|
カテゴリ:60代
6年前
この地に引っ越してきた。毎日、役所まわりや、荷物の整理など とても疲れている時期のある朝、町内会の「朝の草取り」があった。 引っ越してきて、気に入られないと、 町内から、どんな待遇になるか解らないので、 挨拶代わりに、夫婦で、参加することに。 疲れ果ててはいたが、朝早く起きてがんばった。 その日の午前中、家の中で片付け物をしている時、 ふと、 「ここは、何処だったかな?」と思った。 あれ?おかしいな~私は何処の町に引っ越してきたんだったっけ? あれ?変だな~私の頭。 どこかに市の名前の書いた物はないかな?と 思って、キョロキョロすると、カレンダー をみつける。 カレンダーに◎◎市と書かれていた。 普通の私なら、 「あ!バ~~カだ!◎◎市だった~」と思うのだが ピンとこないのだ。 「ふ~~~ん。◎◎市なんだな、ここは」と、自分に言い聞かせる。 ◎◎市?う~~ん、聞いたこともない名前に思える。 ぜんぜん頭にすっと入らない。脳の中が霞んでいる。 ここは何処なの…?私は、何処にいるの…?という感覚だ。 何だか、寒く荒涼とした地にひとりぼっちで立っているような気がした。 お昼を過ぎるころ、正気に戻った。 老人が、引っ越したら、呆けるという話を聞くが 正に、私は、あの時、呆けた。 呆けのプレビューだった。 呆けって、さみしいなと、思う。自分の存在がわからないのだ。 立っている位置が不明なのだ。漠とした不安の中にたたずんでいるのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[60代] カテゴリの最新記事
|