ツリ子
あれは、11月の最初の三連休、最終日のこと。結婚の内祝いを探しに、新宿高島屋内をうろついていました。その前に行った伊勢丹で、大方の品は決定していたため、心と財布二つながらに軽く、逆に足はだいぶ重くなっていました。ふと、目に入ったクリスマスコーナー。大小のツリーと、煌くオーナメントが積み上げられた空間に、引き寄せられるように近づいていきました。私が小さいころ、まだアメリカにいたころは、家に大きなツリーがあるのは当たり前だとおもっていました。大きな大きな、緑色のツリー。ツリーを見上げた記憶を思い起こすたびに、クリスマス特有の、ショウガとチョコレートと、Holidayの匂いまでもが記憶の中によみがえります。日本に帰国したときに、日本の家のサイズに合うようにとそれよりは小さ目のツリーを買ってもらい、高校生までは毎年そのツリーを飾ることを楽しみにしていました。でも、それは見上げることができないツリー。受験勉強の合間に、入れてもらった紅茶を片手に眺めていたことを思い出します。大学で一人暮らしを始めてから、自分の生活空間の中にクリスマスツリーがない生活が始まり、12月になるたびになんだかとても物足りない、そんな感覚を覚えていました。だけど、狭い一人暮らしの家で、ツリーなんかを置く場所もない。飾ったとして、一体誰が見てくれるのだろう?小さな飾りで、クリスマスを演出はしてみるけれど、なんだかそれが「おままごと」みたいで、かえって寂しくなるも・・・思わず、振り向いてKに言ってました。「珍しく、おねだりがしたい。私、小さくていいからツリーが家に欲しい。」結婚して、今ならツリーを飾る場所もある。見てくれる人もいる。一緒にクリスマスを過ごせる。12月以外のツリーの収納場所とか、ツリーを飾るためにかかる費用とか、色々考えなくちゃいけないことはたくさんあるけど、それでもどうしても今年から、クリスマスツリーが欲しい!!ダメっていわれるだろうと思っていました。熱しやすい私と違って、冷静なK。しまう場所がないでしょ?と一蹴されるんだろうな・・・すぐにダメって言われるのがいやだったので、答えも聞かずにその場を離れる私。いいもん、いつか、大きな家に引っ越したら、その時でも・・・。ところが、Kはなんとその場で店員さんを捕まえていたのでした。そして私がずっと食い入るように見ていたツリーを指差し、「これ、ください。今日もって帰ります。」と。テンション急上昇する私。こうしてクリスマスツリーの「ツリ子」が我が家にやってきました。***↑クリックで応援していただけるととってもとっても嬉しいです。