|
カテゴリ:真田丸
■大坂編が始まってまだ3回目だというのに、もうすっかり小日向秀吉に振り回されて、堺君が昔から彼の子分だった人のように見える。それはこの次男坊の順応性というものなのかもしれず、彼の裏表のない真っ正直な人柄ゆえなのかもしれない。
■それに比べて表の顔と裏の顔を併せ持った武将たちが秀吉側には多数存在しており、近藤芳正が小林隆に見せる顔など、出世競争に敗れた現代のサラリーマンのそれと何ら変わらない戦国時代の同期入社のようだ。 ■何を考えているのかわからないという意味では羽柴秀吉のそれは群を抜いており、普段は無邪気にはしゃいでばかりいる(鈴木京香にねいねい言いながら甘える仕草に笑った)ように見えて、一瞬笑顔を封印した時に見せる無表情の冷酷さは睫毛の長い私なんかからしてみれば、身も凍るほどの恐ろしさだ。 ■そんな権力者の側には必ず頭脳派と武闘派が脇を固めている。家康のそばに近藤正臣と藤岡弘、がいるように、秀吉の脇にも石田三成と加藤清正がいる。今回新井浩文によって軽々と持ち上げられ落とされそうになった井戸という場所は今後、彼にとって重要な場所になっていくはずだ。まるで村上春樹の小説のように。 ■史実を歪めてはならないという約束をこの作家は今のところ忠実に実行しているが、その歴史観まで束縛される必要はない。秀吉の弟、秀長が信繁に言ったセリフに作者の考えが含まれているように思う。つまりこの時、大坂城にいるほとんどの者が今の自分たちの立場に心の方がついていけていない。次に何をすればいいか、何を目指すべきなのか、誰にも明確なビジョンがない。これから先の秀吉の迷走も推して知るべしということだ。 ■忠義の人だった上杉景勝も秀吉の権力の前になすすべもなく真田を裏切り、信繁を大坂に残す。このままでは真田は滅びてしまうと珍しくモノローグにかぶせて懐かしい山南走りを見せてくれた堺雅人の苦肉の策は禁断の竹内結子の懐に飛び込むことか。 ■ヒューマン・コメディの巧者であるこの作者はどのように今まで紡いでいった伏線を、この非情ともいえる歴史をなぞりながら辻褄を合わせる形で回収できるのか。登場人物が増えれば増えるほど、そして歴史的大事件が起これば起こるほど、この群像劇はとてつもないスケールを併せ持つこととなる。はたしてそれが完結した時に得られる満足感はどれくらいのものだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/04/24 11:16:08 PM
コメント(0) | コメントを書く
[真田丸] カテゴリの最新記事
|
|