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カテゴリ:真田丸
■騙すか、騙されるか。国衆たちのひと癖もふた癖もありそうな面構えを見ながら、それぞれが私利私欲のために一族の生き残りをかけて心の中にどんな策略をもって話し合いの場に勢ぞろいしたのか想像してみる。
■おそらく事前に誰かと誰かは密会を催し、俺があそこでこう言ったら、大きな声でああ言ってくれなどと策を弄していたに違いない。そしてその事は身内にも内緒で、一族の嫡男といえども場合によっては蚊帳の外であることだってあるのだ。 ■だから大泉洋は内心穏やかではない。父上は自分のことを跡継ぎとしては認めてくれていないのではないか。佐助が知っていてなぜ私が知らない。いくら味方から欺くのが策略といえども、あまりにもないがしろではないか。会議の場ではいけ好かないあの男に大きな声で小童(こわっぱ)がなどと罵られるし。 ■そんな悩みを打ち明ける相手も彼にはいない。妻は心を開こうとしても肝心なところで咳き込むし、母は自分の着物のことしか頭にないし、祖母は彼の声には聴く耳を持ってくれないし、弟はまたぞろ厄介な難題を私に突き付けてくる。御屋形様を裏切った姉の旦那を私が許せるとでも思っているのか。 ■伸るか、反るかが真田の家訓ならば、彼もまた知恵を絞らなければならない。囲碁の定石のように正しいことと正しくないことだけが物事の判断基準ではないはずだ。わざと負ける、わざと失敗する、わざと見逃す、わざところぶ。普段のドラマでの役割からすればそれこそ飄々とそんな軽い人物を演じられる彼であるが、この大河で三谷が要求する役柄はそれとは真逆な人物だ。 ■そんな兄の苦悩はさておき、次男坊の方は恋の修行の真最中だ。生きるか死ぬかの道中、どこのショップで手に入れたのかは知らないが手土産にした二本の櫛。一本は箱に入れ素敵な紐で包装してやり、もう一本はただ半紙に包んだだけ。彼には策略なんか何もない。 ■そんなふたりの女優陣の登場も含めて、今回新たに加わったキャストの中でも西村雅彦の起用は興味深い。新選組ではとうとう顔を出さなかった彼が三谷作品での常連だったのは古畑の今泉まで遡る。きっとこの先、真田側の運命を左右する重要人物になると思われるが、案外簡単に死んでしまうのかもしれない。 ■もうひとり、外せないのが本多忠勝役の藤岡弘、。大河ドラマの彼と言えば倉本聰の「勝海舟」における坂本龍馬。ハイビジョンの画面の中でもひときわにおいたつ濃厚な武将面。モーニング娘。じゃあるまいし、芸名に「、」(読点)を付けた役者の策略は知る由もないが、てんで様になっていないかと言われればそんなことは決してないのはさすがだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/03/06 09:58:25 PM
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