テーマ:今日のワイン(6039)
カテゴリ:Degustation
ブルゴーニュワイン通なら判ると思うが廃業ドメーヌには独特のPathosが有る。廃業前にブレークした翁のようなところならまだしも良いが廃業後にブレークしたRene EngelやGriveletもまだ救いがあるが、廃業してそのままブレークせずフェードアウトして歴史の闇に消えていく幾つかのドメーヌのワインを見る度に喜びと悲しみ、諦観、焦燥等が混じり合った感情が押し寄せてくる。特にそのドメーヌが秀逸であるにも拘らず知られていなかった場合、特にその感情は強い。所謂滅びの美学を感じるからだろう。
この作り手も秀逸なのだが最終的には知られず廃業していった。Montrachet直下のBatard最上部に畑を持ちだれることない優れたBatardを作っていたのだが殆どがLouis Latourに売られていたため余りブレークはせず、米はともかく日本ではインポーターが付かなかったためスポット輸入しかなく極一部の人にしか知られずひっそりと廃業。2008年の頃だろうか。(因みにBatardは上部と下部で歴史的評価が違い、1860年のCABの格付けでは上部は一級だが下部は二級格。下部は土が重く赤中心だったらしい。)
さて、このワインだがどうしてもパトスを感じてしまい、あまり客観的にワインを評価出来ない。が、04という白の好VTに合って横に膨らむことは無く、スレンダーで果実の奥行きも有り中々素晴らしいワインだと思う。大輪の花ではなく、神経質なニュアンスもなく語りかけてくるようなバランスの取れた白果実だ。何よりも品が良い。
1本が終わる頃にはそのPathosも終わる。このワインが無くなり、そのワインを作ったドメーヌも無くなり、このドメーヌの痕跡はゆっくりと世界から消えていく。そしてこのワインを友と開けた思い出になって昇華する。それがワインの楽しさの真髄なのであろう。
さてこのドメーヌのBatard、最後の1本いつ開けようか。難しい問題だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/12/07 02:31:57 PM
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