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最新情報 前立腺がんの診断と治療

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2018年08月26日
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カテゴリ:前立腺がん

◆◆ 内分泌療法は、やめられる!? ◆◆

 

内分泌療法の副作用を列挙すると、

1. 性機能への副作用(性欲減退やぼっき不全)
2. ほてりや顔面紅潮
3. 骨粗しょう症などの骨への副作用、筋肉量の低下、フレイル(高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態)
4. 糖尿病や心血管病(脳梗塞、心筋梗塞など)の悪化
5. 肥満とメタボリック症候群

 

前立腺がんの状態や症状が内分泌療法で落ち着いたとしても、これらの副作用に悩まされて、最悪深刻な状況になれば、治療とは言えません。

すなわち内分泌療法のメリットがデメリット(欠点)を上回らなければ治療とはいえず、かえって悪い結果をもたらします。

例えば、心臓病や糖尿病の状態が悪く、うまく治療、制御できていない状態であれば、内分泌療法はしないほうがいいかもしれません。

心臓病や糖尿病の悪化で死にそうであれば、内分泌療法どころではありません。

 

しかし、進行前立腺がんで見つかって、前立腺がんの症状がある場合、例えば骨転移で痛みがでていたり、尿閉状態(尿が出ない)などの症状は、かなりの確率で内分泌療法で改善します。

内分泌療法は一定の効果があるのも事実です。

 

内分泌療法の効果は期待できるものの、副作用も心配だし、継続したくない場合はどうすればいいでしょうか?

 

内分泌療法が行えない状態で内分泌療法を行わないという選択以外に、1つの解決策として、

『間欠療法(間欠的内分泌療法)』

があります。

 

『間欠療法』は内分泌療法のひとつです。

 

89月の電子配信では『間欠療法』の実際を解説します。

 

間欠療法には、内分泌療法の副作用対策以外に別の効果もあるかもしれません。

 

間欠療法:長期間の去勢術、内分泌療法(男性ホルモンを下げる治療)は、前立腺がん細胞を死滅させます。

しかし、平均24ヶ月で腫瘍は再発し、内分泌療法治療による男性ホルモン低下の効果がなくなるといわれています。

つまり、前立腺がん細胞の性質が変化して、男性ホルモン低下によっても死ななくなることが考えられます。

もしくは内分泌療法の効果が少ないがん細胞が生き残り増加するのかもしれません。

乳がんの実験モデルで、時々内分泌療法を止める事で腫瘍のホルモン依存性(内分泌療法の効果)が持続することが報告されました。

『間欠療法』は、人間の前立腺がんにおいて、動物実験のように明らかではありませんが、時々男性ホルモンを上昇させることで前立腺がん細胞への内分泌療法の効果が継続することを期待することと、時々休薬する事で内分泌療法(男性ホルモンを下げる治療)による副作用を軽減しようというものです。

内分泌療法を休薬して、時々男性ホルモンを上昇させることで前立腺がん細胞への内分泌療法の効果が継続することは、あまり明らかではありません。

しかし、内分泌療法の副作用を軽減する可能性は十分あります。


欧米では、日本より内分泌療法による副作用や生活の質の低下を重要視します。

いままで解説したように内分泌療法により、性機能の低下やぼっ起力低下、性欲の減退、うつ状態、心血管系の副作用の悪化などが出てくる可能性があります。

内分泌療法を間欠的に行い、時々やめることで、これらの内分泌療法による副作用を減らそうというわけです。

内分泌療法を中断して、
PSAなどが再上昇してくれば、内分泌療法を再開するやり方です。


しかし、転移性前立腺がんや進行前立腺がんが見つかって最初の治療で内分泌療法を行う場合、全ての患者さんにこの間欠療法がお勧めかというとそうではありません。


内分泌療法を行ってもPSAが下がらない場合、画像など(CTや骨シンチなど)で病状が増悪するような場合は、間欠療法どころではありませんね。

また当初治療効果がでても、いわゆる『去勢抵抗性前立腺がん』になると、間欠療法は選びにくい状況です。

痛みや排尿障害などの症状があればなおさらです。




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電子配信には​メール形式​と​ファイル形式​があります。

メール形式の配信予定です。

08/05/2018 定期配信『骨粗しょう症は、サイレントキラーです。その1

 

08/12/2018 定期配信『骨粗しょう症は、サイレントキラーです。その2

 

08/19/2018 定期配信『イクスタンジは、転移のない去勢抵抗性前立腺がんの患者さんの転移出現までの期間を延長する

 

08/26/2018 定期配信『内分泌療法は、やめられるか!? その1

 

09/02/2018 定期配信『内分泌療法は、やめられるか!? その2

 









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最終更新日  2018年08月26日 07時05分20秒
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Re:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   けんけん さん
はじめまして、質問させてください。
父が前立腺癌で骨転移ありです。
ホルモン薬を続けて1年ですが、なんだか健忘気味です。

PSAの初期値が無茶苦茶に高かったため、2ヶ月でイクスタンジのお世話に
なることになってしまいました。

去勢抵抗性、まして骨転移のある場合、去勢レベルのテストステロン値でも
増殖をする場合、骨転移部であればIL-6やIGFなどの間質細胞、骨由来の
増殖因子を使っていると予想しています。
そうした状況であれば、ホルモン薬を休薬してテストステロン値が上昇しても
他から増殖因子を得ているのなら、ホルモン薬は無くても良いのではと思えるのですが、テストステロンの方が増殖能力が大きいなどの差はあるのでしょうか。

