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カテゴリ:真田丸
■現在ならば画面上に機械音が鳴って本日未明本能寺に於いて織田信長(48)が明智光秀の謀反によって死亡なんていうテロップが入って日本中が大騒ぎになっていたことだろう。駅前では号外が配られ、私あの人大好きだったんです、なんて中年の女性がインタビューを受けていたはずだ。
■テレビもラジオもネットもそして新聞さえない時代、その一大事はどうやって全国を駆け巡ったのだろう。まずその知らせを受けたのは徳川家康。山道を駕籠にのって車酔いをしていたこの武将はハマカーン服部半蔵に先導されてひいひい言いながら伊賀の国を超える。険しい崖も野党の急襲も自分の足で乗り越えてこその達成感。あれだけ走れれば腰痛持ちにはならない。 ■山岳ガイド服部半蔵の適当さに笑う。ほぼ計画通りの「ほぼ」がかなりいい加減で無責任。「ほぼ」ほど怖いものはないと家康は思ったに違いない。まるでスラロームのような崖下りはさすがだが、やたら押していると時間を気にするあたりはあらかじめ彼の出番の持ち時間が決まっていたからだろうか。 ■一方、真田昌幸の所へは明智方の郵便配達人まいど豊が書状を持って現れる。いわく、訳あって信長を討った、つきましては家来になりなさいと。苦渋の決断の末、織田に就いたばかりの草刈正雄はこのジェットコースターのような展開にまた頭を悩ますことになる。 ■息子大泉洋に父上の本心はと訊かれ、民放だとコマーシャルが流れるようなタイミングで彼の放った言葉は「全くわからない!」。それが彼の本物の本心かと言われればそうとも思えなくもないが、服部半蔵のほぼも真田昌幸の全くも結局は同じくらいの曖昧さを含んでいる。 ■何度も海に行ったことがあるくせに、例えのためなら海を見たことがないと言い切ってしまうような人物はカリスマになれる素質があるということ。この時代、正論しか吐けない男はほぼ全く相手にされはしないのだ。ただ会議の場であんなに大きな声で小童(こわっぱ)めと罵るのはもうやめて欲しい。 ■そしてその知らせをまだ聞いていない武将もいる。スマホでもあればヘイ!シリ!御屋形様の安否は?と尋ねればすぐに返事が返ってくる現代人からすれば、情報があるか、ないかの違いは雲泥の差だ。でもあの段田さんにはこのまま何も知らずに草津の湯でのんびりして欲しいと思った。だってすごくいい人っぽいんだもの。 ■真田家、家康、そして人質に取られていた松、それぞれの窮地をテンポよく描いた今回。初回から第5回までこの大河の船出は順風満帆のように見える。アバンタイトルなし。タイトルバックにおけるハイライト構成(二つの四角い穴から映し出される)。オープニグの状況説明の簡素さ。適度なナレーション効果。多彩な音楽(実は鳴っているのに空気のような)。省略のセンス(本能寺の変を信長、光秀の出番なしで描いた今回!)。今のところ、この脚本家は前回の経験を生かして大河のオーソドックスを追及している。それがいつ逸脱するのかもまたちょっとした楽しみでもある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/03/06 09:59:04 PM
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