テーマ:ワイン大好き!(30886)
カテゴリ:monologue
百花繚乱ならぬ百貨騒乱的な仮想通貨だがその一つのLUNAが破綻した。そのニュースを読みながら落語の「千両みかん」を思い出した。紀伊國屋文左衛門の息子が大病になり季節外れのみかんが食べたいと言うので番頭があちこち探してやっと見つけたらその値段が千両、息子が治るならと言う事でそれを買い求め、息子が三房を番頭にお裾分けして番頭が「これで3百両だ」と感動してそのまま出奔してしまうと言う話だ。
まあ、これはこれで笑い話なのだがこの落語を経済学的に見てみると中々面白い。蜜柑という有り来たりの財(Commodity Goods)、しかもperishableであるのにに法外な値を付ける売り手も存在しているところからこの番頭も含めて買い手もいるので市場として成り立っている事が判る。そしてその蜜柑の三房を分けてもらった番頭は蜜柑の価値を測るのに自分の味覚や価値観では無く、市場評価で判断している。ほぼ架空に近い価値しかないものを市場価値という集団幻想で評価する。或る意味現代なら仮想通貨だろう。
閑話休題、ちょっと前置きが長いがこのanecdoteは今のブルゴーニュを具現しているように思える。一般的に値段が上がっているブルゴーニュの中でも天文学的に暴騰してしまった幾つかのドメーヌだが個人的にはどうもその価値はあるようには思えない。つるんとしたビニールのようなtexture, 酢酸を思わせるような酸味、LeroyやJayerを彷彿させると言う諸氏もいるがその辺をリリースで飲んでいた自分には全く別物に感じる。強いて言えばBizotだろうが私的には余り好きではない。このドメーヌなら私は94以前の先先代の方が遥かに良いと思える。個人的にはこの手のワインは千両みかん、そしてこのワインを買ったとSNSに上げる人は先の番頭と余り変わらないように思える。
さてその番頭だが彼が現代に生きていたら多分蜜柑三房をSNSに上げてドヤっただろう。それともその三房を密かに奥で売り捌いていただろうか?
あくまでも個人の意見です。
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Last updated
2022/05/20 03:55:41 PM
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