主治医に聞いても答えてくれません。 (2018年08月29日 04時17分35秒)

Re[1]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Uromaster さん
けんけんさんへ

厳しい状況のようですね。
テストステロン低値と認知症との関連はいわれています。
しかし、常識的な話ではありません。

骨転移があって、急激に悪化している去勢抵抗性前立腺がんの状況で、去勢術の有用性をみる研究はありませんし、倫理的にも難しいでしょう。

主治医の先生のみならず、わかる方はいないと思います。 (2018年08月29日 13時25分42秒)

Re[2]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   けんけん さん
Uromasterさんへ

お返事ありがとうございました。
ということは、ホルモン薬を止めても変化無いかもしれないし
悪化するかもしれないけど、誰もやったことがないので不明ということなんですね。 (2018年08月29日 13時42分00秒)

Re:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Yokolin さん
はじめまして。先生のブログを見つけ拝読させて頂き大変参考にになっております。私の父なのですが現在80歳です。骨転移もありホルモン療法を始めて5年程経過します。ホルモン療法前は記憶力の低下はなかった父が3年程前から記憶力の低下がみられこの頃目立つようになり心配になって神経内科を受診して調べたところ認知症の確定はできず、低下による原因は病的、薬剤、老化によるものか確定出来ないが多分アルツハイマーかもと診断され、その旨を主治医に話し何か手立てはないか、間欠療法はできないかと相談したところ(生検はしてないが悪性度が強いがんだと思うのでホルモン療法が効いているのだからやめない方が良い。もう80歳なのだからこれだけ元気で多少の記憶力低下はありますよ。認知症になったとしても続けた方がいいですよ。優先順位はがんでしょう。両方ともなんて)と言われホルモン療法を強く勧められました。いつまで効くかはわかりませんが小骨の骨折、父の疲れた〜と言う疲労感。記憶力の低下の副作用が出ているのは事実で、認知症だって大変な病気です。それこそ家族全体のQOLも落ちます。本当にこのままホルモン療法を続けてもいいのかと考えさせられます。後は睾丸を取る選択肢もありますと。そう言われて現在迷っています。睾丸摘出手術をすれば副作用的なもの、薬剤による認知機能低下であれば少しは改善される可能性はあるのでしょうか?睾丸を摘出するにあたってのリスクとかはないのでしょうか?やはり主治医が言うようにホルモン療法を効いているうちは認知症になったとしても続けていた方がいいのでしょうか?お忙しいところすみませんが先生のアドバイスを頂きたく思います。どうぞ宜しくお願い致します。 (2019年04月06日 13時33分49秒)

Re[1]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Uromaster さん
Yokolinさんへ

コメントありがとうございます。
内分泌療法と認知症、テストステロン低下と認知症に関しては関連を言われていますが、内分泌療法をやめるもしくは間欠療法で認知症の状態が改善するかどうかは、明らかではありません。年齢的にも認知症が出てきてもおかしくないですし、一方、内分泌療法も関与している可能性はあります。

間欠療法の適応は、患者さん患者さんで、判断が難しいというのが本当です。

一般的なお話は対応しますが、個別の患者さんの相談は、直接お会いして、
詳しい状況が分からなければアドバイスできません。そちらの方が物理的に可能です。是非お会いして相談ということであれば、メールで連絡していただければと思います。 (2019年04月06日 15時28分55秒)

Re[1]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Uromaster さん
Yokolinさんへ

間欠療法に関しては、バックナンバーですが、
2018年の8月と9月の配信で詳しく説明しています。
有料でよければ、参考にしてください。

https://www.mag2.com/archives/0001605001/2018/

転移性前立腺がんの患者さんで、内分泌療法を中止して経過をみている患者さんも実際にいらっしゃいます。 (2019年04月06日 16時21分41秒)

Re[5]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Yokolin さん
Uromasterさんへ
早々にご丁寧なお返事大変感謝しております。本当にありがとうございました。
確かに間欠療法で改善するかどうか明らかにされていない。父が適応していないのが理由かもしれません。ただ何か改善する手立てはあるんじゃないかと思う次第であります。5月の中旬に主治医が変わることになりました。今までは20代の若い医師で今度は経験のあるベテランの医師です。どうなるかはわかりませんがその医師に旨を伝え相談したいと思います。
一つ分からないことがあります。選択肢に睾丸摘出があると言われました。その違いがわかりません。睾丸摘出のメリット、デメリットを教えて下さい。睾丸摘出をすれば改善されるのでしょうか? (2019年04月07日 11時13分59秒)

Re[6]:内分泌療法は、やめられる!?(08/26)   Uromaster さん
Yokolinさんへ

外科的去勢術(両側睾丸摘出術)は、精巣由来の男性ホルモンを完全に抑制できるメリットと医療費が安くできるメリットがあります。
デメリットとして、入院して手術をしなければならないことと後戻りができないことがあげられます。
内科的去勢術は定期的に継続する必要があれば、医療費は、莫大となります。
治療を中断すれば、男性ホルモン産生は戻ります。 (2019年04月11日 12時35分12秒)


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