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カテゴリ:園芸
中日春秋 (書写) 犯罪の種類変われど初嵐 記者になって三十年近くになるが、駆け出しのころは事件担当だ った。火事、交通事故と並びよく書いた記憶があるのは、ひったく りの原稿である▼近隣で三件程度続けて起きるのも珍しくなかった。 たいてい被害者は女性で犯人はバイクに乗った男。後ろから近づき 追い越しざまにバックを奪うパターンが多かった記憶がある▼約二 十年前の新聞記事で、当時六十代の女性がバイクの二人組に腕にか けていたバックを奪われた体験を語っている。一瞬の出来事で、う っすら記憶にあるのは犯人の茶髪の後ろ姿。恐怖は消えず、しばら くは一人で外出できなくなったという▼ひったくりが近年、激減し た。二○○一年には全国で五万件を超えていたが、二二年は七百件 余。百分の一程度に減ったのだから、古い記者は驚くばかりである ▼原因の一つと考えられるのは防犯カメラの増加。犯人の足取りを 追いやすくなり、犯行の発生も抑止しているらしい。ひったくりの ような、失敗のリスクも大きい街頭での対面型の犯罪から、ニセ電 話詐欺など電話やメールを使う非対面型に移行したとの見方も。ひ ったくり減少を素直に喜んでいいものか考えてしまう▼約二十年前 の記事の女性は、一人で外出できるようになっても茶髪の若者を見 ると身構えたという。そんな犯人の残像さえ今は見えにくくなった のか。世の闇が深まった感もある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.08.04 05:01:03
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