あらせいとうがよぶとき
あらせいとうってストックのことなんだ。私には印象の薄い花なんだけど今度育ててみよう。このエッセイの中で自分の部屋が欲しいと思った明子さんはキッチンをガス・水道つき個室と思って流しの反対側にテーブルを置いたことを書いています。テーブルの上にあらせいとうを飾っている日のことを書いていて「毎日のきりがないくりかえしの家事につかれたときうしろから私を呼ぶあらせいとうのかおり。ふりむいて写真の庭の小道に走り込めばそこは幻想の国。私はこの`背面世界^がとても気に入っています。」という一節を読んで驚きました。私の好きな人に町田貞子さんという人がいます。彼女の本は私には家事の実際的な工夫に終わることなく生き方を示してくれているのですがその貞子さんが家事机を持つことを本の中ですすめていてなるほどと思って当時住んでいた家で台所に明子さんと同じような背面世界を作っていたのです。自分の家を造るとき一番に考えたのがその場所をどこに持ってくるかでした。私は個室ではなくキッチンと居間の境目の所にデスクをおけるスペースを作りました。左には作りつけの本棚右には小さな窓ごく狭いスペースですがここが私の家のコントロールタワーです。斜め後ろに流しがあって鍋で煮物を煮ながらこの家事机でさまざまなことをします。明子さんはきっと私より感性がするどく詩的な人なんだろうな。私はごく実際的な仕事をここでやることが多いです。明子さんが気に入った写真をたくさん飾ったという壁に私は小さなカレンダーや子どもの予定表といった具合。でも実は窓のすぐ横に小さな油絵を掛けています。ピンク主体のコスモスの花かごの絵でとても気に入っているのです。自分に戻れる背面世界は私の基地なんですよネ