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カテゴリ:演劇
■2003年の再演時の公演をビデオで見る。この時はチケット争奪戦に敗れ、ちょっと途方に暮れていたのだけど、WOWOWで生中継をやってくれて録画することができた。ちなみに2000年の初演の時は青山劇場で見ることができた。今でも思い出すだけでちょっと鳥肌が立つくらい感動しちゃった。
■再演の配役はコンダクター・白井晃、ヴァイオリン(コンサートマスター)・戸田恵子、チェロ・瀬戸カトリーヌ、ヴィオラ・小林隆、ギター・川平慈英、ハープ・天海祐希、ピアノ・小日向文世、オーボエ・布施明、トランペット・寺脇康文、サックス・相島一之、ファゴット・岡田誠、パーカッション・小橋賢児、ドラムス・温水洋一。 ■オケピとはOrchestra Pit の略で、本来なら舞台下で行われている演奏風景を俳優たちがステージで再現し、なおかつ本物のオケピがその伴奏を舞台下で行うという二重構造を持つ芝居だ。ちなみにその本物のオーケストラを指揮していたのがこの作品の全ての音楽を担当した服部隆之。オケピの指揮者がこんなにスポットライトを何度も当てられた舞台は珍しいのではないか、でもそれだけの貢献をこの芝居に対して彼は果たしていると思う。彼なくしてこの作品の成功はなかった。 ■歌が上手いんだか下手なんだかよくわからないが、それぞれの出演者が自分の番になる前に緊張している様子はこっちまで伝わってくる。どうでもいいような歌詞も服部メロディに乗せて振り付け師の技が加わっただけでどれも名曲に聞こえる。とりわけクライマックスのM20とみんなが呼ぶ「それがオケーピー♪」というタイトル曲の盛り上がりは素晴らしい。 ■あくまで俳優の歌が繰り返される中で、布施明に与えられた膨大な2曲は彼と別れた娘の物語を切々と聞くものに伝え、涙腺を緩ませる。摩周湖よりもシクラメンよりも薔薇よりも美しい芳潤なバラードである。 ■初演と再演を比べるとどうしてもコンダクターの輝きの違いは際立ってしまう。真田広之にはもう持って生まれた華があった。あの膨大な長セリフをいとも簡単にこなしてしまえる滑舌の良さ、そしてひとつ一つの身のこなしの華麗だったこと。彼の後にこの役を演じる役者のプレッシャーはどれほどのものだったろう。白井さんは大好きな役者で、前回とは違う彼なりのコンダクター像を表現して見せてくれたが、やはり彼には初演時のサックス奏者がはまり役だったように思う。 ■一方ヒロイン役に当たるハープ奏者は初演時は松たか子、そして再演では天海祐希。どちらも見かけと違い一癖も二癖もある女性という設定だったが、ふたりともそれぞれ存在感があって甲乙つけがたい。特に今回の天海さんの長い手足をクネクネさせて踊るタコダンスには笑ってしまった。 ■3時間近い舞台で途中休憩が入る。青山劇場の時はその時間に舞台に近づいて実際にオケピの中を覗いてみた。休憩後最初の楽曲は「オレたちは動物園のサルじゃない」だった。こちらの行動もあらかじめ予測されていたわけだな。考えていることはみんな同じなんだ、きっと。 ●劇中、白井さんが天海さんを変わったムースを食べさせるフランス料理店に誘う場面があるが、その店はきっとベルエキップだと思う。 ●小橋君の歌う「あーかあさん♪」という曲が頭から離れない。初演時この役をやったのは山本耕史。たしかに歌はうまかった。 ●再演で最も笑いをとっていたのはピアノの小日向さん。彼のひとつ一つのセリフとトボけた演技は抜群に可笑しかった。初演から3年で一番露出度が増えた人だ。 ●一番おいしい役だったのはトランペット。個人的には初演時の伊原剛志の方が好みだ。寺脇はどうも土曜の朝の司会者のイメージが強い。 ●慈英君のポジティブシンキングマンは当たり役。タップダンスの見せ場もあり、もやはギターは彼の他には考えられない。役名丹下は有頂天ホテルでも健在。 オケピカルトクイズ 初級編 ◎ピアノの小日向さんが連れてきたペットは何だったでしょうか? 中級編 ◎ヴィオラの彼こと小林隆、誰も彼の名前を最後まで思い出せなかった。最後にあかされる彼の名字は何?ヒント漢字で2文字、カナでも二文字。 上級編 ◎ハープ奏者の役名は初演と再演では異なる。天海祐希の時は如月(きさらぎ)さん、では松たか子の時の役名は何? PS ■しばらく眠っていたこのビデオを見ることにしたのも、のだめの影響か。指揮者(コンダクター)の大変さがあらためてわかりました。CD聴きながら自分の部屋でハタキでも振っていた方がいいや。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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