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カテゴリ:園芸
着陸船ウサギの拒否か春の月 中日春秋 (書写) 米国のアポロ11号の月面着陸は一九六九年。作家の北杜夫は打ち上 げを米国でみている。発射台のそれを双眼鏡でのぞいて「なまなま しい迫力が伝わってくる」と朝日新聞に寄稿した▼その六年前に出 された『どくとるマンボウ小辞典』の中にある『月』という随筆に 「近い将来人類はいやでも荒涼たる月の表面に足跡を記すであろう 」と書いていた。「人類というやつは、幸か不幸か、自らにふさわ しいかふさわしくないかは別として、その夢想をけっこう実現して しまうのである」▼民間企業で世界初となる月面着陸は実現しなか った。日本の宇宙ベンチャーの無人の月着陸船は着陸直前に通信が 途絶。月に衝突した可能性が高いようだ▼月への物資輸送サービス の実現を掲げ、今回は着陸技術の実証などが目的だった。着陸船は 米企業のロケットで打ち上げられたが、着陸成功なら、官民問わず 日本初の快挙だっただけに残念。会見で技術責任者は涙を流した。 経験はいかされるのだろう▼北杜夫は別の随筆で六九年当時の日本 メディアの過熱ぶりを書いた。現場の特派記者の数は米を除けば「 だんぜん世界一」。各局が視聴率を競い、落語家を一週間ホテルに 缶詰めにして宇宙食だけを食べさせる企画もあったという。「まる で日本が月ロケットを打ちあげるかのごとき騒ぎ」▼半世紀を経て 、日本も月に近づいたものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.04.27 05:15:06
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