスマリン(クライスラー) 06 ウィーン奇想曲op.2(クライスラー) 07 中国の太鼓op.3(クライスラー) 08 メヌエット(パデレフスキー/クライスラー編) 09 奇想曲変ホ長調(ヴィエニャフスキ/クライスラー編) 10 奇想曲イ短調(ヴィエニャフスキ/クライスラー編) 11 ベートーヴェンの主題によるロンディーノ(クライスラー編) 12 カルティエによる狩り(クライスラー編) 13 ジプシー女(クライスラー) 14 スペイン舞曲第5番(グラナドス/クライスラー編) 15 コレッリの主題による変奏曲(タルティーニ/クライスラー編) 16 エストレリータ(ポンセ/ハイフェッツ編) 17 思い出(ドルドラ) 18 タンゴ(M.アルベニス/デュシュキン編) 19 真夜中の鐘(ホイベルガー/クライスラー編) 20 歌の翼に(メンデルスゾーン/アクロン編) 21 気紛れ女op.17(エルガー) 22 深い川(ニグロ・スピリチュアル/ハイフェッツ編) 23 故郷の人々(フォスター/クライスラー編) 【楽天市場】高音質CD xrcd shop 【楽天市場】ジャズLP > AUDIOFILE:MC昭和 【楽天市場】敬老の日特集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月20日 18時04分53秒
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