増幅する「ネガティブマインド」
ニュースなどを見ていると、深刻な貧困の問題が取り上げられていることがある。昨年来の「雇い止め」「派遣切り」も、新たな貧困の拡大の一因になっている。 今回の大不況は「100年に一度」とも言うべき深刻なものだ、とマスコミは騒いでいたが、どう考えても、企業の人員削減の理由に使われただけだという印象だ。 そのマスコミ報道では、この3月末には製造業での非正規雇用の「雇い止め」「派遣切り」で新たな失業者が40万人増えるのだそうだ。 そしてもっと重要視しなければならない問題は、12月の完全失業率が4.4%と発表があったが、11月からはなんと0.5ポイントもの悪化幅だったことだ。これは尋常ではない。聞くところによると、これほどの悪化幅は1967年、昭和42年以来のことだそうだ。42年前のことだ。 だが、その頃と現代とでは明らかに問題の質が異なる。 大きな傾向として景気拡大だった当時とどう考えても経済縮小局面の現代、例えば単純に人口の増加、とりわけ労働人口がますます増加する傾向の当時と、少子高齢社会で人口の減少社会である現代と、ということだけ取り上げても社会環境はまったく異なる。 人間は生きているだけで、生活を営んでいるだけでそこには自然に消費が行われる。人口が増加すればそれだけ経済は拡大する。ということは、現代は自然に底上げは起こりえないことになる。 そこで政治の出番、政策に期待するしかないのだが、「100年に一度の危機」に対してリアリティがもっとも無いのが「政治家」なのではないだろうか。 この10年の間に「格差」が大きく広がった。富める者はより富み、貧しき者はより貧しくなった。 今や若い親は自分のことだけで精一杯で幼い子どもまで手が回らない、結果子どもが街角で「物乞い」をするといった事例まであるらしい。にわかには信じ難いこの話がけっして絵空事ではない、と思える社会になってしまったことは紛れも無い事実だ。 貧困は世代を受け継がれてゆく。そして格差の拡大はそれを後押しする。簡単には抜け出せない「負のスパイラル」だ。 この現実からどう抜け出すのか。 折りしも国会では麻生首相の「施政方針演説」と「代表質問」が始まった。国会をどれほど信頼できるかという疑いはくすぶり続けるものの、それでも活発な論戦を期待しないわけにはいかない。 だが、それにしても野党第一党の民主党はどうしたのだろう。代表質問に小沢代表が立たないのはなぜだろうか。政権奪取に向けた「気概」を国民にアピールするためにも、代表自らが登壇しなければならなかったのではなかったか。 それとも、やっぱり「大連立狙い」いやいや、選挙前の「政界再編睨み」かしらん。これでは「ネガティブマインド」はなかなか解消されまい。