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カテゴリ:恋の話~コイバナ~
最近、美容ネタばかりだったので、ちょっと息抜き。
ずいぶんと昔の話だけど、不意に思い出したので。 高校1年の頃、大好きだった彼氏に振られて傷心のあたしは 毎日のように友人達とカラオケに行って気を紛らわせていた。 ある日、いつも行くメンバーの1人が、 バイト先の男の人を1人連れてきた。 名前はタツオ君。 彼は、あたし達よりも4つ年上の専門学生だった。 タツオ君は、あたしがそれまでの人生で聞いたことがないほどの 歌声を披露してくれた。 彼は、激しく音痴だった。 伴奏を聴いても、歌詞を見ても、 何を歌っているのかさっぱりわからない。 カラオケの途中で、一緒に行っていたB子があたしにささやいた。 B子「タツオくん、なつみの事気に入ったっぽいよ。」 あたし「なんでそんなことわかるのよ?」 B子「この歌、気に入っている子の前でしか歌わないらしいから。」 タツオ君は、なにやら必死で歌っているが、音程がぐちゃぐちゃでわからない。 どうやら、山根康弘の「Get along together」のようだ。 当時、とてもヒットしていた結婚式定番のベタベタのラブソング。 とてもいい歌なのだけに、 彼が歌っているのを聞くと笑いをこらえるのが難しい。 地を這うような低音、裏返り七転八倒する高音。 最後の最後まではずしっぱなしのこの曲が、 彼の女の子を落とす必殺技らしい。 そんな話を聞いたら笑うに笑えないではないか。 終始、あたしは笑いを押し殺すのに必死だった。 数日後、タツオ君主催のコンパに誘われ、 ほぼ強制的にあたしは参加させられた。 タツオ君は、あたしを家まで送ると言って、 バスと電車で帰るあたしについて来た。 帰り道に交際を申し込まれ、別に好きでもなかったけど 断る理由がなかったので、一応OKした。 彼は、あたしを送る為に来たのに、帰り道がわからないと言って 結局、今度はあたしが駅まで送り返した。 どんくせえオトコだな、と内心思ったけど、 このときはあまり気にもしなかった。 翌日の夕方、家に帰るとすぐに電話があった。 その次の日も、その次の日も。 熱心な人だなあ・・・と思いつつも、なんでたいして可愛くもない あたしを気に入っているのか不思議だった。 理由は、すぐにわかった。 前の彼女に、あたしが似ているらしい。 今だったら「ふざけんな!!」と怒るのだろうけど、 その時は、なんとも思わなかった。 なにせ、交際を申し込まれるなんて、生まれて初めての事だったので どういう理由であれ 「ありがたいもんだ」 くらいに思っていたのだ。 その次の日、あたしは友人宅へ遊びに行き、 帰りはいつもと違うルートで帰った。 当時住んでいた家は、私鉄も、地下鉄も、バスもあると言う 交通手段がとても豊富な場所だった。 この日は、朝乗っていった自転車を、私鉄の駅へ取りに行かず、 地下鉄で帰宅した。 夕食後、7時頃だっただろうか。電話が鳴った。 タツオ君からだった。 「なんで家におるの?!!」 開口一番、彼は怒ったように言った。 「なんで?」 意味がわからないので理由を聞くと、彼は言った。 「俺、なつみちゃんの自転車の前で、4時半から待っとったんだよ。 なのに、いつまでたっても帰ってこないから!!」 うわ~~~~薄気味悪ぅ~~~~~~ 好きな人にやられるととってもうれしい行動でも、 好きでもないヤツがやると、ただのストーカーである。 正直、ちょっと引いた。けれど、 「せっかく待っていたのだから、少しくらい出てきてよ。」 と言われ、悪かったなあ、という気持ちで、会うことにした。 タツオ君は、お腹が空いたので、夜ご飯だけ付き合ってほしいと言った。 あたしが住んでいた地域は、交通手段が豊富なだけに 飲食店もかなり多くあった。 あたしは、食事を済ましたばかりなので、 ジュースやデザートのある場所がいいと言った。 ハズなのに。 ヤツは、こともあろうに、 回転寿司屋へ入 ジュースもデザートもあるっちゃあるけど、選ばんだろう!普通!!! 他にもいっぱい店はあるのに、あえてココかよっ!!! カウンター席で黙々と寿司を食べる彼の隣で、 悶々としながら紙パックのジュースを飲んだ。 さらに、レジで「お勘定は?」と聞かれたヤツは、 当たり前のように、 「あ、別々で!」 死んでこーーーーい!!! と思いながら、財布から150円払った覚えがある。 翌日、タツオ君を紹介したB子達に怒りをぶつけながら 「もう別れたい。」 と言ったら、 「まあまあ、抑えて。 タツオくん、ハタチだけど童貞だから大目に見てあげてよ。」 となだめられた。(どんなフォローだ。) 2日後、タツオ君と再びカラオケに行く事になった。 拷問のような歌声を聴くこと一時間。 「もうあかん・・もうあかん・・・」 と、あたしは心の中でつぶやき続けていた。 すると、タツオ君はおもむろに立ち上がり 「ジュース買って来るね。」 と、部屋を出て行った。 戻ってきたヤツの手には ジュース1本。 てめぇの分だけかよ・・・・ その日の帰り、あたしは彼に別れを告げた。 交際期間ジャスト1週間。最短記録達成。 PS.彼の歌声のテープが友人の家にある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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