日本の地終わり、海始まるところ。
タイには国境の町がいくつもあります。東はカンボジアとの境、アランヤプラテート、北はご存知ミャンマー、ラオス、タイの3国が接するゴールデントライアングルで知られるチェンセーン、西はミャンマー国境のメーソート、南は細く細く伸びた国土がついにマレー半島の途中でついえるマレーシアとの国境。私も以前はビザの延長などでアランヤプラテートの国境越え、カンボジア滞在30分でとんぼ返り、なんていうのを何度かやったことがあります。タイの国境の町はどこも交易と行きかう人々で賑わい、ここから先は異国であるという緊張感とあいまって、なんともいえぬ高揚感を生み出しています。さて、では我らが日本国の国境は?日本が島国だというのは言わずもがなの事実で、それなら日本国中、海岸線は全部国境じゃないかという気もするんですが、じゃあその日本の国ってどこまでなんだよ、という話。そりゃ誰でも本州・北海道・四国・九州・沖縄、っていう大きな島の東西南北の端っこくらいは思い当たるとおもいますが、しかし皆様、日本って島国はなんと全部で6852個の島からできているんですってね!それがあなた、通常の日本地図でざっと見渡せるのとはまたとんでもなく離れたところまで分布しているのですよね!!いや、実は私、先ほど3日遅れの先週日曜日の読売新聞の1面を読みましてね、今日のブログを書いているわけです。“国境の島、活用へ指針”という記事で、政府が今年から日本の排他的経済水域(EEZ)を守るためにその起点となる無人島などを積極的に保全・活用していく方針だという話。簡単に言えば、国際的にその国の国土と認められた土地の沿岸からある程度の海域はその国の海としての権利が発生し、勝手に人んちの海入んないでよね!とか、ここから出た石油はうちのもんだから!とか主張できるわけで、そうなってくるとそういう“おらが海”、を広くしてくれる離れ小島は国益にとって大変重要、これはしっかり気合を入れてキープしておかねば!ってことですよね?!そこで代表的な日本の離れ小島といえば、日本領土の最南端、沖ノ鳥島。この沖ノ鳥島、行政上の所属である東京都の中心部からは約1,700Kmも離れた太平洋のど真ん中にあります。北緯20度ですから緯度的には台湾や香港より南、ハワイのホノルルとほぼ同じ高さ、成田からブーンと空を飛んでいくとグアム島のちょっと手前くらいの感じでしょうか。地図で見ても、周りには大きな陸地はひとつもない、それはそれはまさに絶海の孤島。いや、でもこれ、島と言ってもですね、その実体はほとんどがさんご礁であり、満潮時には海からほんの2箇所だけポコ、と岩が頭を出す、それだけのものだそうです。しかしこれ、なんかロマンをかきたてられませんか?!ざっぱ~ん、ざっぱ~ん、鳥さえ通わぬ、絶海の孤島。見渡すかぎりの大海原、大海原、大海原、大海原に、忽然と頭を出す岩。そこに日の丸の国旗。あくまでも私のイメージです。ザッパーン、ザッパーン、ザパパパーーーン!と、大きくうねる大洋の波。波の音だけ。風の音だけ。海、海、海、海海海海海海海海、そして島。たしかNHKのラジオで正午ごろに「気象通報」という番組があって、子供の頃、ラジオ好きな母の側でよく聞いていた覚えがあります。この番組、まさにタイトルの通り日本全国各地の気象、つまりお天気とか温度とか風向きとかをアナウンサーが淡々と報告するだけの番組なんですが、その中の観測地点のひとつとして沖ノ鳥島ってのもありました。「沖ノ鳥島、南南西の風、風力3、晴れ」たったそれだけのフレーズなんですが、私はこれを聞くのがたいへん好きでした。沖ノ鳥島という島があって、そこには今、南南西の方向から弱い風がそよそよと吹いている。雲はなく、空は青く見渡せる。たったこれだけのことしかわからないんだけど、でもこれを聞いた瞬間、私の想像はお昼ご飯の用意をする母の背中をいきなり離れて一足飛びに1700kmも離れた南海の小島までたどり着くのです。誰も、人も、鳥も、虫も、爬虫類の住人さえいない海の果ての、果ての果ての果ての孤島に吹く風、ふり注ぐ日差し、音、誰も見ていないのに、誰も聞いていないのに、岩に打ち付けるしぶき、砕ける波。日が昇り、日が沈み、雨が降り、陽光に照らされるだけの島。喧騒の届かない遥か彼方の日本。日本人のいない、でも日本の島。ここに日本の地終わり、海始まる、と。いやぁ、ロマンだなぁ~~~。これ、ピンとこない方にはなんだそりゃ?って感じなのかもしれませんが。。。で、あるとき私、思いついたんですよね。絶海の孤島で繰り広げられる、究極のイベント。どんけつ・in沖ノ鳥島説明しなくてもわかるかな?どんけつ、どんけつ、どんけつ、どん!♪というお尻とお尻をどんっ!とぶつけ合って土俵から出たほうが負け、というゲーム。あれを沖ノ鳥島でやるってのはどう?なんでも沖ノ鳥島の海面に出ている陸地ってのはほんの畳一畳分もないそうですね。そこでやるどんけつゲーム、真剣勝負ですよ!負けたら太平洋の大海原にざっぱーん!です。背水の陣とはまさにこのこと。どうかな?けっこうシュールでいいよね?!大磯ロングビーチでやる芸能人水着水泳大会なんかよりずっと面白いと思うんだけど。だめかな?!・・・と、新聞の記事からふと長年温めてきた企画を思い出した今日のわたくしでした。ああ、心は絶海の孤島へ。