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サリエリの独り言日記

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2022.11.10
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テーマ:BAND-MAID(5)
カテゴリ:クラシック
こんなどうでもいいような話をしているというのは、結局いろいろ逸話に満ちた「人集め」話というのは、すこぶる面白いからです。「七人の侍」前段の面白味は、いわくありげな浪人たちを募っていくエピソードにあるのですが、それぞれの逸話や秘密が後段のアクションにつながって、大きく展開しますよね。それと似てBAND-MAIDに集まったメンバーは、よくぞここまで癖のある人ばかりになったか、と思わせるほどの個性派ぞろいで驚いてしまう。
 ベースのミサさんなんか、ライヴ中でもお酒が入らないと、セッションが乗らないという無頼派ぶりで、先ほどのカナミさんはギターを手に取ると人格が豹変する、肝心のミクさんじたいがメイド姿で「ポッポッ」と鳩語を臆面もなく連発するとなると、ヘタすれば収拾がつかなくなるのは必至というような顔ぶれなのです。
 ここでミサさんのベースドライヴが光る「Turn Me On」を聴いてみましょう。このミサさん、ついでに言うと、2018年のヨーロッパツアーでは裸足で演奏していたらしい。それらしき動画もありますが、ここでは挙げません(オランダでのライヴ)。

 そういうようなことで、比較的まとも(?)とみられたドラムのアカネさんが、一時期このバンドのリーダーと目されることもあったようですが、どうもハッキリしない。というか、このバンドにはリーダーが存在しないのです。それぞれが、かなり強い自律性を持って集っているという印象が強い。これはクラシックでいうなら、例えば弦楽四重奏団なんかが思い浮かぶし、フルスペックの大オーケストラでも指揮者を置かずに「第九」を演奏したりする試みが行われていますが、それを定型化するのはなかなか難しい。早い話、二十人たらずの室内管弦楽団でも、音楽的なリーダーがいないと、楽団を維持するのは大変でしょう。
 かろうじて先ほどの四重奏団レベルで、各人がかなりの自律性を保持し得るのではないか?しかしこれもまた各様で、名ヴァイオリニストの率いる四重奏だと、ほかのメンバーは何だか伴奏者みたいな位置づけにどうしてもなって、なかなかうまくいかない。これはジャズなどのグループでも同然でしょう。

 サイキさんはもちろんそんな難しい話ではなくて、彼女独特の嗅覚で「このグループは、面白いかもしれない」と嗅ぎ取ったに違いない。この場合の「面白い」とは、「かなり自分の好きなようにさせてもらえる」、そして「オリジナルな曲を作ってくれる」かもしれない、ということだったでしょう。この人、見かけのとおり何でもズケズケ言ってのけて、そのかわりあとに残さないという、ごくサッパリした性格のようで、「全然趣味が違う」「性格が正反対」「高校時代なら絶対仲間に誘わないタイプ」だの、 ミクさんに向かってもずいぶんなことをおっしゃってますが、対するミクさんも大人ぶりを発揮して、全く動じるところがない。
 サイキさんが友達を引き連れて(当然自分が女王様の)得意になっていたとしても、ミクさんは付かず離れず泰然と適度な距離を保って、たぶん一人でなにやらいわくありげな本を読んだりしていただろう。サイキさんはおそらくそういう存在が、気になって仕方がなかったに違いない。

 何だかこれまた女子アニメ風の景況を呈していますが、そのミクさんがまた競馬が趣味だと、サイキさんを脅かすようなことを言って煙に巻くのです。ミクさんというのは、その扮装おしゃべり趣味その他、さまざまな点で自分を覆い隠す「韜晦癖(とうかいへき)」(自分の本心や才能・地位などをつつみ隠すこと)があって、作詞にかんしても「情緒不安定になるから、自分を語ることはしない」とかおっしゃってましたね。メイド服も鳩語も競馬も、自分の身を隠す一種の扮装あるいは、方便のように使っておられるのです。
 こういう自身も含めて、周囲から一歩距離を置いたような目線で、世間と対峙する人というのは、数は多くないけど、この世には必ずいるので、私などすぐ平安時代の紫式部を思い出します。元祖「こじらせ女子」なんだそうですが、「内心の悪魔」からできるだけ距離を置きたいがために、あれだけ長い長い物語を書き続けたのではないか、というのが以前「源氏物語」を舐めるようにして読んでいたとき、終始感じていた気分で、その印象は今も変わっていません。

 その伝でいくと、対するサイキさんは、まさしく「枕草子」を書いて一世を風靡した清少納言にあたるので、この人の語ることはすべて「自分のこと」。才気煥発で当意即妙、「私のように才能のある人は、この世にいないわ」とばかり、終始さまざまな話題を宮廷中に振りまく。紫式部が宮廷に出仕したときには、彰子と定子の入内争いはほぼ決着していて、彼女が清少納言と直接対決することはなかったはずですが、宮廷中の話題をさらっていた彼女のタレント性には、よほど腹を据えかねていたとみえて、のちに日記に彼女を罵倒する文章を長々と書き記すこととなります。人を観察する怜悧な目は、小説では人物を生き生きと活動させますが、現実の人間を描くと、それが精確になればなるほど、逆に描くほうの性格があらわになってしまい、「これは付き合いきれないな」という話になってしまう。
 紫式部はそういう自身の内部に潜む「内心の悪魔」の存在を十分知っていたので、宮廷では絶対「私」を出さない。それが彼女のどのような生まれや育ち、あるいは経験から来たものなのか、想像するしかありませんが、幼い時からさまざまな漢籍に親しんだことも、あるいは内省性をはぐくむ起点になったのかもしれません。

 ミクさんはもちろん「こじらせ女子」ではなく、その姿形とは裏腹に内々では「オヤジさん」と呼ばれているらしい。彼女のお顔をよく拝見すると、確かに丈夫そうな顎の張りぐあいからみて、相当な肉食系であることは間違いなさそうです。それがよく分かる動画を観てみましょう(失礼!)。「about Us
 コロナ禍にあって、どうしても世界に伝えたい、人々への激励のメッセージという意味で、きわめて美しい作品ですよ。





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Last updated  2022.11.10 17:17:01
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TNサリエリ@ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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