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カテゴリ:読書
フィクションの世界では、アメリカ軍が開発した新兵器は大抵の場合、暴走・制御不能に陥って人様に迷惑をかけるものですが、「邪眼は月輪に飛ぶ」において、アメリカ軍に軍事利用されるために捕らえられたフクロウ「ミネルヴァ」も、(おそらくは)そうした計画の犠牲者でした。
そのミネルヴァに立ち向かう老猟師・鵜平との戦いを描いた物語。 異様に熱いです。濃いです。そして面白いです。 ミネルヴァと鵜平の最終決戦はまるで「映画か」と思うほどの迫力。 そして何よりミネルヴァ。視線によって相手を死に至らしめる「邪眼」能力を持ち、それ故に米軍に捕らえられた彼は、劇中、フクロウの形をしたオブジェを大事にしているというシーンがあります。 おそらくそれは、その強力すぎる能力ゆえに恋をすることすら許されなかった彼の、初めて得た仲間のように思われたのでしょう。 その「仲間」を守るために鵜平と戦って敗れた後、天に向かってどこまで飛んでいくシーンの、言いようの無い哀切に満ちた雰囲気が堪らない。 終盤、迫り来る鵜平を凝視した時のミネルヴァの心、鵜平の娘の言葉が、身勝手な人間への強烈な批判となって響きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.09.01 22:55:24
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