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カテゴリ:園芸
中日春秋 (書写) 夏枯れや街路樹悲しあしき腹 吉田兼好の「徒然草」に良覚僧正という「極めて腹あしき」(怒 りっぽい、意地悪い)人の話がある。高校の教科書に載っていたか ら「榎木の僧正」といえば思い出す方もいるだろう▼こんな話だ。 僧正の寺のそばに大きな榎の木があったので人々は「榎木の僧正」 と呼んでいた。今でいうニックネームだが、それが気に入らぬと良 覚さん、榎木を切ってしまう▼ところがこれで終わらない。人々は 残った切杭を見て、「切杭の僧正」と呼ぶようになる。ならばと僧 正、掘り返して切杭を捨てるも、大きな穴ができ、「堀池の僧正」 と呼ばれることになる▼短慮から木を切り倒したことがすべてのは じまりだろう。事実なら、これも浅はかな短慮が原因か。保険金の 不正請求が問題となっている中古車販売大手のビッグモーターであ る。今度は店舗前の街路樹を除草剤などで意図的に枯らしていたの ではないかとささやかれる▼道路から店舗の車を見やすくするため ではないかと疑われる。国土交通省が調査を指示したが、人々の目 を楽しませ、夏には緑陰をこしらえる街路樹である。これを商いに 障りがあるからと身勝手にも枯らしていたのなら「極めて腹あしき 」ふるまいだろう▼「車を売るなら」のCМのうたい文句は「車を ゴルフボールで傷つけるなら」となり、今後は「街路樹枯らすなら 」の陰口と変わりそうな気配である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.07.31 05:41:26
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