「オリンピックメダルラッシュ」陰に隠れて政治は進む
オリンピックは、連日の日本選手のがんばりでますます盛り上がっている。メダルを獲得しようがしなかろうがオリンピックに出たことがそもそもすごいことだ。 先日のエントリーではないが、オリンピック報道が過熱する陰で、政府はさりげなく、しかし大事なことを決めている。 31日には2020年までの成長目標などを決めた「日本再生戦略」なる、いわば中期計画を閣議決定した。この計画を基に例えば来年度予算案での重点配分を盛り込んだ「予算編成の基本指針」を決めるという。 つまり、政府が行うすべての政策の方向を示したものなのだ。 その中には、社会保障分野も含め歳出については聖域を設けずに見直す、とあるという。政治用語的にはこの場合の「見直す」はつまり「削減する」という意味、だ。 そりゃ当然、無駄は省いてもらいたいが、そもそも社会保障費を削減するとはどういう意味なのか。 社会保障費は、高齢社会であるがゆえに一人あたりの金額は削っても、総額で見れば自然に増えてゆく。これは当然のことだ。 年金、医療、介護、生活保護といった生きることに直結するお金を削減ありきで機械的に削るとしたら、いったい社会はどうなってしまうのか。 支出を削って増税をして財政を黒字にすれば国民にとって何がどう良くなるのか。私の経験だけを振り返ってみても何か良くなったことがあったであろうか。 結局、政府は国民に負担を求めるばかりで、ろくな説明もできずにいるのだから、誰が政治を信用するのだろうか。 今から12年前の6月、総選挙があった。地元の選挙区から出馬した民主党の候補者は「政治をあきらめないで」と訴えた。結果は初挑戦で公明党の現職に小選挙区で辛勝した。 あれから12年経って現在4期目のその人は、消費増税に賛成し、新聞に載ったコメントでは「社会保障に必要だ」とあった。 「政治をあきらめないで」と訴えた人が、合理的な説明もできずに増税にたやすく賛成する。これで国民が「あきらめない」なんて無理だ。 陰に隠れて政治は進む…。