カテゴリ:研究室風景
さえ:
今年の卒研生は、面白い実験結果を出したと書いたでしょ。おまけにReal Time PCRを使って検討しているので結果に信頼性があります。 今までの方法ですと、クスリを加えて発現が抑えられても、意味があることなのか、ただの実験の誤差なのか判然としないわけですね。Reverse Transcriptaseの操作の時にピペット操作によって、容量が0.2マイクロリットル違っても結果が10%違ってくるのですものね。 ですから、細胞培養をする実験そのものを3回独立に繰り返して、実験結果を出して、結果の統計処理をして、p値が0.05以下であれば結果を信頼する方式を採っています。 いまはともかく、この大学始まって以来初めてReal Time PCRを使って実験しているので、すべては目新しく、学ぶことが沢山あります。ですから、試料をReal Time PCRで分析する度に、卒研生の馬さんも毛さんもぼくをPCのところに呼んで、説明してくれます。 これは教授室のPCにすべてのデータを保存することにしているので当然なのですけれど、今までの卒研生でここまでぼくにデータをその場で見せてくれたことがないのです。ですから、この二人の学生はとても可愛い存在です。 だって、ぼくだって一緒に実験しているみたいな気分になるでしょ。 初めは試料や、Primerを入れ忘れた実験の間違いがあったのが、3回目からは間違いもなくなりました。三つのクスリを使って、ケモカインの生産にGD1aのシグナルがどう影響するかを実験しました。 ケモカインが違うと、GD1aのシグナルの通り道が皆違うのです。今は通り道の点が分かっただけですが、それぞれの経路をしっかりと解明したいですね。 卒業研究の発表は一週間先なので、今日からはリハーサルの開始です。順番はReal Time PCRのデータ解析方法を研究した劉丹くんが最初。 実はまだ、Real Time PCRのデータ解析方法は確立していないのですね。いろいろな方法が出ていますが、このあたりの研究室では一番遅れた方法を使っているみたいです。うちの研究室に劉丹みたいな、とんでもない天才児が来てくれたのは、とても良いタイミングでした。 Real Time PCRのデータ解析という難しい話しが最初に来ますが、Real Time PCRの話しに馴染んで貰って、そのあとLewis細胞を使った馬さん、NIH3T3細胞を使った毛さんが、Real Time PCRで得た結果の話しをすることになります。 卒研発表は学生にとっては試験かも知れませんが、「実際は、相手の知らない話を相手にしてそれを分かって貰う、しかもその内容に興奮して貰うという、これから経験を積み重ねて行く話し方の、最初の機会なんだよ。話す内容を楽しんで話しをしようね」と卒研生にぼくは話しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.06.13 07:38:32
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